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戦いの決着

「この状況で、誘拐できると思っているの」

 雫は、小声で言った。

 確かに、カメラは、二〇台、報道記者も一〇〇人ぐらい来ている。普通なら、この状況で拉致するなんて考える奴はいない。

「国内で、碧を拉致するなら、今日しかない」

 飛行機が飛べるようになったら、碧は、アメリカに行く。アメリカでも拉致できるかもしれないが……。

 そう思った瞬間、碧の家から、モコモコ煙が立ち上がってきた。なんだ、この煙……。火事? 毒ガス? この状況では、まだ判断できない。

「碧を助けに行ってくる」

 僕は、イノベーションの能力を使って、煙を吸わないようにした。碧は、リビングで咽せ込んでいた。

 僕は、咽せ込んでいる碧を担いで、外に出た。

「大丈夫か。碧」

 僕の問いに碧は、頷いた。

 救急車が一台、来ていた。たぶん報道記者の誰かが、呼んでくれたのだろう。救急隊員が来た。

「大丈夫ですか」

 救急隊員の一人が碧に聞く。

「意識は、ありますね」

 救急隊員は、安堵の笑みを浮かべる。

「なるべく、大きな病院で」

 大きな病院であれば、七海も狙いにくいだろう。

「わかりました」

 救急隊員は、頷いた。救急隊員は、碧を救急車に乗せようとした。乗ろうとした時、救急隊員が雫と肩がぶつかった。

「待ちなさい」

 雫は、拳銃を救急隊員に向けた。もう一人の救急隊員が、拳銃の引き金を引いた。

 僕は、雫を押し倒した。救急隊員の銃弾が、僕の頭部を擦った。僕たちが倒れている隙に、救急車は、発進した。

「何があった」

 僕は、雫に聞いた。

「あれは、七海たちの仲間よ」

 僕は、雫の言葉に、息が止まりそうになった。


 ヤバイというか、マジで死ぬ……。

 雫は、運転で、片側一車線の道を時速七〇キロで飛ばす。僕は、助手席にいるのだが、手には、大量の汗が滲んでいた。

「運転が荒いってレベルじゃないぞ」

 確かに、雫は運転がうまい。僕が出会った人間の中でも一位か二位を争うだろう。それは間違いない。ただ、ブレーキをあまり使わない。

「急いでいるんだし、仕方ないでしょ」

 犯人に、雫は触れた。雫の能力は、サイコメトリーだ。雫の言うには、犯人たちは、都市部から離れた倉庫街に向かっているらしい。そこには、七海もいるとの情報だった。

「この先を曲がったところ」

 雫は、指を差した。

「僕では、七海には勝てない。悪いが、作戦通り頼む」

 作戦ともいえるか、わからないけど。

 そこには、雫の推察通り、救急車が止まっていた。まだ停止ランプがついている。

 救急車の後ろの扉が開いた。二人組の男の一人は、碧の喉元にナイフを突きつけていた。もう一人は、運転席から出てきた。

「そこまでだ」

 僕は、運転席から出てきた男に銃を向けた。

「こっちには人質がいるんだぞ」

 碧にナイフを突きつけている男が、笑いながら言った。

 僕は間髪入れずに、運転席から出てきた男に銃弾を放った。銃弾は男の額を貫通して、噴水のように血が出た。

「この女が早く死ぬだけだ」

 ナイフを持っている男が、碧を刺そうとした。

 僕は、イノベーションの能力を使った。『予想』男が、ナイフで碧を刺す。『効果』腕が痺れて碧を刺せない。男のナイフを持っている右手が震え出した。

「動かない。クソ、痺れる」

 男は、何が起こったかわからない混乱と苛立ちが混じった口調で怒鳴った。碧は、混乱している男から、逃げ出した。

「ちょっと待った」

 男は、手を上げた。僕は、男の行為を無視して、引き金を引いた。男の眉と眼球の間を銃弾が貫通した。

 コンクリートに違和感を感じた。足下を見ると、綺麗で細かい砂が大量にあった。なぜだ……?

「涼、来てくれたんだね。手間が省けたよ」

 耳元で七海の声がした。僕は、七海に喉を切られた。

「私はね。砂にもなれるんだよ」

 七海は、コンクリートを指さした。七海は、僕を無視するかのように、碧に近づこうとした。

 僕は、予想崩しの能力を『予想』僕は、動けない『効果』二分だけなら、動ける。僕は最後の力を振り絞り、銃の引き金を引いた。

 銃弾は、七海に当たった。だが、細かい砂がポロッと溢れる程度だ。

「そんなちっぽけな銃じゃ、私は死なない。砂を全部、抹消するかのような攻撃じゃないと、効かないよ」

 七海は、自慢気に答えた。

 もう無理なのだろうか。このまま、僕たちは、殺されるのだろうか? 七海の手が、碧に触れた。その瞬間、死角に隠れていた雫が、バケツの水を、七海に掛けた。

「疾風」

 七海の冷たい声が、聞こえた。その声と同時に、大きな風が起こる。雫は、コンクリートの壁に、勢いよくぶつかった。

 雫は、吐血して倒れた。

「小学生の喧嘩? 最後の負け惜しみ」

 七海は、濡れた自身の服を見ながら皮肉った。

 七海……。負けるのは、お前だ。僕は、銃の引き金を引いた。銃弾は、七海の腹部を貫通して、大量に出血が出た。

 七海は、なんでと言った顔つきで、僕を見た。砂は、水でくっつく。すなわち、強制的につっつかせれば、細かい砂にはなれない。

 一種の賭けだったが、成功したようだった。僕は、気を失った。


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