入学式1
感想など頂けたら嬉しいです
気晴らしと文章力の練習にiPhoneから添削なしで書いているものなのであしからず
もし続いたら改稿して直すかもしれないです
古今東西、どこの学校でも校長の話というものは長いものだ。
そんなことが常識になりつつあるのにも関わらず長々と話すという精神には尊敬こそするものの、感謝はとてもじゃないができない。
四月。高校一年生を迎えた入学式でそんなことを思う。
校長の話が始まってもうかれこれ10分だ。
しかも内容は初めからほとんど変わらない。
ずっと、我が校は、我が校は、と繰り返し自慢話を繰り広げるだけだ。
長く話すのならばもっと面白おかしく話してほしい。
新入生という立場上、盛大にあくびをするわけにもいかず、歯を噛みしめる。
「…では、諸君の活躍を期待します」
満足気な表情で校長がまとめ壇から降りる。
会場には盛大な拍手が送られた。もちろん長き戦いを終えた戦士たちに対する賞賛の拍手だ。
ついに終わったという解放感に体が喜びを感じている。
さて、後は新入生歓迎会という名目の部活動紹介を残すのみだ。
正直、部活動紹介はどんな部活があるのか把握するレベルでしかないので、内容にはさほど興味がない。
そもそもの中学時代だって部活動紹介は印象に残っているものではなかった。
当然場の雰囲気もそんなもので、先輩たちはワイワイしながら、後輩たちは硬い空気から解放されざわざわと話を始めていた。
正直俺もかなり疲れを感じていたので場が軽くなったのはすごく嬉しい。
大きく背伸びを一つして体をほぐす。
「では、野球部さんからお願いします」
いかにも真面目そうな声のアナウンスで坊主頭の男子たちがステージにあがる。
「一緒に甲子園の夢をみてくらる女子マネ募集です!男子はやる気あるやつだけ来い!以上だ!」
ひどくシンプルながらもわかりやい説明に、力強い野球部の主将の声。
まさに完璧な部活動紹介だろう。
まぁ、実績が県大会二回戦敗退じゃなければかっこよかったのだが。
その後、サッカー部、バスケ部と運動部の紹介が続いた。
どの部活も女子マネが欲しいらしく、部員の募集よりも熱心だったのは俺の聞き間違えではないだろう。
確かに頑張ってる横に応援してくれる女子が居たらすごく頑張れるだろう。
ただし可愛い女子に限るのだが。
まぁ、完璧文化部の人間である俺にとっては関係のない話だ。
別に外遊びが嫌いとかそういうわけではないが体育系の人とは本質的な意味で違いすぎて気が合わない。
運動部の最後を陸上部がしめた。
ここからは文化部の部活動紹介だ。
まず初めに入ってきたのは軽音楽部だ。
バンドが高校生に人気なこともあって部長ひきいるバンドの演奏に会場は大盛り上がりだ。
部長のかっこいいミックスボイスに、疾走感あふれるドラム、そしてすごくかっこいい引き方をするギター。
よく音楽のことはわからないが素人目にみるとものすごく惹きつけられるものだ。
あんなに楽しく音楽が、できたら楽しいのだろうか。
会場の興味が完璧に軽音楽部に向かう。
演奏が終わり、満足な表情を浮かべる軽音楽部の部長にマイクがわたった。
会場は歓声と拍手で揺れそうな勢いになっている。
「みんなありがと!!」
爽やかな声と共に体育館に響き渡った声で会場のボルテージはMAXを、迎える。
制止を求めるアナウンスも虚しくかき消されるほどだ。
「軽音楽部は部員を大募集しています!でも、みんなに一言言いたいことがあります!」
先輩たちの中からはノリノリなのか、「なになに?」と聞き返す声が上がっている。
会場がまさにライブみたいな感じに出来上がってきたみたいだ。
会場から上がる声を精一杯引っ張りながら部長が一閃。
「軽音楽部だからってモテねぇから!!」
それとともに盛大に笑い声が会場に響く。
機材を片付けながら退場していく軽音楽部にもかかわらず会場は軽音楽部一色に染まっている。
もはや軽音楽部以外印象に残らないのではといったレベルだ。
この後の部活はすごく可哀想だと思う。
こんな雰囲気の後でこれ以上盛り上げられる文化部なんか想像がつかない。
まだ歓声が静まらない中、時間がギリギリなのかアナウンスの声がはいる。
まだ、軽音楽部が片付けている途中だが問題はないという判断だろう。
「では天体観測部、お願いします」
どうやら次は天体観測部らしい。
しかし、一向に天体観測部のメンツが現れない。
これには進行の生徒会もびっくりなのか、どよめき始める。
軽音楽部の話題で盛り上がっていた会場も興味がアクシデントの方に向いたのかざわざわと声をあげはじめる。
だか、その声は一瞬で静寂を迎えた。
ざわめく会場に大きな爆発音とともに物体がステージに向かって飛んで行った。
後方から急に現れた、高速の物体に会場は驚きの声をあげる。
そして、それはそのままステージへと飛んで行き、いつの間に立っていたのか、小さな少女のもつ虫網に吸い込まれていった。
「宇宙好きなやつ募集だ!」
ちびっこを想像させる元気な声で虫網で確保したさっきの物体。
ペットボトルロケットを片手に笑顔で彼女は話した。