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畏怖×if 無に帰す魔法と八つの魔眼  作者: 金剛陽薙
第5章 枯れた大地を屍が這う
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第91話 秘密

「ただいまっす」

「おかえりー。遅かったな。……って、二人も一緒?」

「街でばったり会ったんだよ。お前らコラブルに何させてたんだ?」


 日暮れ過ぎ。コラブルが帰ってきたと思ったら、ガイウスとアッカドも一緒だった。


「コラブル、領主には会えたのか?」

「会えなかったっす」

「何、お前らジーさんに会おうとしてたのか?」

「「ジーさん?」」

「……長くなりそうだ。晩飯の後にしようぜ」


 俺たちは晩ご飯を食べた。めっちゃ美味かった。


「よし、晩飯の話はそこまでだ。話を戻そうぜ」

「あ、はい」


 俺、ガイウス、コラブル、アッカドの四人での話し合いが始まった。


「えっと……俺たち、ネクロマンサーのことを調査してたんです。その候補として、領主が挙がりました」

「なんでだ?」

「街での聞き込みで、魔法の練習をする時間があるのは、偉い人間ぐらいだって情報が得られまして」

「ふーん」

「アッカドたちは、領主と知り合いなんですか?」

「ああ。前からずっと一緒に行動してる。つっても、領主だってことは今日知ったんだけどな」


 何故に? ……そこは今はいいか。


「残念だが、領主はネクロマンサーではない」


 ガイウスが言い切った。


「根拠は?」

「アリバイがある。アッカドが襲われていたであろう時間に、俺と一緒にいた」

「そうですか……」


 一瞬で調査が振り出しに戻った。主に頑張っていたのはコラブルだが、それでも少し凹む。


「ちなみにだが、その情報をくれたのはどんな奴だったか覚えているか」

「はいっす。多分主婦っす」

「……そうか」


 ガイウスは肘をつき、足を組んだ。


「何を目印に聞き込みをした」

「暇な人間っす。忙しい人間は魔法を練習する時間がないだろうって話になったっす」

「そうか。ふむ……」


 ガイウスは深く考え込んでいる。


「あの、俺たち何か失敗しました?」

「いや、失敗と言うほどではないが、少し迂闊だったかもしれんな」


 迂闊。何かマズったかな?


「聞き込みはよくないかもしれない。質問が直接的すぎるな」

「そんなにいけないことっすかね?」

「ああ。仮に、聞き込みの相手にネクロマンサーが居たとしよう。そいつは、自分が追われていることに気づくんじゃないか?」

「……なんでっすか?」

「簡単なことだ。お前たちが思いつくようなことを、ネクロマンサーが思いつかないわけがない」

「……あ」


 そういうことか。

 『暇な人間を探してる』の意味が『強い魔法使いを探してる』だということに、ネクロマンサーは気づくかも知れない。今、リヴァイアで問題となっている『強い魔法使い』などたかが知れている。となれば、狙いが自分であると確信できてしまう。


「確かに迂闊だった……」

「それにだ。暇な人間を探すのはいいが、今忙しい人間を候補から外すのは早計だな。過去に鍛えている可能性もある」

「うう……言われてみればその通りっす」


 もう少し策を練るべきだったようだ。


「方針をまるごと変えなきゃいけないな。カルディアとフレア呼んで話し合おう」

「分かったっす。呼んでくるっす」


 コラブルは二階に上がっていった。


「ボス、俺たちは移動しようぜ。寝室って今使ってるか?」

「いや、俺たちのところは空いてます」

「じゃ、そこ使うわ。いいって言うまで入って来んなよ」

「わ、分かりました」


 ガイウスとアッカドも二階に上がっていった。入っちゃダメって、何の話をするんだろう。


 少しして、コラブルがフレアとカルディアを連れて戻ってきた。


「あれ、カルディア。何で二人分の食器持ってるんだ?」


 カルディアは夕飯も二階で取っていたので、食器を戻しにくるのは自然だ。が、数が多い。


「ユーリィの分も持ってきたんだよ」

「家にいたのか?」

「足を怪我したらしいから、少しの間休むってさ。ずっと寝転がってたよ」

「知らなかった……」


 治癒魔法を使えるユーリィが休むってことは、結構な大怪我なのかも知れない。後で声をかけに行こう。

 俺たちは机を囲んで椅子に腰掛けた。


「さて、どんな話だったかな?」

「聞き込みはアカンって話」

「…………」

「カルディア?」


 カルディアは黙った後、額を机に打ちつけた。


「カルディア!?」


 そして起き上がらない。


「どうしたんだよ!?」

「僕の意見全部悪い方向に転がってない?」

「それは……」


 フォード君の件も気にしてるのか。あれは結局殺すのも悪手みたいな話だったし、今回も悪手だった。


「……確かに」

「うわあああああああもう嫌だああああああああ」

「結果を残せないと荒れるタイプなんすね」

「冷静に解説してる場合かっ!」


 それに比べてガイウスはいつも的確だ。百歳を超えているし、やっぱり年の功は偉大だな。若いカルディアにガイウスと同じことができる道理はないのかもしれない。


「……そういえば、カルディアって何歳?」

「十七」

「あれ、意外と近い。もっと若いと思ってた」

「二個違いっすね」

「じゃあ君は十五か」

「コロッス」

「沸点低すぎんだろ」


 話を戻して。


「改めて調査の方法を考える必要があるわけだけど……」

「聞き込みがダメって結構しんどいっす」

「そういえば、魔眼での調査はどうだった?」

「まあ無意味だったよね。北への魔力の流れが活発になってたけど、ネクロマンサーとは何の関係もないだろうし」


 俺たちはしばらく考え込んだ。そして出た結論が、


「お手上げじゃない?」


 これだった。


「フレア、何か良い意見ないっすか」

「あったら言う。ないから言わない」

「端的っすね」


 どうしたものか。力ではなく情報戦となると、俺には何も分からないし….。


「……なあ、明日は広場に行かないか?」

「何でそうなるのかな」

「フォード君来てるかもだろ? しばらくは広場にいないってことを教えてあげないと」

「うーん……そうだね。そうしようか」


 結局ネクロマンサーに関しては良い案が思い浮かばなかったので、明日は一旦広場に行くことになった。















「……以上がジーの怪しい点だ」

「なるほどな。決定的じゃねえが、だいぶ怪しいな」

「おそらくだが、あの地下の街にも行ったことがあるはずだ」

「何で分かるんだ?」

「俺は『運』で言いくるめられるほど馬鹿ではない。大した準備もしないで深くまで潜り込むなど、愚行が過ぎる。それに」


 ガイウスはベッドに座って足を組んだ。


「白骨を見て何の素振りも見せないとは、最早違和感ですらないな」

「あー……それは俺も思った。なんで平気なのかって」

「見たことがあるのだろう。あの街でな」

「だとしたら、かなりの演技派だな、あのおっさん」


 ガイウスは窓の外に視線を移した。外は暗く、月明かりも雲を通り抜けてはこなかった。


「ジー、何を隠している?」


 森が少しざわついた。

 ガイウスたちがそのざわめきに気づくことはなかった。

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