友人だったはずなのに
ありえない。なぜ、七海が。死んだのではなかったのか。そもそも三号機とは、なんなのだろうか?
「私……」
碧が驚いている。
「ほんとうに七海なの?」
奈那の質問には、七海は答えなかった。碧が困惑した表情を浮かべる。
「七海って誰?」
七海は、碧に銃を突きつけた。
「西尾さんを連れて、逃げろ」
僕の言葉に反応して、テルたちは、逃げた。
七海が、笑った瞬間に「岩」と言った。その瞬間に、一階に行く階段には、大量の岩が発生した。
この能力が七海のものだとしたら、間違いなく七海は、強い。たぶん僕の力だけでは、厳しいか……?
「早く、上の階に」
碧は奈那の手を引っ張り、上の階に移動する。七海の表情は、上の階なら、別にという表情だ。
奈那は、通常の表情でなかった。感情のない何か人形のような感じ……。あんな奈那を見たくはなかった。
なぜ、能力で攻撃しない……。
階段は、一カ所だけ。エレベーターは目の前にある。しかしエレベーターは停電で使えなくなっている。逃げ道はない。そもそも、少女が七海のなのかすら、怪しい。
「なぜ、このような事件を起こした」
「突風」
何かの能力なのか? ここで、七海に照準を合わすのは、まずい。
僕は、左に避けた。僕の前方に凄まじい風が発生する。その風に吹き飛ばされ、水槽に後頭部をぶつけた。僕の意識は、朦朧とした。
「万事休すって奴かな」
少女は、厭らしい笑顔を浮かべる。
僕をすぐに殺さない理由は、遊んでいるのか。それとも、何かこれから、交渉でもする気だろうか? それとも他の理由があるのだろうか?
「お願い事があるんだけど」
やはり、何かの交渉か? しかし、逆に考えれば、これはチャンスだ。七海に化けているのか。それとも、七海本人なのだろうか。七海ではないことを祈りたい。
「聞くだけ、聞いてやる」
「碧たちを、ここまで呼んでよ」
やはり、碧が目当てなのか。とうてい飲める要求じゃない。
「そんな要求、僕が聞くと思ったのか」
「昔なら、なんでも聞いてくれたのに」
ポツリと七海は、呟いた。
まさか……。僕は、七海かどうかを確認するため、鎌を掛けた。
「何が目的なんだ。七海のカッコまでして。そこまでして、なぜ碧にこだわる」
「七海のかっこって、七海だもん」
七海は、当然のように話した。
「死んでなかったのか」
遺体は、確認したはずだが。
「もちろん」
嘘や偽りがない表情で七海は答えた。どういうトリックを使ったのか全くわからない。
「遺体は、確認したなのに、なぜ……」
「私のいる組織はね。簡単に瓜二つの人間を作れる。したがって、ダミーの遺体だって、作れるんだよ」
そうか。これで、トリックが、なんとなくわかった。
「こんな工作をしても、なんの意味もない」
たぶん碧を殺す気だ。
「意味は、ものすごくあるよ」
自信ありげに七海は、話した。
「ろくでもない理由だったら、許さんぞ」
ここまでのことをしたんだから。七海は、どこかを睨み付ける表情に変わった。
「そこまで言うなら、教えてあげる。私の過去を」




