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10 江東の虎3 計略を使ってみよう(遠行)


 日美子ひみこを中心とした遠行とおゆき軍は東南の地で歓待された。

 武将数二十を越える大軍は小さな都市を通過するだけでも領主の座を薦められ、糧食を提供されて引きとめられ、志願兵は雪だるま式に増えていった。


 ベリーショートの髪で化粧もしていない猿喚さるわみは少年のようである。

 しかし日美子がそろいで明るいデザインの文官服を着せ、何度も話しかけて表情をゆるめさせると、男子もあつかいを変えはじめた。


「この城もまだ違うんですかい? 姫君ふたりをあまり長旅させちゃもうしわけが……あ、会議場ですね? すぐ手配します……だってよ、遠行。どこにする?」

 勲張いさはるがモミアゲをゆらしてアゴを向ける。

 遠行は日美子と猿喚を馬にのせ、その手綱を引いていた。

 名ばかり君主の遠行は参謀どころか召使いのような立場になりかけ、あせっていた。



 小さな城塞都市の中央にある居館が開け放たれ、一同は広間に会する。

「ここの領主を継いでだいじょうぶなの? まだ近い気がするけど?」

 遠行は奥の中央に座っていたが、配下の視線は右隣の姫ふたりに集中している。

 猿喚はうなずいたあと、一応は挙手して指されてから発言する。

「たしかに危険だけど、規模はまあまあで交通の便もいいから、仮の拠点として遠征軍と分けて、半分を残そうと思うのだけど?」

 そう言ったあと、手で遠行の左隣へみんなの視線をうながす。

 小柄な遠行の陰に、さらに小柄でどんよりした目の絹種きぬたねが挙手していた。


「賛成です。組み分けが必要ですね。ではボクは君主である兄さんには能力値をさらしておきますよ。相手を指定した公開ができるようなので」

 絹種はすでに内緒で能力値を遠行へ告げていたが、わざわざ宣言した。

「うん。私も。遠行くん……と日美子ちゃんなら。それくらいの情報はないと安心して配置できないだろうし」

 猿喚も同じく、内緒話ではすでに報告済みだったが、すばやく同調する。


 遠行は隣の、虚ろな無表情をまるで変えない弟を盗み見て感心する。

(コイツ、なかなか黒い機転が利くな。ものすごい棒読みだったけど違和感がないのも意外なキャラ利点……そして猿喚さんも、俺の存在を薄めるだけはある鋭さ)


「じゃあ、私も遠行くんと、猿喚さんと、霊紀くんと……」

 日美子がニコニコと操作をはじめるが、絹種の隣にいた大柄な中年風の少年こと霊紀が止める。

「待った。自分はいい。人事とかは苦手だ。自分も遠行、日美子さん、猿喚さんだな」 


「そうですね。あまり広げても……ボクもあと日美子さんと猿喚さんで」

 絹種がそう言うころには遠行の予想通り、男子勢の競うような能力値報告が殺到していた。

「もちろん、無理しなくていいからね。個人情報みたいなものだし」

 遠行は目つきの悪い顔に似合わない優しいほほえみを浮かべ、人徳があるふりをする。



 しかし届けられた能力一覧に目を通すと、表情は険悪にくもる。

(みんなどうせ勲張から絹種くらいだろうと思っていたけど、本当にそのとおりの平凡未満、三流ぞろいかよ!?)


 猿喚から内緒話の通知が届く。

『信頼できる順に並べなおしてくれる?』


 その言葉のあとで、耳元でない猿喚の言葉が続く。

「遠征メンバーはしぼったほうが効率いいと思うの。武力の高い霊紀くんに兵士数を集中させて、あとは外交代表で遠行くん、日美子ちゃん、私……」

 そこまで言って一瞬、遠行の並べかえている途中のリストに目を通す。

「ここの防衛は位置的に大変だから、たくさんいたほうが警戒しやすいってこともあるんだけど、どうかな?」


『あとは絹種くんと諭渉さとわたりくんでどうだろう? 勲張くんとかがまあまあだいじょうぶそうなら留守番の中心にして、グレーゾーンを抑えてもらうの。あと今、絹種くんから内緒話が来て、蕾水つぼみさんと菓蘭からんさんが危険って……』


 厚化粧女子コンビは日美子の同行以来、どんどん不機嫌になっている様子は遠行も気がついていた。

(あいつら内面までブサイクだから……いまだに男子は優しく気づかっているのに、生物として数段高次な存在の日美子ちゃんより上に扱わないだけですねやがる)

 言われるまでもなく、ふたりは信用順の一番下にいた。

 遠行がはじめて顔を見たメンバーよりも下にいた。


「そうだね。細かい調整はもう少し考えるけど、向いているメンバーに兵力を集めて防衛してもらって、ほかの人には内政をお願いしようかな」

(兵士だけでも取り上げておかないとな。ブサイクコンビも、日美子ちゃん猿喚さんから離して男子多数の中にいれば少しは機嫌がなおるだろうし)


「能力的に勲張を中心に……みんなで支えてもらえるかな?」

 遠行が笑顔でまとめに入る。

「オレが留守番かよ……」

 勲張をはじめ、男子勢が渋った声を出す。


「いつでも帰れるように、我が家のお守り、お願いしまっす!」

 日美子が明るい笑顔で両拳と両巨乳を振り上げると、男子勢は雄叫びを上げて快諾する。

(素直なオマエらを嫌いになれないぜ。好きにもなれないけど! 少しは俺を君主として立てろよチクショオ! 日美子ちゃん毎度毎度アリガトオオ!)



 遠征メンバーが城門前に集まり、遠行と猿喚は口元を隠さずに内緒モードで話していた。


『公開してない四人の内、この豊李とより宮範みやのりって女子は部室にもたまに顔を出していて、もうふたりの女子よりおとなしくてまともそうだから、たぶんだいじょうぶ……そんなに自信はない。それとは別のふたりも、俺はともかく日美子ちゃんを裏切るようなやつではなさそう……でも改めて考えると、ろくに話してないな』

『まあ、その程度なら。疑うときりがないし、致命傷だけは避けられる兵士配分でしょ?』

 ふたりはリストを見ながら互いの顔が近づきすぎたことに気がつき、あわてて離れる。


「じゃ、じゃあ、私はみんなの配置を確認してくるから、そっちは先に出て、周囲の巡回でもしていて」

 猿喚の抑えた恥じらいに遠行は小さくガッツポーズをとる。


(アレだよアレ。俺も顔で差別する気はないのに、ブサイクコンビは話しかけるだけで『なに喜んでいるの? 勘違いしないでよね?』みたいに得意げに蔑んだ態度をとりやがるから『てめえこそ勘違いすんなゲテモノ!』って叫びたくなるんだ)


『例の秘密兵器も指揮権を移しておいたから、城から見えないところで使ってみて』

 遠ざかる猿喚が少しだけふり返り、かすかにほほえんだ。

(まずい。だんだんかわいく見えてきた)


「なにアイコンタクトしてるの~? 本当に作戦会議~?」

 日美子が頬をふくらませてすねた顔をしていた。

(これは……嫉妬されている?! バーゲン取り合い効果で、俺の異性としての評価が上がっている?!)


「猿喚ちゃんは、私の嫁ですから!」

(そっちの評価かよ!)

「ち、ちがうよ。すごい秘密兵器を使っていいって言われたから、さっそく試してみよう?」



「おつとめご苦労様です! どこかに山賊さんいますか?」

 日美子が古代中国風に手を組んであいさつすると、門番の中年兵士も同じ様に返す。

「恐縮であります! 近ごろ南の住民より、山向うで不審な者がうろついているとの噂が多くなっております!」

「ありがとうございます……じゃ、そっちで新編成を試そうか?」

 日美子は門番にぶんぶん手をふり、遠行は驚いていた。


「住民、そんな使い方もあるんだね。犬南いぬなみちゃんがなんでも聞いてみろって言ってたけど、基本マニュアルだけかと思っていた」

「みんな親切だよ。総スポから隠れて動くのも、遠行くんのいる場所を探すのも、全部相談しながら」

 遠行が突然に手を打つ。

「そっか。それだ。武力はただの『やる気』じゃなくて、戦闘力につながるような行動的で攻撃的な選択だってみんなで分析したろ? 徳力も『兵士数の回復』という効果から逆算して考えるべきなんだ」


 日美子も手を打つ。

「おお。なるほど。たしかに、ただの協調性や倫理性では、みんなの差が納得できません。まして人徳や魅力で猿喚ちゃんにかなう気がしません」

「それは個人差もあると思うけど……ともかく、日美子ちゃんの徳力が高い理由は『兵士数が回復しやすい』選択、つまり『兵士に慕われる』行動をとり続けたからじゃないかな?」

「なるほど。犬南ちゃんの80というレアな高さも、製作者として自然に住民へ愛情深い接しかたをしていたから……虞美ぐみさんなんか、趙雲ちょううん様に刺されて喜んでいましたもんね!」

 日美子は城門近くの立て札の一つを指す。


辰安虞美たつやすぐみさんがログアウトしました

 体力37・武力28・知力68・徳力90』


(もったいない激レア数値持ちの名君だったよな……リアルな人としての評価は少し微妙になったけど)


『田々壽春子たたよしはるこさんがログアウトしました

 体力68・武力52・知力73・徳力79』


(この人もなにげなく名将・名臣クラスのような……最後に妙なやりとりはあったけど)


「しかしこのふたりのログアウト立て札、何度も出し直しているけど、なんだろ?」

「脱落前のやりとりからすると、表示回数とかで天国の様子を伝えているんじゃないですか? あらかじめ選択肢を手紙に残し、番号だけ伝えるとか。手間ですがモールス信号とかも可能です」

「さすが知力70……あれ? 日美子ちゃんの能力……」


伊勢日美子いせひみこ

 体力20・武力80・知力80・徳力80


(全部10上がっている! 体力以外、全部レア突入?!)


「やった! やりました! 体力が上がって、転んで死ぬ心配が減りました!」

(そんな心配していたのか)


「みんなと同行して、いろいろ行動できるようになったおかげ様です! 特に体力! ストレス耐性が上がったのは、みんなのいる安心感に違いありません!」

(万能超人だけど持久力だけない……どこかの巨大宇宙人みたいだな)


「ほかのみんなもちらほら上がっている……特に霊紀、お前もレア突入じゃねえか」

「ん? ほう、いつの間に」


三尖島霊紀みとがりじまれいき

 体力80・武力80・知力40・徳力40


「おお~。うちのエースストライカー様ですね~! 遠行くんもなにか……」

「ウォーター……いや、早く出発しよう」

 遠行はまだ日美子にも猿喚にも能力を見せていなかった。


遠行松路とおゆきまつみち

 体力30・武力40・知力30・徳力30


(レアなバカは抜け出したけど、ザコ中のザコに変わりはないんだよな……いつか伸びるなんて信じねえぞ……)



 遠行たちが沼沢地と接する畑との境を歩いていると、近づいてくる文官姿の男がいた。

「あれは合流を指示した魯粛ろしゅくだ。遠征を東南にしたのもあれが天啓かと思って……名無しとカタカナ武将も日美子ちゃん猿喚さんで共有情報にしておくか」


「魯粛さんっていうと、孫権そんけん軍の配下……でたまに見たような?」日美子。

「おひとよしの苦労人……」絹種。

「天才軍師たちの狭間で右往左往する冴えないやつだったような?」霊紀。

「知んない。孫権配下で頭がいいと言えばシュウユかリクソンじゃないの? あとリョモウ?」諭渉。 


「でも能力はプレイヤーよりかなり高いよ……おっと、あっちからも来ているな。霊紀、ちょっと先に行ってもらえるか?」

 山賊の大集団が前方から叫びを上げて迫っていた。

「鉛筆を削るのに包丁はいりますまい。この諭渉ちゃんにお任せあれ」

「それもそうか。よし頼む。霊紀はこっちの守りに残しておかないとな」 


「新装備お試し期間~!」 

 諭渉の武器は以前に持っていたフライドチキンのような棍棒ではなく、先が球状で金属補強と装飾のついた棍棒に代わっていた。

 鎧も全身についているが、本人の趣味なのかデザインが全体に大振りで、ぴったりした兜だけ鍋のごとく妙にシンプルだった。

「ゆっしゃあ! ゆしゃゆしゃあ! わほ~! ひょほ~お!」

 兵士を背後に湧き出させながら突撃し、敵の群れを両断するようにはじき散らしていく。


「あいつの叫びだけ妙にパターンが多くないか? 腕の振り方も」

 遠行は運動会の玉いれでも見るように、次々と打ち上げられる山賊を見上げる。

「自分で叫んで振っているんじゃないですか? 自動は基本、なにも選択しない時のようですから」絹種。


「それなら私も、『ひぇい!』は嫌だから、『とぉお!』か『ジョワ!』って叫んで別パターンを入れてみようかな?!」

 日美子が両手に剣を抜いてウズウズとかまえる。

「もう少し減ってからね。伏兵が来ても囲まれない程度に……思ったより手間取っているか?」


「山賊も時間が経つほど装備のいいやつや、体格のいいやつが増えている。何匹か混じっている隊長格に囲まれると危ないな……近づいて援護しよう。魯粛も来たし」

 霊紀を先頭に後列組も兵士を広げながら戦場へ近づく。



 ブルドッグのような顔で目の細長い文官が遠行軍兵士の中へ分け入り、手を組んで遠行に礼を示す。

 上目づかいに鋭い眼光を発し、ニヤリッと口端を上げた。

「こ、こいつ本当に魯粛か?」

 遠行は思わず身を引き、その背にはいつの間にか絹種が入っていた。

「シバイあたりの画像の使いまわしですかね?」

 ロシュクと名前表示を出している文官姿の男は不敵な笑顔のまま身じろぎもしない。


「コンピューター武将も成長変化とかあるんですかね? 山賊が史実よりも多い影響で、性格もワイルドになっているとか……」

 日美子も怯えた笑顔をそむける。


「そういえば、有名武将にしても妙に数値が高すぎるんだよな。武力も諭渉より上だから、文官なのにうちではナンバー2……まあ、なんにしても頼もしいよ……よろしくな! ロシュク!」

 遠行は言葉だけでも虚勢を張ってみるが、頭を下げたままの中年男が口の端をゆがめ、細い目をさらに目を細めると『突撃』『逃亡』『投降』といった見えもしない選択肢が脳裏に浮かんだ。


「このロシュク、苦労は好んでするタチでして」

 落ち着いた低く太い声は冷たい炎のように遠行へまとわりつく。

(な、なんだこの悪徳商人か悪鬼妖怪のようなロシュク?! 犬南ちゃん、どんな資料を見たんだ?!)



「遠行く~ん?! ボクおピ~ンチ! 秘密兵器プリーズ! ハリアップ!」

 諭渉が賊の中心で体格のいい男たちに囲まれてダメージを受けつつあった。

「なんでそこまで深入りする?! 少しは考えろ! ……ってあれ? 知力ってどう使うんだ?!」


「ねえキミ! 知力ってどう使うの?!」

 諭渉が武器を打ち合う相手に尋ねる。

「少しは聞く相手を考えろよ?!」遠行。


「グハハーッ! バカめ! 効率を上げたい時ならいつでも『計略』を発動すればよいのだ!」山賊A。

「教えてくれるのかよ?!」遠行。

「なんだとコノヤロオ! ありがとお!」

 諭渉が叫びながら棍棒で打ち上げる。


(やつが知力20・徳力30から動く気配がないのもしかたないな)


「よし……よくわからんけど、ロシュク、計略だ!」

「るおおおおおおおっ!!」

 ブルドッグ男が突然に口ヒゲを震わせて咆哮し、日美子と絹種はビクリと跳ねてちぢこまり、指示した遠行まで一緒に霊紀へしがみつく。

「っしゃああああああああ!!!!」

 自称ロシュクは大怪獣が炎を吐くようなポーズで光の塊を口から放出する。

「遠距離射撃能力?!」

 ベージュ色の光の塊は発射ポーズのロシュク姿となり、諭渉へ向かって飛んでいく。

(やべ! なにか指示を間違えた?!)


「ひいっ?!」

 諭渉は背後から高速滑空してきた光り輝く悪人づらを見て悲鳴を上げる。

 光は着弾すると諭渉とその配下兵士に広がるが、遠行の想像したような大爆発にはならなかった。

「うひぃ! ひいい! ひいやあ!」

 まとわりつく光の恐怖に混乱した諭渉少年はメチャクチャに暴れまわる。


(呪いとか……毒みたいなダメージか?)


「ふっ……ふっ……ふっ」

 ロシュクらしき怪人は眉を吊り上げて満足したように結果をながめたあと、ギラリと主君を見下ろす。


(ここは処罰しておかないと後々やっかいなことになるか? いや、俺の指示ミスなら謝るか……無能な部下の始末を遂行したことにしてほめちゃおうかな……)


「あれは……?! いいぞ諭渉! もう一息だ!」

 霊紀が声をかける。


 諭渉が驚いて振り返ると、その周囲にたかる山賊は減り、体格のいい男たちは倒れていた。

「数はそれほど減ってないけど、間合いに余裕がある?」遠行。


 諭渉も不思議そうに見回し、落ち着きをとりもどして棍棒を振るいはじめた。

「諭渉さん配下の兵士がやけに速く動いてますね」絹種。


「ロシュクさん。計略ってどういう効果なんですか?」

 日美子が手を合わせ、腰低く教授を仰ぐ。


「すなわち『加速』であります」

 ロシュクは礼を返して力強く答える。

「戦闘においては奇襲、撹乱、陣形、指揮といった『知力』によって得られる優位性を『移動速度』に集約しております」


「また大胆なデフォルメだな……なるほど。諭渉の足が速くなって、避けたり死角へまわったりしやすくなったようだけど、棍棒の速さは変わってない。腕の振りは個人戦闘力として、知力の影響を受けないってことか」遠行。


「距離がある場合は到達が遅れ、加速量、持続時間なども減りましょう。知力による違いは発射までの速度にあり、それがしであれば最速およそ30秒」ロシュク。

「私だと何秒ですか? 疲れますか?」日美子。

「最速およそ60秒。発動ごとに体力を一時的に失います」

「すると計算式は100引く知力、かける3秒かな……ご教授ありがとうございます! 体力が計略発動のエネルギーも兼ねていると、突撃との兼ね合いがきついな……う~、不便な体~!」

 日美子はロシュクの『計略』射撃ポーズを真似しながら地団駄を踏む。


「そろそろ一斉攻撃をかけようか? それで逃げ散りそうだし」

 遠行が剣を抜くと日美子もウキウキと両手に剣をかまえてうなずく。

(日美子ちゃんは積極的で、頭がよく回り、誰にでも礼儀正しい……能力判定に愛されているな)


 ロシュクも苦味走った笑顔で長剣を一瞬に抜き、やたら低く腰をかがめて敵をギラギラにらみまわす。

「あ、あの、私に計略とばす時は絶対、予告してからでお願いします……」


(ストレス耐性だけが問題だ)




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