暴食:飢え繋がれた豚
交配を経て、かつて見やった野生は飢えた。
増やし増やされ血肉とし、終わらぬ輪廻の荼毘に臥す。
故に牙取り、飼う人有りや。
全ては無に帰し、螺旋の鎖。
家畜豚の起源は猪とされています。
ええ、猪。牡丹鍋食べてみたいんですよ。
これの宿主は非常に優秀な頭脳を保持しておりました。
それこそ家畜ではなく、猪と呼んで差し支えない程に。
ですがそんなこと、関係はなかった。
彼女はただ増え、繋がれただけ。
期待に繋がれた姉の元に降り立った妹は、見せしめとして育てられておりました。
足りぬ食料、冷えた宿。擦り切れ透けたぼろの服。
それが彼女に与えられた全てでした。
こうなりたくなければ、とよく聞いた気がいたします。
極めて優れた頭脳であれど、元が足りねば回らぬ頭。
薄暗い押入れに時折投げられる菓子。ウジの群れ。
静かになった部屋で、ほんのりと悲しそうな瞳を見つめ過ごしていました。
あくる日それも問題となり、仕方無しにか生活を。
それでも足りぬ食と服。
満ちることなき空の腹。
おなかが、すいた。
静かな部屋に、私と姉と。
姉は私の頭を撫でて、内緒だからと菓子を乗せ。
投げ入れてたのは姉と知る。柔いその手が愛おしい。
私は姉を守るため、私に出来ることをする。
お姉ちゃん。もう大丈夫。
怖がらなくても良いんだよ。
お姉ちゃん。おなかすいたから。
だから全部食べちゃった。
お姉ちゃん。なんで困った顔するの?
ふたりはもう息してないよ。
お姉ちゃん、お姉ちゃん。
これでいっぱい、食べられるよね?
意を結びませベルゼブブ。
全て我が身を呑み込むまでに。
こうして、暴食の聖少女は生まれたのでありました。




