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アルフォードの溺愛2

誤字報告ありがとうございます。大変助かります。訂正しました。感謝しかありません。

暇つぶしに読んで頂けたら嬉しく思います。

 アルフォードはクララが愛おしくて仕方がなかった。今もスラッとして清楚な感じで可愛いのだが、これから大人になっていく過程が想像できてしまう。


アルフォードが十五歳なのでそれくらいまでしか、想像はできていないのだが、同級生の女子生徒より絶対に美しくなるに違いないという確信があった。


指先へのキスだけであんなに恥じらうのだ。接触はゆっくり怖がらせないようにしなくてはと思った。


今度のデートは郊外にある湖へピクニックに行くことになっている。クララがどんな反応をするか楽しみだった。


伯爵家へ迎えに行くとクララは黄色のワンピースにブーツを履き、白い帽子を被って出迎えてくれた。アルフォードは白いシャツに黒のトラウザーズにした。


「クララ凄く可愛い、とても良く似合っているよ」

「アルフォード様も素敵です」

「じゃあ出かけようか」


「今日は湖なのですね、楽しみです」

「そうだよ、お手をどうぞ」


そう言いながら馬車までエスコートをした。馬車の中で退屈させないように話題を仕入れてきた。女の子の好きなスイーツの話である。

何処のケーキが美味しいそうだから今度行こうとか、今人気のスイーツは何だろうかと話は尽きなかった。


クララの好きな花の話もした。花は図鑑を見たり、侯爵邸に植えられている花を見て勉強してきた。元々見ていたものが多かったので苦労はしなかった。




そんなこともあり馬車の中は楽しいものになった。馬車の外を流れる景色にクララが楽しそうなのも良かった。


まだ研究中の薬草の話も少しだけしてみた。結果が出せていないのでどうかなと思ったが、以前聞かれた時に今は言えないと言った事が関係を悪化させたのではと気付いたからだ。

クララは興味深そうに聞いてくれた。

どうして内緒にしたんだ、あの時の僕.....



湖に着くと空気の綺麗さに気付かされた。エスコートをしながら馬車を降りると、クララが目を輝かせた。


「とても素敵なところですね」

「うん、少し歩いてみようか」

「はい、風が気持ちいいですわ。光も柔らかい気がします、気のせいかもしれないですけれど」

「木漏れ日だからだよ、気のせいではないさ」


アルフォードはすかさず手を繋いだ。小さな手が可愛い。クララも慣れたのかそのままにしてくれている。


クララはアルフォードの手は大きいなと思いながら、思わず顔を見つめた。木漏れ日の中だが赤くなっているように見えた。

それに気づいたら、クララも恥ずかしくなり赤くなって俯いてしまった。


小さな声でアルフォードが

「ほらリスがいるよ、見てごらん、その木の先」

樹々の緑が生い茂っている間にリスがじっとしていて、何かを食べているようだった。


「可愛いですね」

「君のほうが可愛いけど、まあリスも可愛い。それよりこの先にもっと素敵なところがあるんだ」


「あっ、お花畑です、わあー、綺麗です。色々な花が一面に咲いてます」

アルフォードは思わず顔がニヤけてしまった。なんて可愛い反応、こんなに喜んでくれたら連れてきて本当に良かったと思えた。


「あっ、私ったらはしたないところをお見せしてしまいました」

「はしたなくなんてないよ、喜んでくれて良かった。ここら辺に座ろうか」


そう言うと従者に敷物を用意するように命じた。

その上にお茶とサンドイッチの入った篭が用意された。

サンドイッチの中身はローストビーフや厚く切られたハムにチーズ、卵そしてデザートの果物がたっぷり詰合されて入っていた。


「さあどうぞ、苦手なものは食べなくて良いよ。僕が食べるから」

「どれも美味しそうです。そんなには食べられないと思いますけど」

従者がさっとお茶を入れて離れていった。



二人でゆっくりお昼を食べると、アルフォードがクララを見つめて

「好きだよクララ」

と真っ赤になりながら告白してきた。

「今まで薔薇の花とか贈り物や態度では示してきたけど、言葉では言ってなかっただろ、ちゃんと伝えなきゃと思ったんだ」


「私はまだ」

「言わなくて良いよ、まだ気持ちがそこまでいっていないのはわかるから。でも本気なのはわかって欲しい。君が好きだよクララ」


クララは真っ赤になってしまい俯くことしか出来なかった。

初めて告白をされた、こんな王子様みたいな人に。一度は解消も考えた婚約だったけど続けてもいいのかな。よくわからない気持ちに振り回されるクララだった。


屋敷に帰ったクララは、侍女に手伝って貰い着替えを済ませてから母親のところへ行った。


「お母様、ただいま帰りました」

「お帰りなさい、クララ。楽しかったようね、いい顔をしているわ」

「いい顔ですか、自分ではわからないので」

「何か話があるのではなくて?今日のことなら聞いてあげるから、そこに座りなさいな」

「はい」


侍女にお茶を淹れて貰ってから、母と二人きりになった部屋で、今日あった出来事を話したのだった。


クララの話を聞いた母はアルフォードの事を見直してもいいのではないかしらと思うようになっていた。


クララは母に話したことで自分の中にあった気持ちに気づき始めていた。もしかしたら恋というものをしているのではないかしらと。

毎日顔を見せに来てくれるアルフォードを好きになっているの?


十二歳の少女は母親にこのまま婚約を続けたいと答えていた。


この事は父親に伝えられ了承された。そしてクララから伝えるように言われた。


「クララ、好意をストレートに言わなくて良いのよ。ただ婚約を続けますと言っておあげなさい」

と母が笑って言った。


「はい、お母様、そうします。好意は恥ずかしくて口にできません」

やはり母に話をして良かったと思うクララだった。


アルフォードがスイーツと薔薇を一本持ってクララを訪ねた後の喜びようは言うまでもない。


「クララありがとう。婚約を続けてもらえて最高の気分だ。君に相応しい男になることを誓うよ」

「わたくしもアルフォード様の隣に立っていられるよう頑張ります」


アルフォードはクララをそっと抱き寄せ、髪をひとすくいして口づけを落とした。

そしてポケットに忍ばせていた小箱を取り出した。蓋を開けるとピンクのダイヤが付いた指輪を取り出した。


「君に似合うと思って買ったものなんだ。貰ってくれる?」

キラキラと輝くダイヤが今の気持ちにぴったりな気がしてクララは頷いた。


薬指にぴったりな指輪はクララの宝物になった。


五年後、クララが十七歳、アルフォードが二十歳の時に結婚式が執り行われた。初恋が実り幸せオーラが輝く二人の姿がそこにはあった。


アルフォードはこつこつと研究を続け薬草を薬の形にして、畑に撒くようにした。痩せた土地にもそれを撒けば改良が見られるようになり、農地の活用の手助けになっていった。




クララは今朝もアルフォードの腕の中で目を覚ました。隣にいる旦那様の肌の綺麗さや閉じた睫毛の長さをしみじみと堪能する。形の良い唇にそっと唇を合わせるとアルフォードが


「僕の可愛い奥さんはもっと愛してほしいのかな?」

と言ってぐるっと腕を回して抱き込まれ身動きできないようにされてしまった。


少し抵抗はしてみたがすぐに頭が真っ白になり何も考えられなくなった。


数年後二人には可愛い男の子と女の子に恵まれた。

上はクララそっくりの男の子でランスロットと名付けられ三歳になり、二つ下の女の子はアルフォードそっくりでアメリアと名付けられた。


天使のような可愛い二人に両家の祖父母はメロメロになっていた。すぐにおもちゃを与えようとするので、お互いの親の牽制に頑張るクララとアルフォードだった。









これで二人の幼い恋物語は終わりです。お付き合いいただきありがとうございました。

次作  せっかく異世界に転生したのに悪役令嬢なんてごめんです  を執筆中です。目に止めて頂けると幸いです。宜しくお願いします。

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