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私のことなど見向きもしない婚約者に別れを告げたら縋り付いて来るのですが。何故?  作者: もも


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婚約とすれ違い

お読みいただきありがとうございます。

婚約はしたけれど、という感じです。 跡継ぎの自覚を持っているクララと婿に入る自覚のない?アルフォードがすれ違っていきます。

クララの婿選びは進み、侯爵家三男や伯爵家三男が数人残った。

その中で成績が優秀で剣の腕も見込があり、性格に問題なしと思われたのがブリゼール侯爵家のアルフォードだった。


一度本人同士を会わせてみようという事になった。

顔合わせはスタンレイ伯爵家で行われた。両親と子供達が応接室でお茶を飲みながら世間話をした。


スタンレイ伯爵家は広大な領地を所有し小麦の一大生産地だった。それに加えレモン栽培で利益をあげていた。


それに対しブリゼール侯爵家は金の産出額が国内随一だった。

金が採れるのは限りが出てくるだろう、だから今のうちに縁を結んでおこうと言う考えなのだろうかと、伯爵は笑顔の下で考えていた。

子どもたちを見ると緊張しているようだ。大人の話など面白くないだろう。

「クララ、庭を案内して差し上げなさい」

「はい、お父様。アルフォード様参りましょうか」

アルフォードはまだ緊張しているのか黙って付いてきた。

「先程は綺麗な薔薇の花束をありがとうございました」

「どういたしまして、気に入ったのなら良かった。綺麗なお庭だね」

「母が管理をしています」

「昔君と会ったことがあるんだけど覚えていない?」

「昔ですか?今十歳なので昔というと小さかった頃ですね。すみません、覚えていないです」

「良いんだ、君はすっかり綺麗な少女になったよ、眩しいくらいだ」

「褒めすぎです」

「そんなことはないけど、充分花も見せて貰ったしそろそろ戻ろうか。帰る頃かもしれない」

「そうですね、今日は来ていただきありがとうございました」

「そういえば妹さんがいるの?僕は兄が二人いる」

「います、今四歳で可愛いです」

「ぼくも兄達と仲がいいんだ」

そうしてブリゼール侯爵家は帰って行った。


クララは初めての経験を母とお茶を飲みながら話すことにした。

「クララ、アルフォード様はどうだった?」

「お花のお話をしたわ、昔お会いした事があるみたい。覚えていないけど」

「まあ、五年前のお茶会で会っていたのかしら」

「何かおっしゃった?」

「なんでもないわ、少しは落ち着いた?」

「はい、慣れないことをしたのでドキドキしてしまいましたが、お茶を飲んでお母様とお話をしたら落ち着いてきました」

「それは良かったわ、今日はお部屋で少しゆっくりなさい」

「そうします」


クララは部屋に戻り侍女に手伝ってもらいながらよそ行きのワンピースから普段用のものに着替えた。


そしてアルフォードのことを考えた。金髪碧眼だったわ、今も素敵だったけど大人になったらモテるだろうな。外に愛人とか作られるのは困るわ。社交界でモテる姿を見てやきもちを焼いたりするのは嫌だな。穏やかな生活がしたい。お父様にお話をしてみよう。


夕食後クララは顔合わせはどうだったかと聞かれたのでその事を言ってみた。


「クララは老成しているね、とても十歳だと思えないよ」

「駄目でしょうか?」

「駄目ではないけど、頭脳、性格、剣の腕で選んだらアルフォード様が一番だったのだよ。クララが面食いではないということは分かった。次を探すとなると時間がかかる。少し待ってくれるかい?」

「もちろんですわ、直ぐに顔合わせは疲れますので」


顔合わせから三日後、ブリゼール侯爵家から正式な婚約の申し込みが届いた。

相手は格上の侯爵家、断る理由がない。縁続きになっておく方が有利な相手だった。父親から言われた訳では無いが、クララは自分の考えは我儘だと思い家を優先することにした。


今までより領地経営に力を入れて勉強をすることにした。

マナーもダンスも刺繍や孤児院の訪問にも力を入れた。

父親について領地へ行き更に良くできる事はないかと勉強をした。

特産は小麦とレモン栽培。領地の騎士団にレモンの砂糖漬けを食べてもらった。

「お嬢様、疲れが取れる気がします。美味しいのでたくさん食べられます」

「良かった、今度輪切りをお水に入れて飲んでみてね。お父様のお気に入りの飲み方なの」

「考えたこともありませんでしたが、領主様がやっておられるなら試してみます」

「訓練の後喉が渇くでしょう?厨房で作ってもらって持ってきてもらうわね」

「お嬢様、色々と考えていただきありがとうございます」

「領地が安定しているのは皆さんのおかげですもの、お礼を言うのはこちらよ」

「次代も安心して過ごせますね」


クララはレモンの皮を使ってクッキーを作ってみることにした。配分はシェフと相談をした。甘くてさっぱりとした物が出来上がったのでまず自分たちで味見をした。

「お嬢様これは美味しいですな」

「そうよね、お父様にも食べていただきましょう」

父を探してクララはお茶に誘った。

「お父様如何ですか?」

「美味しいね、甘いものは苦手だけどこれなら食べられるよ」

「良かったです、これを領地で売るというのはどうでしょうか?」

「良いかもしれないね。心当たりのお菓子屋があるからそこで売ってみようか?」

「楽しみです。うまくいけば雇用に繋げられるようになるかもしれません」

「そんなには都合良くいかないと思うけどね」

「良いんですよ、やってみることが大事です」

「クララは良い領主になるよ」

「ありがとうございます」


着々とクララと父伯爵は領地を盛り上げていった。

レモンのクッキーは領地の銘菓になった。レモンピールも作ってみた。


レモンの果汁を絞って瓶に入れ料理の時に魚や肉のソースに使ってみてもらうようにした。瓶をお洒落にしてテーブルの上に置いてもおかしくないようにした。貴族は使わないかもしれないが、豊かな平民の食卓で使って貰えば流行するかもしれない。調味料のお店に置いて貰うのはどうかしら、クララは楽しくなっていた。


その間にもアルフォードとは定期的に会っていた。レモンのクッキーも食べてもらった。美味しいと言って食べてくれたのでお土産に包んで渡したりした。


アルフォードは王立学院に入り優秀な成績を収めていた。

彼とはお互いの屋敷でお茶を飲みながら話をしていた。年頃になり恥ずかしくなったのか、アルフォードはあまり話に乗ってこなくなった。


クララは領地の話ばかりでは興味が湧かないのかもしれないと、学院での様子や剣の大会の話をしてみたりしたが、反応が薄く会話が続かなくなってしまった。




半年がそうして過ぎて行った。クララはアルフォードに会っているより本を読んだり、知識を活かして領地の事を考える方が楽しいと思うようになっていた。


母に話すと男の子はそういう時期があるのよと言われた。よくわからなかったが、今度会ったら次に会うのは二ヶ月に一回にしましょうと言ってみるつもりだ。


アルフォードは十三歳になり学院が楽しくなって、クララのことより面白いことが見つかったのかもしれない。


特に縛り付けたいわけではないので、自由にしてもらえばいい、婚約もこちらからお願いしたわけではないのだから。

なのでクララは言った。

「アルフォード様、無理に会っていただかなくて結構ですのよ。二ヶ月に一回、もっと長く半年に一回とか、一年でもかまいませんわ」

「えっ、僕何か気に障ることをしたのかな?」

「いいえ、お茶の時間があまり楽しくないのですよね?義務で来ていらっしゃるなら、お時間を頂いては申しわけありませんので」

「そんなことは」

と言いながら心当たりがあったのだろう。


「今研究中の薬草が面白くてついそちらの方へ意識が行っていたかもしれない。けれどこの時間が楽しくないということはないんだ」

「どんな薬草かお聞きしても?」

「それはまだ」

「そうですか、仕方がありません。では今度は半年先にいたしましょうか。その頃にお話をしていただけるのを楽しみにしております」


クララはこれで半年の自由が手に入ったとワクワクしていた。

一方アルフォードは、とんでもない事になったのではないかと感じていた。

しかし学院の勉強以外の時間を薬草の研究に使えるというのは、魅力的なことだった。


クララは領地をどれだけ発展させるかに、一番興味を持っていた。だから学院に入るまでの二年自由に出来る時間が出来て嬉しかった。退屈なアルフォードとのお茶の時間などどうでもよかったのである。


一年後クララはぶどう栽培に目を付けていた。もし災害が来て小麦に被害が出た時の為に、海風が吹きすさぶ土地でも育ちそうな品種の木を、父に相談して植えることにした。

最初は疑心暗鬼だった伯爵も、ぶどう栽培に成功している土地に視察と称して見学させてもらうことで段々やる気が出てきたようだ。


お礼として、荷馬車一杯の小麦粉を3台分持っていったので喜ばれた。職人さんも貸してもらうことができ万々歳である。

「クララはどこでこんな事を勉強をしたんだい?」

「王立図書館よ、色々な本があって楽しいの」

「アルフォード君とは会っているのかい?」

「向こうも何か研究しているらしくて忙しいから会ってないわ」

「君たちは婚約者なんだから交流は大切だよ」

「話していても反応が薄くなってきて、楽しくないの。だから会わなくていいかなと思ってこちらからそう言いました」

「それでそのままなのかい?プレゼントも手紙もなしなのかな?」

「そうですね、用事があれば来るでしょうし、あまり私に興味がないのかもしれません」

「お父様の方で動いても構わないかな?」

「はい、おまかせします」



随分と娘をこけにしてくれるじゃないか、小僧。婿入りを何だと思っているんだ。貴族として育っているんだ、最低限の礼儀は守ってもらわないと。さてどうしてくれようかな。この分じゃあ次を考える必要があるかもしれない。怒りが沸々と湧いてくる伯爵だった。




















誤字報告ありがとうございます。続きを読んでくださると嬉しいです。宜しくお願いします。

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