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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

因果応報リサイクル

作者: MAMA
掲載日:2010/01/21

 読む前に言っておきます。

 気に入らないと思うかもしれません。

 人を人として見ない作品です。

 テレビを見てふと思ったので、書いてみました。

 ちなみに、世の中と関連づけて書いています。

 はっきり言ってしまえば殺しに人間も何も関係ない。人間だから殺してはいけないなんてのはただの戯言で、人間も他の動物を殺しているではないか。たとえそう言った所で「間違ってる」「可笑しい」など意味不明な回答が返ってくる。人間には心があるから? それがどうした? 心があったところで、人間が他の動物を管理して良いわけではない。ただ頭の良い動物だから、それだけで人間が他を支配する。『動物』なのに『人間』のカテゴリを分けて考える。人間は人間。動物は動物のように。まるで人間が神になったかのように。・・・・・・いや神ではなく紙だ。薄っぺらな一枚の貧弱な紙だ。どんなものよりも弱い、集団で生きるしかない馬鹿な生き物だ。死ねば地球の栄養になるのに、わざわざ燃やして、無駄な温暖化ガスを出すのもどうかと思う・・・・・・話がそれてしまった。すまん。いま火葬中なんだ。

 俺の名は――だ。

 人類に悲観し、不老不死を研究し、一度はあきらめた人間だ。不老不死については最初は『難題』だと思って張り切って研究してたんだけどね、それは『解決済み』だったんだ。あきらめたと言えばそうでもあるが、答えが出たと言ったほうが正しい。これは自分を援護する訳ではない。人類と言うのは一種の不老不死だったんだ。人は老いて死ぬのだが、途中で性欲を伴う。三代欲の一つで三番目の快楽・・・・・・気持良さが味わえる部分だ・・・・・・ちょっと予断だが、睡眠欲が一番の快楽だ。食も性も我慢しても睡眠だけは我慢できない、だから一番だ。次は食欲だな、栄養を取らねば性なんてのは沸かない。それで性欲が三番だな。

 話しを戻そうか――子を作ればその子もまた老いて子を作る。そのまた次の世代もだ。その次もその次もそのその次も・・・・・・未来永劫、人類が一瞬で滅びる事が無ければこれからも人類は生きる。ただ人類は自分で自分達の首を絞める、哀れな生き物だから徐々に死んでいくかな。そこんところはまだ分からない。それでも人を一個人としてなら研究は『難題』になるが、人を団体で見るなら『解決済み』になる。だから俺はいま一個人の移動を研究している。体の生体電気をどこかに移すのだ。もっとも子供が媒体になるのだが・・・・・・。そうすれば個人の不老不死は完成だ。

 暗黙の空間にただ煙のにおいが立ちこめる。

 ここで笑いは禁物なので、黙ったまま骨を拾い、箱に入れていく。犯罪者の骨も拾えば罪が償われるのか? 不明だ。犯罪者だろうと無かろうと死んでしまえば関係ない、こちらに残るのは骨と、その関係だけだ。まぁその関係に恨み、妬み、憎しみなどが含まれるのだが・・・・・・俺が晴らしといてやったよ。

 骨を入れ終わったら、その箱を持って一階に上がり、粉末機にかけておく。粉になった骨は、土と一緒に埋めれば栄養価満天だ。二階に上がり、研究室の扉を開く。

 暖房の効いた暖かな部屋。

 ベッドに横たわる二十人の女性。

 全員のお腹が大きく子を宿したまま、死んだようにベッドで寝ている。

 首筋の動脈には管が刺さっており、その先には無色透明の液体。

 そしてこいつら――実験体。

 運命だろう。運命だ。そう思ってくれれば良い。こいつらの人生はそれだけの運命だったと。もともとが悪いからね。因果応報ってやつだよ。悪をすれば悪が返ってくる。けどこいつらの場合、辛い思いせず死ぬことが出来るのだから幸いか。じゃあどうやってこいつらを手に入れたかと言えば、『金』の一言に尽きる。今のご時世、金が欲を満たすといっても過言ではない。金欲だ。金欲が食欲も睡眠欲、性欲にいたっても支配してしまっている。こいつら犯罪者も金に異常に強欲なやつから金を支払って手に入れた実験体だ。今は植物状態だけどね。

 俺はな? 知識欲が上回る人間だから。こいつらの事はどうでもいい。俺が寝ている状態に人工授精じゃなくて、無理やり植物状態のまま犯したんだけどね。それで全員孕んでんのさ。性欲も実験で得られる知識のためだから仕方ない。だからと言って、けして俺は異常ではない。俺から見れば世間が異常だ。多数が絶対の世の中、俺みたいな少数は無に等しい。無かったことにされるんだ。哀しい事にね。

 実験体は一番から順に腹のサイズは小さくなっていく。

 まだか・・・・・・さっき焼いたのは子を産んだばかりの実験体だ。元一番ってところだ。駄目だった子供は既に俺の胃の中。美味うまかった。大人の肉は頬しか美味くない。他は、脂肪だったり、筋肉だったりで不味い。基本的に生臭く、生姜などで臭みを抜かないと本当に食えたもんじゃない。腐ると、臭いが嫌だから、ああやって眠る間に殺しておくんだ。

 親切だろ?

 子はね美味いんだ。特に生まれたばかりはね。最近は煮込みがいいね。圧力鍋で三十分煮込めばとても美味い。臭みも無く全身が柔らかい肉だから骨の髄までいけるんだよ。なんというか蕩ける感じ? 高級な和牛ステーキが脂身みたいですぐに蕩ける感じに近いな。そんで軽く平らげたんだよ。美味かった。もう一個食べようか・・・・・・やめとこう。

 

 ――ガチャリ


 と扉が開き、明るい日差しとともに誰かが入り込む。

「やぁ父さん」

 若い青年だ。俺の実の子供だが、俺の個人思想の移動が半分完成した証でもある。当然母親は死んだ。こいつが完成したら俺はその体をもらえたのに。食べてやりたいが食べれない。食欲を知識欲が抑えるのだ。そもそも分かりきったことだが生体電気の移動など出来ない。出来たとしてもコピーになってしまいオリジナルの俺は残ってしまう。だから直接脳を移植するしかないんだ。まだ希望は残っている。こいつを残した理由は・・・・・・俺のドナーだから。

 クローンは命が短い。

 だからクローンだけは作らなかった。今の科学じゃ子を作る方法は女とのセックスしかない。だから奇跡とやらに賭けてたらこいつが生まれて来たのさ。もちろん母親は土じゃなくて感謝の意を込めて墓を買ってやった。こいつは母親が居た事は知らないけどね。俺の教育と言う奴だ。子が出来て初めて思った、教育は重要だとね。こいつは俺をおかしな奴だと思わない、逆に人が人を食べる事を普通だと思っている。こうして今もこの状況を見てもなんも思ってなんかいない。ニコニコと笑って俺にナイフを突きつけた。ただそれだけ。

 

 ――グサ

 

 俺は抵抗せず、首元に差し込まれるナイフを見るだけ。

 因果応報。

 まさに俺だった。

 ナイフが抜き取られた。赤く染まった隙間から情けない断末魔がヒューヒューと息をするだけで出てしまう。俺は足下から崩れて生き、床の上に仰向けになった。自然と視界にはいる息子は成長していた。背も伸び、不敵に笑う顔もヒゲを生やし大人になっていた。気づかなかった、見ていなかった、自分の子供を高性能なロボットのように認識していた。

 腐った世の中だ。

 父が俺に教育をおこない、俺が父を殺し、研究を受け継ぎ、俺が子に殺される。まったく循環する命ではなく、流れていく命だ。

 おそらく、突然変異で変わり者で無い限りこいつも同じ運命だ・・・・・・今になって反省を思う俺だから、声にだして伝えようにも、声がヒューとしか出ない。あの時の父の言いたかった事はこれか・・・・・・「俺と同じ事をするな」と言いたかったのか。反省が伝わらない世の中か・・・・・・まさに今じゃないか。はっ、反省せずに繰り返す、だが少しずつ進んでいく。子に研究が受け継がれ少し進む。さてこいつは反省するのだろうか? ・・・・・・。

 哀れな人類。

 哀れな俺。

 分からない子孫。

 分からないこいつ。

 

 希望は反省で、反省は奇跡。


                            おわり



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