表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/27

着やせ

 僕は、優衣との戦闘の後、病院のベッドで目が覚めた。

 精密検査を受けて、自白剤などが関与した失神ではなかった、との診断だった。ジエチルエーテル等の麻酔に使われる有機化合物のような物が影響したのでは、と医者は言っていた。

 なんとか、優衣には勝てた。それは、不幸中の幸いではあった。トントンと扉をノックする音が聞こえる。

 僕は、「はい」と返事をした。

「久しぶり」

 柔らかな口調の人物は、切間勇人だ。僕と一学年上で、同じ学校の先輩だ。もちろんリベルタの仲間ではある。

「派手にやり合ったようだね」

 勇人は、呆れた口調で話した。今回は、反省する部分はあるかもしれない。

「確かに、少しな」

「椎名優衣はどうだった」

 勇人は、真剣な表情で聞いた。優衣が危険と知らせてくれたのは、隼人だった。

「お前の言うとおりだった」

「にしても、なぜうちに優衣は入ったんだ」

 勇人なら、知っているはずだ。

「知っているとは思うが、イルミナス以上にうちは人材不足だ」

 勇人は、淡々と話し始めた。

「リベルタは四班あるだろ。一チーム最低でも二人だ」

 僕の班は、雫と僕だ。足りているはずだ。

「足りてはいるが、戦闘になった場合。戦闘要員が必要だ」

 勇人の言うとおり、雫の能力は、サイコメトリー。僕の能力は、イノベーション。戦闘要員とは、呼べない。

「で、優衣を入れた、と」

 ただ、優衣も戦闘要員とは呼べそうもないが。

「雫さん曰く、可能性があるから、らしいぞ」

 なんじゃ、そりゃ……。可能性との言葉に鳥肌が立った。

「いやいや、可能性なんて皆無だろ」

「お前も、椎名優衣も、どちらも攻撃も防御もできる。場面に応じて、その攻撃と防御を使い分ければ、最強になれるらしい」

 勇人の言っていることは、筋が、通っているようにも聞こえる。

「どうかな。今回の件を知って、雫は、どういう判断をするか」

 最悪、異動の可能性もある……。

「そんなことよりも、誰が好きなんだ」

 勇人は、真顔で聞いてきた。だが、勇人の言っている意味がわからない。

「はぁ。何が」

「お前の周りには、たくさんいるだろ、女の子が」

 なんで、そんな話するんだ。

「いやいや、いないだろ」

 女の子なんて、一人もいない。

「嘘をつくな。押谷七海、椎名優衣、朝霧雫、黒木莢乃、成城院奈那。美人、美少女が、たくさんいるじゃないか」

 勇人の目力が、異様に強い……。

「そんなことを、考えたことなかった」

 事実そうなのである。

「二人まで、選んでいい」

 逆に、二人も……。

「いや、やっぱり……」

 なんとかやりきりたいのだが。

「消去法でもいい」

 消去法で、まず名前が浮かんだのが。

「椎名優衣。 成城院奈那」

 俺の言葉に、勇人は、ビクリとした。悲しそうな表情で俺を見詰める。

「お前、ドMか」

「消去したほうだ。あと、莢乃さんかな」

 莢乃さんは、姉という感じだしな。

「消去法だと、朝霧雫と押谷七海か」

 勇人は、少し悩み、沈黙が漂った。

「おっぱいだな」

 勇人からその言葉が出るとは思わなかった。というか、なぜ胸……。

「なぜ、その結論になる」

 確かに、七海は、大きいが、雫はそんなことないだろうに。

「どこ見とるんだ。朝霧雫は、バスト九〇のFカップだ。つまり着やせしているん……」

 言葉を遮るように、ガラガラとドアが開いた。開いた人物は、雫だった。これは、やばすぎる。緊迫した空気が室内に流れる。

「どうしたの?」

 雫は、驚いていた。聞かれていなかった。不幸中の幸いだ。

「じゃあ、俺は、これで」

 勇人は、立ち上がった。雫が来た理由それは、間違いなく優衣との件だろう。

「コンビ解散か」

 その判断は正しいだろう。

「まだ始めて、四日目でしょ。まだまだ」

 なぜ、その判断になる……。

「優衣と仲良くしなさい」

 雫は優しい口調で、俺に注意した。僕が悪いと言われる理由はないはずだ。殺されそうになっただけだし。

「僕が悪いみたいな言い方だな」

「まぁ、そういうことだから。時間もないし」

 雫は、立ち上がろうとした。ここで逃がしたら、絶対いけない!

 僕は、雫の腕を掴み引き止めた。雫の顔が、急に赤くなっていく。どうしたんだ。

「き……やせ」

『きやせ』とは、なんだ。着痩せか。雫の能力は、サイコメトリーだ。

「エッチ」

 さっき話していた事実がバレて、雫にパチンと平手で叩かれてしまった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ