傲慢:憎しみばかりの雌孔雀
象られた偏光は輝きを増すばかりだ。
繁栄を約束されし栄華は否応にも目が集う。
否、集わねばならぬ存在なのだ。
でなければ決して、決して。
全ては無に帰し、有耶?無耶。
皆さんは孔雀、と言われてどの様な姿を想像されますか?
大きく開かれた偏光のエメラルド。
美しく彩られたラピスラズリの輝き。
それが孔雀。いえ、"雄"孔雀、です。
では、雌孔雀はどうですか?
想像出来た方は余程動物が好きだとお見受けします。
雌は地味です。当たり前のことですけれど。
そうすることによって血を守るのですから当然です。
ですが、この雌孔雀はそれが許せなかった。
この宿主はそれを許さなかった。
彼女は名家の生まれであって、生まれながらに地位を約束された存在でした。
男でさえあれば。
残念なことに彼女は"女"でありましたから、何れ知らぬ男の元へと嫁ぎます。
彼女の代わりに男が立つのです。
勿論それは守る為でもあり、男尊女卑でもありました。
彼女は最初から望まれていなかったのです。
でも生まれたからこそ、仕方なかったのです。
良い服、良い食、良い住処。その全てを約束された籠の鳥。
血を結ぶ為の繋ぎ鳥。
ある日あの時あの瞬間まで、彼女は自身が天であると疑いはしなかったし、周りも疑わせはしなかった。それで保つのであれば何でもよろしかったので。
彼女は彼女の持つ血にしか目を向けられることはなかったのです。
とある日に、彼女は彼女と同い年の異母姉妹がいるということを知りました。
それが産まれた日から父親はおりませんでした。
母親ですか。既に気狂いでおりましたから、近寄らせては貰えなかった。
彼女はずぅと、裸の王様でしかなかった。
血があるだけの、地味な雌鳥。
父親も、母親も、彼女自身を見ることは無く。
周りもただ煽てるだけでありました。
私の方が優れているのに。
まともに生きている父親すら、彼女を捨てて逃げたのだ。
異母姉妹が憎い。父親を奪ったから。
父親が憎い。母親を壊したから。
母親が憎い。私を見ることをしなかったから。
全てが血でなく"私"に平伏せ。
ルシフェルによって意を結べ。
全て我が身の赴くままに。
こうして、傲慢の聖少女は生まれたのでありました。




