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底辺から這い上がる少女  作者: 雛月いお
最終章 その手で掴み取る
34/39

姉を超える妹

投稿が遅れてすみませんでした

『あっはっはっはっ、すごいねフィオラ。っはは』


「.......う、うわぁ」


自身の魔術が大穴を開けたことにいまいちピンとこない私は、ただ無残に空いた穴を見た率直な反応を見せることしかできなかった。


「じゃあさっきの続きと行きましょうか」


私の答えを聞くよりも早くフィリルは詠唱を始めた。


「《メルキュール》」


途端、私の足元に青い魔法陣が描かれた。おそらく座標指定型の魔術だろう。この後どうなるかはなんとなくわかる。


私は真上に飛び上がり、その魔法陣に向かって魔術をぶつけた。


「《ヴォルフレア》!!」


吹き出してきた水流と私の魔術とが床寸前で衝突する。私の魔術が黒曜石になるよりも早く水蒸気が辺りを瞬時に包んだ。

出来立ての黒曜石に着地するなり、フィリルがいた方向へ勢いよく飛び込みつつ再び魔術を唱える。


水蒸気を抜けると、フィリルも同じく魔術を唱えている最中だった。だが私のほうが早かったようだ。


「《エクスプロード》!!」


水蒸気から出てきた私の速さに驚いたフィリルは、詠唱を途中で切り替え、身を守る魔術を発動させた。


「 《スプレッド》」


私の魔術はお互いの間に築かれた水の壁に衝突した。私の魔術は瞬く間に黒曜石へ成り果てていく。が、私の狙いはそこにあった。


私は固まった魔術物質に向かって最大の魔術をぶつける。


「《イラプション》!!」


黒曜石の壁となりつつあったそれは壊れ、その全てが前方、つまりフィリルへ襲いかかった。どうなったかは大量の黒曜石でよく見えなかったが、出来上がった黒曜石の山は頑丈に積み上がり微動だにしなかった。


「.........終わった、のかな」


『みたいだね。じゃあフィオラの体に蓋がかかっちゃうかから、一回離れるね』


「うん、ありがと」


『どういたしまして』


途端、私の体からローブと炎が光となって消えた。


暫く黒曜石に山を見つめていた。フィリルは無事だろうか。私は人を殺したくはない、だから溶岩のように熱い魔術をそのままぶつけるのではなく一度冷まし、触れても命を落とさないようにした。

動きを封じるだけでは、きっとフィリルは戦闘を終わらせようとはしなかっただろう。意地でも私を通さない理由があったんだと思う。


それでも私は進む。私の大好きな場所を、シンテイムを...


物思いにふけっていると、突如後ろから抱きしめられた。


「ミラさん」


「無事でよかった、本当に...」


ミラさんの声が震えているように聞こえた。抱きしめられる力が強くなる。


「心配かけました。ごめんなさい」


ミラさんが抱きしめることをやめると私は振り返り、ゆっくりと歩いてくる男性二人に向かって頭を下げた。


「わがままを聞いてくださってありがとうございました」


「いや?勝ったからよし」


「ま、わかってたけどな」


私が驚いた顔をすると、アッシュさんが自慢げな顔をした。そんなアッシュさんがなんだか面白くて、皆一斉に吹き出してしまった。


「......さ、終わらせに行こうぜ」


「だな」


「はい」





ーーーーーーーーーーー






「あれ!?もしかしてもう終わっちゃった!?」


「キール、あそこ」


「うっわなにあれ。あ、え、もしかして姉さん生き埋め状態?」


「だと思う」


「えーフィオラちゃん強いねぇ。レナ」


「わかってるけど、破壊できるかはわからない」


「承知の上だよ」


「はあああぁ!!」


「おお、やるねぇ」


「姉さん!」


「.........う」


「大丈夫?」


「......やられたわね。どうして私はいつもこう、大事なところで一歩及ばないのかしら」


「......」


「それより、私はいいからあなたたちは先に行って」


「でも」


「お願い、お父さんとフィオラを合わせてはいけないの」


「......わかった。行くよレナ」


「うん」



もう三週間が立ちそうですが、あけましておめでとうございます。『底辺から這い上がる少女』もラストスパート、頑張って執筆していきますので、読んでいただけると幸いです。

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