表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/27

決着

 優衣は意味がありそうに、含み笑いを浮かべた。次の瞬間、僕の周りが暗くなった。僕の頭上に、何かある……

 頭上にあったのは、コンクリートの塊だった。コンクリートは円形で、半径が三メートル前後だろう。

 僕は、瞬時に移動した。コンクリートの下敷きには、ならずにすんだ。しかし、ズドンという音と同時に、地震かと思うような大きな揺れが起きた。

「この屑女」

 泣くまで謝罪させるとか、言っていたくせに……。殺す気かよ。

「殺さないなんて、言ってなかったはずだよ」

 優衣が喋り終わった瞬間に、二個目のコンクリートが落ちてきた。大きな音と同時に、大きな揺れ。

 僕は瞬時に躱した。

「上手、上手」

 小さい子供をあやすかのような口調で話してきて、かなり腹が立った。

 しかし、物は考えようだ。二個も半径三メートルの塊が近くにできれば、優衣の視界を遮ることができる。

「そこにいるんでしょ」

 優衣の言葉と同時に、コンクリートが出現した。

 しかし、三度も同じ攻撃であれば、躱せる。とはいえ、このまま優衣の攻撃を躱していても、埒が明かない……。

 優衣の思っているとおり、僕と優衣との差は大きいかもしれない。僕がここで銃弾を放ったとしても、十中八九まで躱されるだろう。

 一瞬でいい、椎名の気を逸らす方法が、ないだろうか。頭上にコンクリートの球体が出現した。これなら……。

「今度も、よけてね」

 僕は、次の瞬間にイクスペクテイショーンの能力を使った。予想は、地面が揺れる。効果は、その揺れでは僕は体勢を崩さない、というものだった。

「これで終わりだ、椎名」

 僕は物陰から出て、優衣に向けて、銃弾を放った。いつもと銃弾の衝撃が、まるで違う。いつもであれば、もっと重いはずだ。

「本当は、こっちを使いたかったのかな」

 ポケットから、僕のHi―CAPA5・1を抜いて見せた。

「なんで、椎名、お前が持っているんだ」

 まさか……。

「危ないから、モデルガンに変えておいたんだよ」 

 さすがに、このままだと、やばい。

「じゃあ、そろそろ、フィニッシュにしようか」

 優衣が、ニコリと笑った瞬間に僕の腕と足に、縄が巻きついた。一歩も動けないどころか、僕は床に倒れてしまった。

「さぁ、そろそろ、言うこと、あるんじゃないかな」

 くそ、完全に追い込まれた。

「ゆっくり、ゆっくり、廃人にしてあげるから、安心して」

 こいつ、マジで拷問をする気か?

「なぁ……廃人」

 僕の言葉に優衣は、コクリと首を縦に振った。

「そうだよ。医学的に廃人を起こさせるような薬」

 自白剤の一種か……。

 自白剤は、大脳上皮を麻痺させる効果がある。自白剤を大量に使われたら、廃人も簡単に作れる。

 自白剤は、もちろん自白だけでなく、思い通りの言動を喋らせることも、容易だ。優衣が強力な自白剤を持っていたとしても、なんら不思議はない。

「最後だけど、謝る気あるの」

 こいつに謝るのだけは、絶対に嫌だ。ただ、謝らないで死ぬほうが、馬鹿だ。

「すまなかった」

 優衣は、僕に近づいた。

「もっと違う言い方が、あるんじゃないかな」

 ニヤリと優衣は、満足そうな笑みを浮かべた。

「本当に、すまなかった。許してくれ」

 心を込めて、謝った。

「やーだよ」

 可愛らしく、舌を出して、優衣は拒否する。

「それじゃ、今日の出来事を忘れるような、廃人になってもらおうかな」

 ガラス管に入った薬品を数本、瞬間移動で出した。このままだと、まじで廃人になる……。あれを使うしかない。 

「優衣、おまえ、幼少期に外国で育っただろう」

 当たり前だが、椎名の事前情報では、そんなことは、聞いていない。ただ、優衣の言動等を見ると、普通に日本で暮らしていた日本人には見えない。

「だったら、何なのかな。もう廃人になっちゃったの」

 優衣は苦笑を浮かべる。

「おまえ、負けたぞ」

 椎名は薬品を数本、落とした。化学反応を起こして、蒸気が上がる。椎名は気絶した。

 僕の能力は、イクスペクテイショーン……。

 予想が当たり、効果が実現可能であれば、成功する。要は、優衣に関する何かを「予想」して、当てる。

 当たった報酬として、椎名に関する実現可能な効果であれば、成功する。

 予想が誰にでもわかるものなら、実現できる効果も、かなり制限される。もしも椎名のレアなことを予想して正解すれば、効果も大きくなる。

 すなわち、今回の予想は、椎名が帰国子女であることで、効果は、椎名が失神することだった。蒸気が、僕の所まで来た。僕は、次の瞬間に失神した。

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ