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1.1:起床

春といえば卒業式や入学式が連想されるが、そこで決まりのように言われている。

「春のあたたかな日差しがさすころ」という言葉。

いやね。確かに1月、2月の厳しい寒さに比べたら、暖かくなってるけど、朝夜は結構肌寒いわけよ。

だから、布団の魔力はまだ健在だ。俺が起きないことに文句をつけれる奴はいないだろう。


「起きなさい!学校遅刻するよ。」


悪魔が早々に文句をつけてきたな。


「いい加減起きなさい。お母さんもう仕事行くよ。」


ドスンッ。かなりの衝撃が来た。

重い。目を開けると俺の上には悪魔の使いがいた。

悪魔の使いが顔をぺろぺろと舐めてくるが、その程度の攻撃では俺は起きない。

毛深い悪魔の使いを布団の中に無理やり入れて、鎮める。


現在時刻は7時ちょうど、HRは8時半、高校へは自転車で10分。朝食を抜けば後30分ぐらいの二度寝は可能だな。

そう思って、よりふかふかになった布団の中でそっと目を閉じた。


zzz


目を覚ますと7時30分。ぴったり30分、さすがは俺だ。だけど布団とは縁を切れない、後10分は仲よくしよう。

7時40分か、まだいけるな。


zzz


7時50分か。まだまだ大丈夫。


zzz


8時15分か。あれ?やばいな。

急いで布団を吹っ飛ばし、顔を洗い、歯を磨き、髪を直して、支度をする。

間に合うかなこれ。

遅刻はしてもいいが、遅刻をして目立つのはとても嫌だ。だけど急げば汗をかく。

それで前髪が崩れるのは俺としては許されない。


頑張って汗をかかない程度に急いで自転車をこぐ。急いではいるけど、心は至って正常だ。

こういった経験は初めてじゃないからだ。

何度も経験して何とかなってきたから今日も何とかなる。

今までは大丈夫だったから、これでだめなら、そのときは世界が悪い。


こういう時に普段の行いが報われると実感する。信号に止まることなくどんどん進める。


「すいすいいけるな。」


高校に着いて時計を確認する。8時29分。これなら滑り込みセーフで間に合うな。

わざわざ走る必要はない。俺以外にもこの時間帯に来る人は何人かいるし、そもそもそんなに厳しくない。


自転車を止めて、げた箱へ。靴を変えて教室へ。


ふー、着いたな。


若干息を切らして、自分の席に向かう。俺の席は中途半端な真ん中の行。だけど窓側だ。

窓側は一番後ろの席でなくとも特等席だ。


教室に差し込む日光をカーテンで調整できる。もはやこの教室の支配者みたいなものだろう。

授業中に外を眺めて暇つぶしもできるし、昼食後の昼寝には最適の席だ。

席替えをしても窓側の席になりたい。神様お願いします。


特に誰かに挨拶することもなく、されることもなく席に着く。


新クラスになって初めの1週間は結構声を掛けてもらえるが、それ以降は声を掛けられることは特にない。

だけどクラスのやつらに文句はない。原因は俺にあるからだ。

話しかけられても話題を広げなければ、薄い反応を返すだけ。こんな奴に何度も話しかける物好きはそういない。

仕方がないこれが俺の素だから。無理に話題を合わせてストレスを溜めるなら一人のほうが気楽でいい。


今日も変わったことがあるわけでもなく、適当に授業をこなし、昼寝をして過ごす。




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