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東方玉霊絆  作者:
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13/78

前方注意

「それでね!その師匠が…」


人捜しを始めてから、うさぎ耳の少女は鈴仙れいせん優曇華院うどんげいん・イナバと名乗った。

俺が探していたのは永遠亭えいえんていという建物らしく、彼女はそこの薬師の弟子として住んでいるのだとか。


彼女曰く、その薬師は人使いが荒く、薬師の主も気分屋で困ったものだ…ということらしい。


「ね、聞いてる?」

「ん?あぁ聞いてるけど…」


途中でちゃんと聞いてくれているか心配になったらしく、顔を覗き込んできた。

驚いて若干顔を引きながら答えると満足げに話を続けた。


「で、師匠が言ったの!『貴方は私の言うことを聞いていれば間違いないわ』って!なんにも教えてくれないのよ!」

「あはは…」

「また鈴仙が悪口言ってたってお師匠様に伝えておこーっと!」


突然、背後からそんな声がした。

振り返ろうとした時、薄ピンクの影が颯爽と駆けていくのが分かった。


「あ!てゐ!待ちなさい!悪口なんて一言も言ってないでしょ!」

もの凄い勢いで逃げていくのが、鈴仙が捜していた因幡いなばてゐというウサギらしい。

鈴仙が妙に焦って追いかけ始めたので、急いで着いていく。


「相変わらず逃げ足の速い!」

「そんなに簡単には捕まらないよーだ!」


てゐがこちらを見て舌を見せて挑発してきた。

そしてそれに乗ってしまった鈴仙が怒りをあらわにする。


「こんの~~~!!」


無我夢中になりだしたのを確認したてゐは、再び前を向いた。

前を向く瞬間、微かに口元が歪むような気配を感じ取る。

直後に鈴仙が踏んだ地面が「ギッ」という不自然な音を出した。


鈴仙にも聞こえたようで、一瞬で顔が青ざめたの分かる。

咄嗟に抱きかかえて跳び上がると、足下を白い物体がかすめていった。


「あっぶね…」

「!?!??!?」

着地してすぐに鈴仙を立たせ、また走り始めた。


「あ、ありがとう…」

「ん?別になんてことないさ。むしろ触られて嫌じゃなかったか?」

「だいじょ…」


言いかけた時、足下に不審な葉っぱの塊を見つけた。

すぐさま弾幕を撃って壊すと、それが落とし穴だったということが分かる。

「…すげえセキュリティだな。気をつけないと」

「そ、そうだね」


鈴仙の目が泳いだ。

この鬼ごっこもいつものことみたいだし、毎度引っかかっているのかもしれない。


最初に飛んで来た白い物体はトリモチだったらしく、二度や三度ではない頻度で仕掛けられていた。

落とし穴の中にあったのを見かけたりしたので、思っていたより悪意がある。


幸いなことに特に見失ったりせず、一定の距離を追い続けていた。

…慌てている様子を見て楽しむために、わざと距離を保っているのだろう。



「っ!」

顔面めがけて飛んで来たトリモチをなんとか避け、直前で落とし穴に気づいて躱す展開がしばらく続いた後。

「てゐ!いい加減にしなさい!」

鈴仙が手を銃の形に握ると、指先から弾丸のような弾幕を放った。

てゐが後ろに目がついているかのようにヒラリと避けると、更にその先を歩いていた人影に着弾した。


チュドンッ、と炸裂音がして、後頭部に弾幕を受けたであろう人影は大きくバランスを崩した。

「「あっ」」

鈴仙と声が重なる。

人影はよろよろと数歩進んだ後、こちらを睨み付けてきた。


「ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ…」

冷や汗をだらだらと流しまくっている鈴仙は、うわごとのように「やばい」と連呼し始めた。

「…大丈夫か?」

逃げていたてゐも足を止めて様子をうかがっている。

鈴仙は弾幕を当ててしまった相手から視線をはずそうとしない。


「あれ、藤原ふじわらの妹紅もこうって言って、うちの姫様を狙ってる奴なのよ」

「強いのか?」

「…かなり」

「よし、分かった」


鈴仙をかばうように立ち、木刀を構える。


「気を逸らすから、行ってくれ」

「え…?」

「お前が逃げる時間くらいは作れると思う」


自分が死なないためだけじゃない。こういう時の為に強くなったのだから。

ここで立たなければ男が廃る。


「…あの子捕まえたら戻ってくるから!」

「頼むぜ?俺一人じゃここから出ることすら出来ないからな」


鈴仙はこくりと頷くと、申し訳なさそうにてゐを追っていった。


「庇ったのか?馬鹿な奴だな」

「力次第で我を通せるのが幻想郷だって聞いたんでな。ちょっと我が儘を言ってみることにした」


妹紅、と紹介された少女。

長い灰色の髪に赤のズボンを穿き、そのズボンにはサスペンダーのようなヒモが付いている。


「珍しい奴もいるもんだな。別に私はお前に仕返しがしたいわけじゃないんだが」

「分かってるさ。やらせないけどな」


妹紅は掌に真っ赤な炎を漂わせ、受けて立つという意思表示をした。

息を深く吸い、長く吐く。

霊力は滞りなく体中に流れていて絶好調だ。


「つーわけで悪いが、ちょっと我が儘に付き合ってくれ」

どうも、作者の人です。

毎度毎度、月曜日に焦る癖をなんとかしたいですね。

今回はわりと繋ぎなお話になっていて、来週は戦闘です。

本当は戦闘まで入れたかったのですがどうしても時間が足りませんでした。


鬼ごっこ開始のところで何度か躓いて時間を割いてしまったので…

言い訳はこの辺にして、そろそろ締めたいと思います。

なんの変哲もなくてなんかすみません。


ここまで読んでいただいてありがとうございました。

先日、一日での閲覧が140を超えて初めての3桁になりましたので、ここで重ねてお礼を申し上げます。


それではまた、来週お会いしましょう。では失礼します。

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