表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/27

転校

 僕は、病院のベッドから起きた。首には、包帯が巻かれていた。

 奇跡的にかどうかは、わからないが、僕は助かった。二〇年前なら確実に死んでいたが、とりあえず現代医療に感謝だ。

 僕は、全治二週間。雫は、昨日、退院した。

 ノックする音が、聞こえた。「はい」と僕は、テルから貰ったお宝本をベッドと布団の間に隠した。

 来客は、雫だった。雫は、ベッドの横にあった椅子に座った。

「大丈夫? 優衣の所に最初に寄ったけど、昨日よりも、だいぶいいって」

 優衣は、未だに目覚めていない。明日には目覚めてもおかしくないし、一生ずーっと目覚めなくても不思議ではないらしい。僕のミスで、こんな結果に……。

「七海は見つかったのか?」

 七海は、僕が気絶している間に、いなくなったらしい。碧が七海を逃がした責任は、ない。ましてや、責められない。

「いえ、まだ。全力で、追いかけているけど。わからない」

 今は作戦を考えている途中なのだろうか。それとも、死んだのか。

「それよりも、いい物、買ってきたんだ」

 雫は、ニコリと笑った。

 雫は、「じじゃん」と袋から梨を取り出した。雫は、慣れた手つきで、梨を剥き、僕に差し出した。その時、僕と雫の手が触れた。雫のサイコメトリーの能力が作動した。

 一瞬で、雫の顔が曇った。僕は、気にすることなく、梨を口の中に放り込んだ。みずみずしくて、甘い。

「うまいよ。なんて言うか、みずみず……」

「布団とベッドの間」

 雫は、僕の言葉を遮るように指摘した。やばい……。雫は、下ネタが嫌いだ。

「涼、まだ中学三年でしょ。早くない」

 雫は、ナイフを持ちながら立ち上がった。

「いや、ちょっと待って」

 僕の言葉を遮るようにナイフを振り下ろす。

 ベッドに突き刺さった。

 ナイフを抜き、お宝本を布団の下から取り出した。お宝本は、ナイフで突き刺され、見るも無惨な形になっていた。

「じゃあ、これ、捨てとくね」

 雫は、ニコリと普段の笑みに戻った。


あれから二週間が経った。僕は、退院をして自宅に戻っていた。碧と七海の父親は、逮捕はされたが、証拠不十分で釈放された。

 僕は、なんか納得いかなかった。僕の携帯が鳴った。相手は、碧だ。

「ごめん、こんな遅くに」

 碧が普段の口調で話した。碧は、アメリカの全寮制で最新設備の学校に転校した。

「ごめん。今回こんな事態になって」

あの時、七海が捕まっていれば、転校することなんてなかったのに。

「ううん。十分だよ。それに、こっちはこっちで楽しいし」

 碧は、にこやかに受け流した。碧は、アメリカの生活に慣れそうになかったので、僕は安心した。

 僕は碧に「それは、なによりだ」と答えた。

「ただ、半年以内だからね」

 碧が何を言いたいのか、わからなかった。僕は碧に質問した。

「何のこと?」

「私が、高校では、日本で暮らしたいから。半年以内に解決してね」

 碧は可愛らしく言った。冗談のつもりなのだろう。

「わかった。全力で努力する」

 僕は、碧の期待に応えたいと思った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ