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COAST MAN  作者: サクヤダ
オリジン
7/15

接近

民宿に入った瞬は受付のお婆さんに案内され、2階の和室の部屋を借り、今後の生活や警察の追跡速度について考えながらテレビでお笑い番組を見ていた。



「(なんで、警察はネットカフェの場所が分かったんだ? 警察が慶太達の元に来てた……ん? なんで、よりによって慶太達の所へ警察が…痕跡が消したはず。残っていても誰の物かわからないよな? やっぱり、慶太達が裏切ってる……もしくは、警察達の中に何かしらの能力者でも居るのか?)」



 答えの分からない考え事を繰り返す瞬。それに、キリがないと気付いた瞬は気分を帰るためにテレビのチャンネルを変える。すると、ニュース番組であるニュースを取り上げていた。



「昨日、アメリカのロサンゼルスで隕石の様なものが落ちていく様子が目撃され騒然となりました。“一つの光”がデスバレー国立公園の方角に落下していったとの通報が多数あり、ネット上には動画も複数公開されております。隕石に詳しい方に来て頂いております。これは隕石と見てよろしいんでしょう?」


「はい、動画を幾つか見た限りではかなり小さめの隕石だと思われます。え〜なので、地面に衝突する前に消滅した可能性が高いかと思われますね」


「はい、これを受けてネット上では1970年に起きたチリの大地震の前兆と似ていると言われており、世界各地で世界の滅亡が近付いているとパニックが起きています」


「ただ、チリの大地震の前兆は“2つの光”が落下して来たと言われてますから私はただの隕石だと思いますね」



 このニュースを見た瞬は最近の1年で世界が変わった事に改めて気付く。能力者が突如世界中に現れた事で全てが変わった。最近では“能力者だけのテロ組織が出来るのではないか”との議論も交わされており、世の中は物騒になっている。

 現に能力者となってしまった瞬はニュースを見て呟く。



「ここ1年で世界は変わったなぁ、本当に世界終わるのかな? 俺も能力者になって居場所も無いし……風呂にでも入るか!」



 気分転換し切れなかった瞬は風呂に入り移動続きで疲れている身体を癒し、早い時間に少し古臭い布団で就寝した。




 一方、慶太の家から自宅へ帰った玲奈は瞬を助け出す案が出なかった事で、より一層不安になっていた。そして、どうにもこうにも居られなくなった玲奈は瞬の事が心配で堪らなくなりスーパーに行くついでに、瞬が寝泊りしていたネットカフェの様子を見に行く事にした。

 そこには、複数の警察と澤口と藤田が居た。



「うそ……なんで……もう警察が居るの……早く慶太さん達に知らせなきゃ!」



 携帯を素早く取り出し、慶太に電話を掛ける。



「もしもし、慶太さん大変なんです!」


「え? どうかしました?」


「瞬が泊まってたネットカフェの近くに居るんですけど、警察がたくさん居て、家に来たあの2人も居るんです!」


「え!? まさか!? すぐに俺の家に来てください! 友美も呼びます! もう時間が無いかもしれません!」




 そして、慶太宅に集まる慶太達3人。もう、深夜になっていたが、家に集まり瞬を救う方法を話し合っていた。最初に慶太が口を開く。



「なんで、瞬の場所がバレたのか検討はつくか?」



 質問された2人は俯き、考える。そして、玲奈が質問で返す。



「家に来た澤口って人と藤田って人が怪しいですよね、2人が言ってたように能力者なんですかね?」



 それを聞いた友美は「んーっ」と唸り、少し間を置いてから喋る。



「だとしても、どんな能力があるか分からないから考えるだけ無駄かもしれないですね。瞬がネットカフェに居るって知ってるのは私達だけだよね?」



 慶太が友美の言葉に険しい顔をしながら言葉を返した。



「うん、顔は知られてないから一般の人からの通報もないはず。盗聴でもされてるのか……」


「なんで私達の事も知ってるのか分からないし、もう意味が分からないよ」



 慶太と友美は頭を抱え、うなだれる。部屋の空気は依然として重いままだ。しかし、玲奈がふと顔を上げ、慶太に新しい提案をし、その雰囲気を壊す。



「もう警察は瞬のすぐ近くまで来てます……もう時間がない。だから、まず今すぐ瞬くんが泊まってる民宿に行って瞬くんと一緒に逃げましょう!」


「その後どうするんですか? 下手すりゃ4人とも捕まりますよ」


「でも、このまま何もしなかったら瞬くんは絶対捕まります! その後の事は瞬くんと考えましょう! 瞬くんの能力を使えば何か逃げ切る方法が見つかるかもしれないじゃないですか!」



 慶太はその無謀な提案に再び頭を抱え、「それしかないのか……」と唸る。すると、友美が顔を上げて発言する。



「私もそれに賛成、あの時絶対見捨てないって言ったし、何もしないよりかはマシだと思う!」



 その言葉を聞いた慶太は自分の頭をグシャグシャと掻き、吹っ切れた様子で決断し、2人に声を掛ける。



「……分かった。そうしよう。俺達は絶対瞬を見捨てない。準備しろ、俺が車を出す。とりあえず、瞬と合流したら全力で逃げるぞ」



 決断した3人は早速準備を始めた。





 一方、澤口と藤田は瞬が泊まっている民宿の近くに居た。そして、澤口が藤田に確認を行う。



「あそこに黒田 瞬 容疑者が居るんだな?」


「はい、先ほど調べた限りではここから出ていません。ほぼ確実にあの民宿に居ます」


「よし、能力者を捕獲する。みんな、準備しろ」



澤口と藤田の後ろには10人程の特殊部隊がスタンバイしていた。




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