強欲:飼い慣らされた狐
どんなに気高く有り狂れたとて、首繋がれば家畜に同じ。
野に放たれど獣に追われ、火薬の匂いが染み付く始末。
金毛は枯れ地に背を着けた。
全ては無に帰し、過、干渉。
荒野に輝く金毛こそが、野生独自の美しさ。
そうは思いませんか?そうでもありませんか?
手馴れた獣は実に愛らしい半面、かつての野生は身を潜めることとなります。
飼い慣らされた彼女は"優秀"ではありましたが、元来の才能を捨てました。
これはそんなお話。
彼女は非常に優れた音楽性を保持しておりました。
ひとつひとつの音色をすくい上げ、紡ぎ、奏でることのできる才能。
ですがそんなもの、彼女には"不要"と判断されてしまいました。
無依頼の弁護を翳す父親。
損ない足りぬ知の母親と。
そのふたつは彼女に"優秀"であれと全て求めた。
勉学、スポーツ、地域活動。
芸術、文化、その才媛。
文字通り、全て。
そのお陰と言うべきか、はたまた才の残り香か。
彼女は"程々に"優秀な少女となりました。
学校では生徒会役員を務め、成績は上の下。
整えられた容姿は笑みを零せば湧く黄色。
ですがまだまだ、足りないのです。
何故、役員止まりか。
何故、上の下止まりか。
何故、スカウトに及ばないのか。
何故、何故、何故、何故?
両親は常に、彼女にもっとと求めるのです。
まだまだ足りない。まだ足りない。
お前に努力が足りてない。と。
本当に?
本当に、私、まだまだなのね。
私、益々、努力しなくちゃ。
私、益々、欲しがらなくちゃ。
私、もっと、家族の為に。
私、もっと、あの子の為に。
まだ足りない、から、もっと、。
もっと、欲しい、わ。
マモンより出て意を結べ。
全て我が身の求めるままに。
こうして、強欲の聖少女は生まれたのでありました。




