表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/27

目的

「お客様にご連絡です。今、空港内で事件、又は事故が起こったため、本日発着するすべての便の運行を中断いたします。」

 アナウンスが流れ、空港内は、騒然とした。起こしたのは、七海なのか? いや、間違いなく七海だろう。優衣は、不安そうな口調だ。

「碧ちゃんのこれ、足止め?」

「間違いなく、そうだろう」

 七海は、碧を足止めした。七海は、この状況の碧を狙える? これだけ人込みが多いのに碧を狙って誘拐するのは簡単ではないはずだ。しかし、狙撃なら……。

「まず、碧を安全な場所へ」

 安全な場所と言えば、空港内の室内か。

「碧の件は、僕がやる」

「私は何をすればいいの?」

 優衣は、僕に質問した。

「椎名は、防犯カメラの映像を確認してくれ」

 潤がなぜ、あそこに急に現れたのか。

 僕は、空港内の係員に、リベルタであることを名乗り、部屋を一つ貸してもらった。

 用意してくれた部屋は、応接室だった。少し、碧は、呆然としていた。兄が、あんな殺され方したんだから、当然だろう。碧は、冷たい声で喋った。

「兄さん、なぜ死んだの?」

「ごめん。僕には、わからない」

 事実、七海が、なぜ潤を狙ったの不明だからだ。

「じゃあ空港内でなぜこんな部屋、用意できるの?」 

 確かに、碧の疑問は、正しい。適当に僕は、誤魔化した。

「たまたま、空港の人と知り合いがいて」

「じゃあ、なぜ私をこの部屋に呼んだの?」

 碧の質問攻めだ。正直に、僕は話した。

「西尾さんが狙われる可能性があったから」

「私が狙われること、知っているみたいだね」

 碧の言葉と同時に、僕の携帯電話が鳴った。七海が、犯行声明を送ったというものだった。犯行声明なるものを送るなんて、愉快犯か?

 七海自身の生い立ちと、なぜ殺したのかを淡々と述べた文章だった。それに「今日これから発着する、すべての飛行機を落とす」と七海は、脅した。

 これで、碧は、海外へ行けなくなった。


 なぜ、七海は、犯行声明を送ったのだろうか? 七海は、イルミナスのメンバーと言っていた。そのポディションを捨ててまで、碧に復讐するのか?

 そのようなことをする七海をイルミナスが許すのだろうか。いや、許す許さない以前に犯罪者とわかった人間を警察が飼っているとわかれば。一般人は、絶対に許すはずがない。

「犯行声明を送る目的、何かわかる?」

 僕は、雫に聞かれた。

「複雑かはわからない。僕は、単に飛行機の発着を止めるだけではないと思うけどな」

「確かに、飛行機を止めるのが、目的ではなさそうね」

 雫も、他に狙いがあると思っているのだろう。

「そもそも犯行声明って、どんな内容だったんだ」

 そこが一番重要だ。

「西尾七海の過去を事細かに書いてあったわ。それにどうして人を殺すように書いてあった」 

「イルミナスの件も書いてあったのか」

 書いてあれば、七海は、やけくそになって行動している。もしも書いてなければ、目的は、わからない……。 

「いいえ書いてなかったわ」

 イルミナスの件を書いてなかった。イルミナスにいるポディションを捨てない……。どういうことだ。

「何が、目的なのか。全く見当つかない。ただ、お前の能力だったら、わかるんじゃないのか」

「私のサイコメトリーを、どうやって使うのよ」

 雫は、困った表情を浮かべていた。僕は、犯行声明の手紙に、重要な七海の記憶があると思った。

「この犯行声明に、何か重要な手がかりがあるかもしれない」

 数十分後、犯行声明は、届いた。

「ちょっと集中させて」

 雫は一回、深呼吸をした。雫は、手紙に触れた。

「ある程度は、わかったわ」

 息を呑むように雫は、喋った。

「何が、わかった」

「目的は、複雑じゃなかった。やけくそになっているわけでもない」

「じゃあ何が、目的だ」

 七海自身の過去を暴露したところで、何得られるのだろうか。

「七海の過去を暴露したんじゃないの。碧のよ」

 僕は、雫の言葉にグキリとした。

「まさか……」

「碧ちゃんは、自分が、人間ではなく、ファルセダとわかった時、相当なショックを受けるわ」

 雫の言うとおり、碧の状況が気になる。

「雫、わかっているとは思うが、報道規制を、頼むぞ」

「了解。ただ、夕方のニュースには、間に合わせる

「僕は、碧に連絡する」

 僕は、立ち上がった。と同時に、携帯が鳴った。優衣からだった。僕は、電話に出なかった。

 優衣のことだ。重要な件であれば、能力で飛んでくる。能力で飛んでこないのであれば、重要な件ではない。しかも今は、忙しいのだ。

 しかし、なにか、違和感を感じた。僕は、電話に出ようとした。その瞬間に、電話は、切れた。たぶん、十五秒ほど経ったからだろう。

 僕は、すかさず碧に電話をした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ