表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/27

エレベーター内の会話

 僕は、母親をテロリストに殺された。母親を殺したテロリストに復讐したい気持ちはある。しかし、僕が、リベルタに入った理由は、復讐心ではない。

 莢乃さんが、倒れたからだ。リベルタは、色んな所から恨まれている組織だ。下手したら、組織解体だってありえる。だから僕は、リベルタに入った。

 池袋のオフィス街に来た。東池袋駅と隣接している、サンシャイン・ビルの十八階の場所。そこが、リベルタの本部だ。《YRDマーケティング》という名前で入っているけど……。

 俺は、サンシャイン・ビルに入る二分前、メールが届く。奈那からで、「今日、七海の様子どうでしたか?」という内容だった。

 七海とは、今日、会った。変わった様子は、特になかったはずだ。

「別に、普通だった」と返答した。サンシャイン・ビルは、私物の携帯電話は、禁止だ。僕は、電源を切った。

 僕は、中に入り、エレベーターのボタンを押す。

 地下から来たエレベーターの扉が開く。優衣と同じエレベーターになった。最悪だ……。

「なぜ、負けたのに逆らうの?」

 優衣の目が鋭い刃物のように鋭い。ていうか、勝ったのは、俺の方だ。

「アホいえ、僕が勝っただろうが」

 どう考えても、僕の勝ちだろうが。

「私に謝ったでしょ。その時に、勝負は決まったのよ」

 確かに僕は、謝った。しかし……。

「絶対に許さないとか言ったんだろうが。あの時点で、試合続行だ」

 俺の言葉に、優衣が能力を使い、一枚の紙切れを出した。

「涼君、倒れて起きたの、八時くらいだよね」

 優衣が、何を言いたいのか、全然わからない。僕は、適当に相槌を打った。

「そうだったら」

「これ、私の倒れた時間」

 優衣は、僕に紙を渡した。診断書のようだ。確かに、長い文章の中に『七時半ぐらいに意識が回復される』と書いてある。

「僕の攻撃で、お前は、倒れた」

 優衣の言っている主張も一理あるのかもしれない。ただ、ここで認めたら大変な状況になる。

「知っている。格闘技の試合で、自分を殴ったらどうなるか、知っている?」

 そんなレアケースあるのか? 適当に答えると、優衣の思う壺のような気がした。

「何が言いたい」

「そのまま倒れて、ダウンを獲ったんだよ」

 そんな試合あるのか。優衣が、嘘をついているようには見えない。そのような試合が、実際あったんだろう。

「要は、格闘技の場合、自分への攻撃も有効なんだよ。涼君が、涼君自身に攻撃しても、何の問題もなく、有効」

 なんか論破されたような気分だ。

「格闘技に置き換えるなら、あの状況は、ダブル・ノックアウト。通常のルールなら、病院に運ばれた時点で、試合終了だ。起き上がったのが三〇分早いとか、関係ないだろう。まぁ、引き分けって結論だな」

 僕の反論に、優衣は、ピクリともしない。

「私のほぼ勝ちね」

『ほぼ』と口にしているのに口調は、自信満々だ。理解できない。

「なぜ、その結論になる」

「涼君は、引き分け。私は、勝ち中間とれば、わたしの『ほぼ』勝ちだよ」

 優衣は堂々と、自分の『ほぼ勝ち』を宣言した。

「強引だ。僕は、認めない」

 優衣は僕の言葉を「うるさい」と一蹴した。

 直後、僕の口の中に何かが現れた。舌がヒリヒリする。

 僕は、オレンジ色の液体――口の中の物を吐き出してしまった。ババネロソースが床に散乱する。

 エレベーターがピーンと鳴る。扉が、開く。そこには、雫がいた。

「ごめん」

 驚いた表情と同時に雫は、立ち去った。当然の反応だろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ