信頼と挑戦、越えるべき壁
上へ登る階段へ向かっていた。
恐らくこの階には一番強い幹部が居るはずだ。二人もそれを理解しているのか、必要最低限の会話しかしようとしない。緊張しているのか、集中しているのか。
私はこんな二人を見たことがなかった。
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少年少女と戦った場所から余り歩かずとも、階段がある空間が見えてきた。二人は自らの武器に手をかけ、警戒心を露わにした。私も気を引き締める。
広い空間に入る。
するとそこには
「待ってたわフィオラ」
「.........お前かよ」
そこには私の姉、フィリルがいた。
「私はフィリル・サンサウレ。聞いていると思うけど、フィオラと血の繋がった姉よ」
フィリルのその言葉を聞いた二人は眉間にしわを寄せる。ミラさんは何かを耐えるように歯を食い縛っている。
御構い無しといった様子でフィリルは続ける。
「姉としてあなたたちに言わなければならないことがあるの」
「...なんだ?」
「フィオラを助けてくれてありがとう」
「「!!」」
フィリルの言葉を聞いた二人は、その予想の斜めをいった発言に驚いていた。しかしミラさんは違った。
「ふざけるなぁぁあ!!」
「ミラ!?」
「ミラさん...?」
我慢していた思いを吐き出すようにミラさんは叫んだ。その声色は恨みや憎しみに染まり、ミラさんが発しているとは思えないくらいに尖っていた。
「あなたこの子の姉なんでしょ!?ならなんで助けてあげなかったの!!あなたに姉を名乗る資格なんてない!!」
ミラさんが叫び終えると、時間が止まったような静けさが空間を支配した。当のミラさんはフィリルを睨みつけたままだった。
少しの間の後、フィリルがその口を開く。
「............そうね、あなたの言うとおりだわ。今の私には、どうやったってフィオラの信頼を取り戻すことはできない」
「何を今更.........」
「でもね、せめて姉として出来ることはしたいの。この組織との因縁を断ち切ることぐらいはね」
決意を感じるその言葉に、私は胸に込み上げてくるものを感じた。
「本当はあなたたちと戦いたくはないのだけど、この城内は監視されているの。音声は聞こえてないけどね。だから戦わなければならないし、手も抜くことも許されてないのよ」
「そうかよ。悪いが通してもらうぜ」
私はこの時、すでに決心していた。
「アッシュさん、ロキさん。ここは私に任せてくれませんか?」
「なっ....」
「...... 」
二人は言葉に詰まった様子で私を見つめた。許可したくはないが思うところもある、といったところか。二人に信じてもらえることを願う。
何故だか私は、フィリルを越えなければならない気がしたのだ。それは姉だからとか、今までの恨みとかそういうのではない。目の前に立ちはだかったから、というのが正しいだろう。
恐らくフィリルは妹である私ですら殺しにきているだろう。私に負けは許されない。もちろん負ける気など毛頭ない。
二人は顔を見合わせた後、再び私の目を真剣に見た。
「.......わかった、行ってこい。あいつも魔術師だからな、俺らがいる方が邪魔だろ」
「勝ってこいよ、フィオラ」
「当たり前です」
「フィオラちゃん......」
その言葉から、ミラさんが心配しているということが十分伝わってきた。
私はミラさんの目を力強く見た。
「安心してくださいミアさん、私は負けませんから」
「......うん、信じてる」
ミラさんは精一杯の笑顔を見せてくれた。私はその笑顔に毎回救われてきた。
そう、今回だって
「向こうに気づかれたら厄介だし、三人は縛らせてもらうわね。危害を加えるつもりはないから安心して」
そういったフィリルは詠唱し始め、現れた赤黒い輪に三人は束縛された。三人に苦しむ様子はなく、危害を加えるつもりはないという言葉は本当のようだった。
「準備はいいわねフィオラ」
「もちろんですよ」
私たちは同時に詠唱を開始し、お互いにその豊富な魔力を操り始めた。
「行きます!!」
「私に成長したところ見せて頂戴!!」
「「《ライトニング》!!」」




