育児/奴隷
育児
夜泣きがうるさい。
毎日毎日、飽きもせずに職務を全うする稚児に人格を歪ませるまでの重労働を強いられる母親は、退職届の存在しない仕事に僅かに嫌気を差していた。
一方で夫は出張続きを理由に下の世話は一切見ずに非協力的だ。サイズが合わない指輪を買ってくるし、育児は女の責務と偏見を押し付けてばかりと。
愚痴は募り募った疲労を唯一、発散出来るもの。
結婚の後悔がよぎるも夜は訪れ、もう何千回目かの将来が楽しみな我が子の寝かしつけに挑戦する。
誘う睡魔とともに死も蜃気楼ながらに忍び寄り、一瞬の瞬きが思わぬ形でふっくらした頬に触れた。
そして、ハッと我に返って目にした光景は静寂。
それはおしゃぶり代わりに指を咥えさせるだけでずっと側にいる事とふやけることを引き換えに朝日に有り難みと心の余裕が生まれる大出血サービス。
今日も、ぐっすりと寝息も立てずに眠っている。
最近の寒波のせいか、心なしかほっぺが冷たい気がするが、まぁ普段通りだろうと朝食の準備に取り掛かろうとキッチン足を運ぶ、も違和感に気づく。
薬指に嵌めていた婚約指輪が何処にもない。
あれ? また落としたのかな?
奴隷
私事でありますが、この度、一年間の生活記録を日記にしましたので一部分を抜粋し、お見せします。
先ず、はじめに夜明けと共に起床。
目覚めから十分以内の身支度をモットーに反発物を叩きのめし、首輪に繋がる鎖をキツく締め、数回のお辞儀と行ってきますを心の中で唱えたら外へ。
数十分の距離を走り、最早、我が家と化した場に帰宅という名の骨を埋め、虚無の労働が始まります。
夕日が沈み、人々が閑散となり、目に変わり映えのしない光景が焼き付いた頃、家路を辿る時間に。
帰宅後、身を清めて軽食を終えれば、就寝。
また、この繰り返しです。
以上です。
……申し訳ありません。全て公開してしまって、他にお見せするものが何もありません。ご容赦を。




