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 店の外で待ってると、ジャンヌが出てきた。


「おまたせしました。なにしてるんですか」

「ゲームだ」


 横からジャンヌが画面をのぞき込んで。はっという顔をした。


「これ昨日居た人」

「アーサーな」

「へー、ゲームになってるんですね。私はいないんですか」

「ジャンヌはいない」

「そんな、私だってヒーローというか聖遺物ですよ」

「外であんまり大きい声を出すな」

「そうでした。でも私居ないんですか」

「そもそもヒーローとしていない限り、ゲームにも出てこないんだよ」

「そんなー、ちょっと楽しみにしてたのに」

「ヒーローになれば出れるんだ。そんなに出たいなら、ヒーローになれ」

「それとこれは話が別です」

「そうか、じゃあ服買いに行くぞ」

「はい、ショッピングモール楽しみです」


 浮かれてるジャンヌと電車に乗って向かうのは。この辺りじゃ一番大きいショッピングモール。マルイチって呼ばれてる場所だ。


「沢山、物がありますね」

「ショッピングモールだからな。とりあえずこの店で服見てろ。ちょっと行くところがある」

「わかりました」

「この店から出るなよ」

「わかってますよ、子供じゃないんですから」


 聖遺物に子供も大人も関係なさそうだが。ひとまず、ジャンヌを置いて用事を済ませに行った。


「そんなに時間は立ってないはずだが」


 用事を済ませてジャンヌがいるはずの服屋に行ったら、普通にジャンヌがいた。まあ、面倒ごとが起きてないならそれでいい。


「欲しい服はあったか」

「あっ、枝垂さん。それがどの服がいいかわからなくて」

「まあそうか。店員のお任せで選んでもらえ」

「わかりました」


 近くの店員の所まで小走りで行って、そのまま店員に何着か選んでもらった。


「とりあえず、これでしばらくは来なくていいな」


 ジャンヌの手には大きな袋いっぱいの服があった。

 一応電車に普通に乗れたり、それなりの一般常識はあるんだよな。なんでなのかわからないが。


「帰りますか?」

「ここまで来たんだ、ついでに昼飯を買っていこう」

「出来物買うつもりですね」

「ダメか?」

「材料買って作りましょうよ。料理道具とかちゃんとあるんですから」

「作るのが面倒なんだよ」

「私も手伝いますから、ね?」


 ジャンヌの言い方、仕草。それから服。由衣が俺に手料理をねだってきたの思い出させる。休みの日くらいは俺の手料理が食べたいと、材料を買いにつれてこられて……


「わかったよ、ちゃんと手伝えよ」

「もちろんです」


 作るものを決めずに、適当に食材を買って家に帰った。


「適当に作ってれば、ちょうど昼になるだろ」

「えっ、作るの決めて食材買ったんじゃ無いんですか」

「突然なんだから決めてるわけないだろ」

「じゃあどうするんですか」

「だから適当に作るんだよ。とりあえず切るぞ」


 ジャンヌと一緒に、買ってきた野菜を一口大に切って鶏肉も切る。

 そんで、鶏肉を鍋に入れて焼いたら。買ってきた鶏がらを入れて。野菜と一緒に煮込む。


「鍋の完成」

「凄く適当でしたね」

「味見するか?」

「します」


 小皿に少し汁を取って、ジャンヌに渡した。


「美味しい」

「変なことしなきゃ、料理は適当に作っても旨いんだよ」

「早速食べましょう!」

「座ってろ、よそってやるから」


 汁を茶碗によそいながら、リビングで椅子に座ってるジャンヌが見えて。そこにまた、由衣の姿が一瞬重なる。

 ジャンヌが来てからずっとだ。似ても似つかないのに、どうしてこんなにも由衣の姿が重なるんだ。


「ほらよ」

「ありがとうございます」


 ジャンヌの向かい側に座る。


「あの、パンとかご飯は」


 ジャンヌに言われてテーブルの上を見れば。あるのは茶碗に入った汁だけ。パンもご飯もありはしない。そもそも買ってないな。


「買い忘れたな」

「そんな、汁だけじゃお腹がすきますよ」


 お腹に手を当てながら、ジャンヌがそんなことを言う。確かレンチンするパック飯があったような。なかったような。


「少し待ってろ」


 キッチンに戻って、棚の中を探す。するとパック飯がちょうど二つあった。賞味期限は、まだいけるな。あと少しで賞味期限がきれるところだったからちょうどいいか。あとでまた買ってこないとな。

 パック飯をレンチンしてジャンヌの所に戻った。


「ほらよ」

「ありがとうございます。それで、明日から何食べればいいんでしょうか、私」

「出前頼めばいいだろ」

「それじゃあ、お金かかりますよ。せっかく炊飯器とかあるんですから、お米とかいろいろ買って来ましょうよ。料理は私がしますから。そうすれば朝ごはんとか食べれますよ」

「別に朝飯は」

「カップ麺でしょ。わかってるんですからね」

「いやコンビニのパンで済ませるからいらないんだが」

「ダメですよ。いいですか、食事というのはですね……」


 それから耳にタコができるまで、食事の大切さを語られ。俺が「朝飯をちゃんと食べる」と言うころには。パック飯も、汁もすっかり冷めていた。


「わかりましたか」

「わかったから。汁と飯温めるぞ」

「あっ」

読んでくださりありがとうございました。

[たいあっぷ]というサイトで縦書き、しかも絵がついて状態で読めます。気になる方は探してみてください。タイトルも作者名も同じですので。

続きを買いたいという票が集まると二巻目が出せるのでよろしくお願いします。

誤字脱字は下に専用のがあるので、ありましたらよろしくお願いします。感想などもお待ちしています。そして読んでくれてありがとうございます。


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