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第7話 トラパン

「脱げと……⁉︎ ここでか⁉︎」

「外に出て待ってるから!」


 顔を真っ赤にした鬼灯は、慌てて小屋の隅にあった箱のところへ行った。そして蓋を開け、中から何やら取り出してくる。


「この時代でその格好は目立ちすぎ! トラの毛皮で出来たパンツ一丁の者なんか、鬼にもいないわ!

 それに、その上にコレは穿けないでしょう?」


 鬼灯の穿くパンツ(?)と似たような色合いの、細長いズボンをこちらに突き出して言った。見た感じ、何とか穿けるか? というサイズで。正直、そんな余裕のなさそうなモノ穿きたくはないのだが……。


「…………コレの上にパンツ穿いたらダメか……?」


「どれだけその虎の皮のパンツ(トラパン)気に入ってんのよ……?」


 呆れたように言われて俺の心はちょっと……いや、かなり傷ついた。


 外で待ってるから、と言いながら出て行ってしまった鬼灯を目で追い、閉まる扉を眺める。


 ここは未来で、鬼は人の管理下、か……

 基本的に、鬼は人より強い。強いが鬼にも弱点はあるし、得意でないことももちろんある。その昔桃太郎に負けたのも、そういうことだと俺は思っているが。

 何も考えず、己が正義だといって譲らず、古い感覚そのままにやっている者が大半なのも事実。


 なんとか回っている間はそれでも良いが、いつか必ず破綻する時が来る。

 幸い今の鬼長は、珍しくガチガチに古い感覚の持ち主ではない。だからこそ、もっと長と(かた)り合い、一族全体を変えていきたい。


 そう思ってこれまでやってきた。だが、そうやって動いていった先の世界がここなのだとしたら……俺のやろうとしていることは────



「違和感しかない」


 扉を開いて、俺は鬼灯に言った。


 この穿きごこちの悪さ。本当にここの奴らはこんなモノを好んで穿いているのか⁉︎


「そうなの? 似合ってると思うけど」


 シャツはパッツンパッツン。大体着る意味はなんなんだ。汗かいてべっとりくっついたら更に気持ち悪そうだ。

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