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底辺から這い上がる少女  作者: 雛月いお
最終章 その手で掴み取る
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少女は少女と出会う

ルーザスとの戦闘後、結局私は上の階へ上がろうとする三人に黙ってついていくことにした。改めて考え直した結果、奴隷を助けに行くことは即ち駆けつけた大量の兵士を一度に敵に回すことになり、その選択肢が最も三人を危険にさらすことになる。そんなことは私の望むことではない。


「だー! もうこいつらどんだけいるんだ!!」


「そんなの今更だろ...」


二階に侵入するも敵の数は大して変化なし。むしろ増えていく一方だ。...まぁ当然だが。

どうやら二階は武器庫みたいになっているようで、槍やら剣やらが度々目に入る。この辺りから適当な剣を一本くすねるのもいいかもしれない。魔術で生み出した擬似剣ではさすがに強度にも耐久性でも劣るものがある。


お、短めで良さそうな剣があんな所に。


「フィオラ後ろだ!!」


私が短剣を手に取ろうとした矢先、アッシュさんの声が耳に飛び込んできた。無論、気付いてないわけではない。


「わかってます!」


剣を手にした瞬間勢いよく振り向き、それと同時に短剣で攻撃してきた兵士の剣を弾く。面食らった様子の兵士との間で《ヘブンズライト》を放つ。


「うぉあ!?」


対処できない相手への効果は一時的な目潰しといっても過言ではない。兵士は目を抑えて尻餅をついた。これでしばらくは動けまい。


今ので私に注意を向けていた何人かの兵士が巻き添えを食らったようで、戦況は知らぬ間にだいぶ楽になっていた。


「ナイスフィオラ!」


「すみません、いきなりで大丈夫でしたか?」


「んー、まぁなんとなく予測できたからセーフだったかな」


「後ろ向いてなかったらヤバかった...」


「き、気をつけます...」




ーーーーーーーー



「ふぃー、落着かな?」


「この辺は、だな」


しばらく戦闘が続き、それぞれ兵士を殺すなり固めるなり戦闘不能にするなりしてこの場は収まった。敵は恐らく二階を捨てる決断をしたようだ。


三人が一息つき、私も安堵のため息をつこうとしたその時、中から物音が聞こえてくる部屋の扉が目に入った。なにかを叩くような、例えば金属のような硬いものの音。


それを聞いた途端、私の脳には、奴隷が兵士の武器を作っている奴隷時代の記憶が蘇っていた。


「フィオラ?」


無意識に私の体はその扉のドアノブを握っていた。勢いで私はその扉を開け放った。


「ひっ!?」


ーーするとそこには、泣きながら固まりつつある鉄を金槌で叩く十数人の奴隷たちがいた。


「...」


その中に一人だけ、私と年齢の大差ない女の子がいた。私の視線ははその子に吸い込まれていった。


私は絶句してしまった。不意に目の前にいる奴隷の子と以前の自分を重ねてしまったのだ。以前の私はこれほどまでに醜く、哀れに見えていたのか。だがその子と私には唯一一致しない所があった。


その子の涙はまだ、枯れてはいなかった。


私はいつの間にか、その子を抱きしめていた。


「助けに来たの」


「ぇ......?」


「大丈夫。もう辛い思いしなくていいんだよ」


「ほんと? ほんとに?」


「うん」


「ぁ......あぁぁ...っ」


その子は私の言葉を聞いた途端全身の力が抜け、瞳から溢れ続けていた涙は勢いを増していった。この場面に似た出来事を私は経験している。そう、あの時は確か、私がミラさんで、この子が私だったな。


「俺たちはエールレイユを潰しにきたんだ。最上階を攻略し終わるまではすまないがここにいてくれ」


「聞いたかみんな!! 俺たち助かるぞ!!」


ロキさんの一言で奴隷たちは一斉に歓喜に満ちた声を上げた。ある人は神に感謝し続け、ある人は故郷にいる家族の名前を泣きながら口にしたり。いずれにしても皆目に溢れんばかりの涙を浮かべていた。


私の時は攻略真っ最中に奴隷全員がいっせいに抜け出したので、こんな奴隷の反応は知る由もなかった。だが今こうして皆の反応を見ている限りでは、皆私と変わらない。必死に泣いて喜んで。それがわたしには痛いほどわかるせいか、私の目にも涙が浮かんでいた。


「よかったね、フィオラちゃん」


「っ...、はい」



ー ーーーーーーー




例の部屋での一件を終え、私たちは一階でルーザスがいた空間のような場所に出ようとしていた。二階からは階段の作りが違うらしく、三階へ続く階段は別のところにあった。今私たちはその上り階段の位置の目星がつき、ようやっとそこへ向かっている。


そしてようやく、目的の階段を見つけた。


そこには当然ーーー


「フ。待ちくたびれましたよ?」


細くもなく太くもなくmといった体型の、ご老体がしっかりと地面に立っていた。老体は剣を履いている。ルーザスとは違い、剣を使ってくるようだ。


「相当な手練れがいると聞きまして、このシエル・オルフェイン、とてもやる気に満ちておりますぞ」



投稿が遅れてしまいすみませんでした。

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