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畏怖×if 無に帰す魔法と八つの魔眼  作者: 金剛陽薙
第3章 束の間の平和
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第26話 魔法の教育・魔法について

 これから魔法について解説する。とその前に。


「アラタ、お前今も火が怖いか?」

「いや、今はそんなに」

「そうか。なら実験に付き合え」

「はい? え、どこから出したんですその松明。今明るいですよ? 要らないと思いますなんで構えてるんですか!?」

「ほれ」

「うわっ熱!? …くない」

「やはり障壁が展開されたな。ちなみに、松明はあらかじめ作っておいた。コラブルがいなくとも、元々お前に魔法を教えるつもりだったからな」

「そうですか、だからって人に向かって投げないでください」

「狼だろ」

「アッカドそこどうでもいいでしょ?」


 さて、魔法には二つの種類がある。願いを叶える魔法と、弱点を補う魔法だ。魔法というと普通は前者をさすが、後者も知っておいた方がいい。

 弱点を補う魔法とは、その生物が苦手、嫌いとするものから身を守る、無意識に働く魔法だ。人の体における免疫のようなものだな。

 アラタは火が怖かったのだろう? お前は業火の魔眼の炎に身を包まれていたというのに、何故か生還した。普通は即死だ。障壁でも張らなければな。


「ああ…そういえば、何かに守られていた気がする」


 つまりそういうことだ。無意識に障壁を張っていたんだろう。

 身を守る方法は生物それぞれだ。お前の場合は、俺の障壁が炎を防ぐのを見たから無意識に展開したのが障壁だったのだろう。


「なるほど…」


 願いを叶える魔法は二つに分けられる。特定の素質を必要とする『専用魔法』と、素質関係なく誰でも使える『共通魔法』だ。

 専用魔法の具体例を挙げるとするならば、最も分かりやすいのは【身体】の素質を必要とする身体強化だろう。この魔法のおかげで俺は、自分より体格の大きいお前を担ぐことができた。

 共通魔法は無限にあると思っていい。以前見せた隠滅魔法や分解魔法、付与魔法、障壁魔法、呪詛魔法に追跡魔法などがある。

 専用魔法は照明と戦闘時以外あまり表に出ない。日常生活では共通魔法の方がメジャーだ。


 魔法の中で一つ例外なのは幻魔法だな。【幻】という素質は一般的にはないと言われている。今も議論されているんだが、素質の定義において、素質とは遺伝的なものではないとされる。ある程度成長したら個人個人の中で勝手に出来上がっていくんだ。だが、幻魔法を使えるのは夢都グローリアに住む人間だけ。遺伝してるんだ。いや、もしかしたら遺伝というよりは土地に関係しているのかもしれないが。


「すいません、幻魔法って?」


 文字から察しろ。幻を見せる魔法だ。見せるに限らず幻聴を聞かせたり、夢に干渉することもできる。お前が契約した日に見たエルリアの後ろ姿は幻だろう。魔法書を持ってたらしいしな。


「あー…そんなこともありましたね」

「忘れないでほしいっす。自分腹殴られたんすよ?」

「いやそれはコラブルさんが…」

「殴ったんなら謝んねえと」

「アッカド? なんでそっち側なんです?」


 いじれれば誰でもいいのだろう。性格が悪いな。

 魔法の中で最も強いのが魔眼だ。魔眼は業火、魅了、平和、略奪、破滅、透視、仮定の七つだ。かつてはこれらを中心に国ができた。周りに小さな国もできたが、ゴッデスはあっという間に吸収して自国領にしてしまった。

 ゴッデスにあるのは業火と透視だ。本来は平和の魔眼なんだがな。

 業火は実際に味わったからよくわかるだろう。透視は、領域内の全てを見透かすことができる。それに透視の魔眼を持つ人間は全ての生物の中で最も広い領域を持つ。

 これが仮定の魔眼探しの大きな力になる。今言うことではないかもしれんが、俺たちは透視の魔眼の力を借りるために依頼をこなしている。領主は使いたがらないが、定期的には使って探してくれているらしい。


「一番広い領域って、具体的にはどれくらい?」


 ゴッデスより広い。


「はあ!?」


 ゴッデスは栄えているし、ここに仮定の持ち主がくれば知らせてくれるというわけだ。効果がありそうだろう? 今のところないが。


「ほんと何してんだよあいつ」

「皆さん、領主様に向かって何て口聞くんすか…」

「魔眼も『願いを叶える魔法』ですか?」


 ああ。その中でも魔眼は『固有魔法』とされる。一生物専用の魔法だ。他に使える者のいない魔法はこれに分類できる。普通に生きていれば必要のない知識だ。忘れて良い。


 では、魔法の使い方を教えよう。


「おお!」

「んだよ、それも知らねえのか」

「転生者って本当なんすね」

「あれ、コラブルさんに言いましたっけ?」

「本当に転生者なんすか!?」

「…マジかこいつ」

「カマかけられた…」


 楽しそうだな。お開きにするか?


「すいませんご教示ください」


 はあ...魔法を使うには、想像することが重要になる。というか、大事なのはそれだけだ。


「呪文とかは?」


 人による。


「人による…?」


 想像できればいいんだ。だが、初めから脳内だけで正確にはっきりと想像するのは案外難しい。補助が必要な人間は独自に呪文を作るんだ。言葉にすれば想像もしやすくなる。だから、魔法に決まった呪文は存在しない。


「なるほど…ガイウスは、呪文がなくても魔法障壁を作れるんですよね」


 ああ、慣れているからな。熟練度が違う。


「熟練度…ガイウスって何歳ですか?」


 それについては後で話そう。


「後で?」


 後でだ。


「これってそんなに勿体ぶるものですかね」

「まあ今は気にすんなや」

「……分かりました」


 大体は説明できた。これで解説は終わりとする。







「お疲れー」

「水を飲んでくる」


 ガイウスは裏口から家に入り、厨房へ向かった。

 魔法を使うということは案外簡単なことらしい。呪文も勝手に作っていいということだ。想像できればいいのか、できる気がするぞ。

 ん? そういえば、初めて教わった魔法は呪文だけで使えた。想像などしていない。矛盾している。

 ガイウスが戻ってきた。聞いてみるか。


「ガイウス」

「なんだ」

「俺が初めて使った魔法は呪文だけで使えたんですけど」

「ああ、それか。おそらく、エルリアが想像した魔法を使ったのだろう」

「どういうことです?」

「言葉にも魔力が宿るんだ。教えられた人間がその魔法を使うつもりで唱えれば、実際に使えてしまう」

「へえ…あの魔法ってなんだったんですか?」

「置換魔法だ。相手の魔力を自分のものに置き換えるという共通魔法だが、素質が一致していないと使えない」

「なるほど…」


 そうなると、おかしな点がいくつも出てくる。エルリアは相手と俺の素質が一緒だって分かってたのか? それに、なぜ置換魔法だったのだろう。障壁魔法の方が守りには適しているというのに。まるで何もかもわかってたみたいだ。


「おい」

「え、あ、なんですか」


 呼ばれた方に目を向けると、コラブルさんとガイウスは俺から距離をとり、アッカドが準備運動をしている。何をするつもりだ?


「実践だ」

「はい?」

「俺とやり合うんだよ。魔法と体術の練習だ」

「お前、素人のようだからな」


 いきなり実践までいくのか、ずいぶん早いな。そんなに急がなくてもいいだろうに。強くなったところで…。


 あれ、なんで俺魔法の修行をしてるんだ? なんで強くなろうとしてるんだろう。ガイウスに言われるがままだ。ガイウスが俺に強くなって欲しい理由…まさか依頼のためか?


「ガイウス」

「なんだ」


 なんて聞こう。直接聞くか? いや、出来るだけ遠回しに、


「俺が強くなる意味ってあるんですか?」


 …馬鹿か俺は、ドストレートじゃないか。

 ガイウスの顔を見れない。真実を語られるのが怖い。勝手に違うとは思っているが、もし依頼のためだったら、誰かを殺すためだったら、俺はどうすればいいかわからない。ガイウスはそんな人間ではない。ないはずだが…俺はまだ一ヶ月もここにいないんだ。本性を知らないだけかもしれない。


「馬鹿かお前は」


 ガイウスは呆れたように答える。


「自衛の術ぐらい持っておけ。それに、周りの人間も守りたいのだろう? 弱くてどうする」

「あ………」


 そうだ、そうだった。俺は守るって決めたんだ。ガイウスを、エルリアも、なんならユーリィたちも守れるなら守りたい。ガイウスはそれを応援してくれているんだ。

 でももしまた殺しの依頼が来たら、ガイウスはやるのかな。もしやるのだったら、俺はどうすればいいんだろう。認められた俺はどうすればいいのだろう。


「…はあ。お前は顔に出過ぎだ」


 ガイウスは俺の考えていることがわかっているみたいだった。


「殺しは避けよう。実際、領主から大した情報はもらえていない。何も掴めていないのか、話す気がないのかはわからんがな。お前が来た以上、入れると決めた以上、そのあたりはお前に合わせてやる」


 殺さない。もう背負わないと決めてくれたのか。


「もちろん、今まで背負った分を投げ出す気もない。全てが終わった後、然るべき罰を受けよう」

「それは」


 ガイウス一人がか? あまりにも重すぎる。でも、そればかりは肩代わりできない。俺にはガイウスが誰を殺したのかわからないし、どうやって殺したのかわからないし、現場を見ていないし、肩代わりしたくてもしようがない。


「ねえ、ちょっといいかしら」


 ユーリィが裏口から声をかけてきた。誰にかけてるんだ?


「誰に用があるんだ」

「主にアラタ君だけど、全員聞いてくれない?」

「なんだなんだ?」

「服、買いましょう」


 服。


「服ぅ?」

「アラタ君、自分の服ないでしょう」

「でもよ、こいつ街には出れねえぞ」

「じゃあサイズ計らせて? 私が買ってくるわ」

「今からか?」

「日没までには間に合うわよ。なんならアッカドも手伝って」

「……まあいいけどよ」

「いいわよね、ガイウス」


 ユーリィはガイウスに尋ねた。だが、ガイウスは俺を気にしているようだった。また何か顔に出ているのだろうか。不安がバレているのだろうか。


「いいだろう。今日はここで切り上げよう。ユーリィに付き合ってやれ」

「は、はい」


 …ガイウスなりの配慮だったのかな。やっぱり、優しいんだな。ここにいるって決めたんだ、もっと信じよう。

 でも、服か…どんな感じなんだろう。ちょっと不安だな。

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