貰い物と礼儀(?)
「...んぁ...?」
目を覚ました私自身の体制を見て、昨夜は一回も寝返りを打っていないことに気が付いた。
隣の、私のベットだったベットに目をやると、ミラさんが幸せそうな寝顔で寝ている。まだ起きていないようだ。
思えば私がミラさんより早く朝起きたのは初めてではないだろうか。ミラさんの寝顔を見るのは初めてだが、何とも言えない暖かさ、まさにミラさんといった感じだな。
「...ふあぁぁあっ」
そんなミラさんの寝顔をみていたらあくびが出てしまった。眠気を誘われるこの感じ、ミラさんの寝顔は夜見るのが一番効果的だろう。
....顔でも洗うか。
私はミラさんを起こさないように、こっそりと洗面所へ向かった。
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起きたミラさんと一緒に一度宿屋のロビーでのんびりすることになった。早朝のロビーでは、それぞれの目的へと出発する者、軽い朝食をとっている者など、昼間や夕方とは違った雰囲気ではあるものの、これまた様々な人間が集まっていた。
かくいう私たちも、今日は出発の日である。
「朝ごはんどうしよっかねぇ」
隣で転寝≪うたたね≫していたミラさんがそんなことを呟く。言われてみれば昨晩と同じくノープランだ。
「おーい、そこの嬢ちゃん方」
そんな私たちに声がかかったと思えば、その声の主は外見から商人と思われる中年の男性だった。起き抜けということもあるせいか私は頭は反応に困っていた。
そんな私にはお構いなしと、その男性は再び口を開きだした。
「良ければこれ、今朝自分が焼いたあパンです。自分この宿屋の近くでパン屋を営んでおりまして、これは張り切った家内が作りすぎてしまったうちのあまりのパンです。味や見た目は売り物と何一つ変わらないので、それなりに美味しくいただけるかと」
なんて、男性はやさしげな口調で話しながら、紙袋に入ったとても美味しそうなパンを私に差し出してきた。
そのあまりにも美味しそうなパンに驚いたが、更に驚いたのがその量だった。
「いやあの、本当にこんな量があまりなんですか!?」
私が口を開く前にミラさんが反応してしまっていた。そう、「あまった」にしては多すぎるのだ量が。奥さん張り切りすぎですよ。
この量なら私たちの朝食が間に合いそうだが....
「いいんですか?こんなに美味しそうなのに...」
人として当たり前だとこの前ロキさんに言われたことなのだが、人から物をもらうときは、まず自分の立場をわきまえた上で最初は遠慮するものだと教わった。それを聞いた当初は正直よくわからなかったが、今この場面でようやく理解することができた。事実ミラさんがいま実演してくれている。
「いいんですよ。うちはそんなに繁盛しているわけではありませんし、このパンたちは自分の経験上、売り物に出しても売れ残ってしまいますから」
食べ野茂に目がない私から言わせていただくと
ずばり
「もったいないです!!」
おっとつい本音が
「おやおや、元気のいい譲さんだ」
「フィオラちゃんったら」
と、二人に軽く笑われてしまった。
「フィオラちゃんもこう言ってるので、折角だしありがたくもらっておきますね」
「ありがとうございます、助かりますよ本当に」
これは勇気を出してよかった、といったところか。確かに先程ミラさんが呟いた通り私たちは朝食に悩んでいたところだ。むしろこちらが礼を言いたい。
男性と別れたあところで、アッシュさんとロキさんが部屋から出てきたようで、基壇から降りてきた。ロキさんが眠そうだ、が、アッシュさんに至っては私より大きなあくびをしながら階段を下っている。あくびのせいで目が閉じているが、大丈夫だろうか。普通に考えて危ないと思うのだけども。
そんな二人はミラさんが抱えている大量のパンを見るなり、目を丸くした。そしてこんなことを言い出す。
「ミラの衝動買い...?」
「いや、これはフィオラの影響だろ多分」
「違う違う。パン屋の人からもらったんだ。余ったんだって」
それを聞いた直後、二人そろって疑いの表情に変わった。まぁ、そうですよね。なんとなく隣に目をやると、ミラさんと目が合った。そして二人とも苦笑いを浮かべた。理由などない。なんとなく、というやつだ。
それを見た二人はまた表情を変える。今度は「女はよくわからん」とか言いそうな表情だ。ただ本当に言いそうなのはアッシュさんだけで、ロキさんは言わないと思う。性格的に、かな。
「まぁ細かいことは気にしないで、さっさと朝ごはん食べて依頼こなしちゃおうよ」
私たちは空いているテーブルを適当に借りて、貰ったパンをかじった。
今回は内容が短くなってしまいました。というのも次回がやっと戦闘となるので、次回の尺的にここで区切りたかったんですよ。
....やっと戦闘シーンが書けますねw長かった...




