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プロローグ

優秀な学級委員の騙し方


つまらないプロローグ


学校とか会社とかそういった社会化組織の中で『 まとめ役』っているよな。

俺は思う。

なんつーか物好きな奴もいるもんだ。

とな。

別に皮肉的意味で言ったんじゃないんだ。

議決案を率先して述べたり、周囲のことを良く把握していて凄いと思う。

コイツはこの『 組織』には必要な人間なんだな。って思う。

それじゃ自分はどうなんだろうか。

果たして俺に何が出来るのか。

いやもしかしたら自分には何も出来ないのではないか。

そんなことを考えてしまうんだ。


アニメなんかでは良くある選ばれし者や血統的な何かの力を持ってる訳でも無い……。

特別頭が言い訳でもない。

友達もそんなにいる訳では無い。

1つ誇れるとしたら母がいて父がいて妹が居て

そんな何気ない暖かな家庭に恵まれてる。

貧乏っていうのだけは辛い所だが

……それでも幸せだ。



シンと静まり返る教室で、俺は高々と手を挙げた。



ちょいと長いプロローグ②



「貴方、なにができるの?」

静かな教室。

ジーっと冷たい目線を送るの委員長、雛賀谷伽耶(ひながやかや)

「いや、ほんとごめん」

俺はすかさず手のひらを合わして謝った。

「まぁいいわ。もう終わったから」

申し訳がなかった。

なんであの時手なんかあげちまったんだろうか。

ていうかクラス全員のテストの点数をコンピュータ室のパソコンを借りてデータを入力する。…なんて仕事が委員長の俺らに任されること自体がおかしいんだよなこの学校。

「ほんと悪い。」

パソコンなんてこのご時世で使ったことないのは俺だけなのではないだろうか。

……。

「あと、…貴方はもう帰っていいわよ。」

使えないと思われたのだろうか。

早期帰宅を命じられてしまった。

「まじで!えっ、と雛賀谷さんは?」

俺に帰宅を命じた傍からまた違う学級フォルダをクリックしていたので疑問に思った。

「私?私はまだ先生に任せられている違う仕事があるの。貴方には関係のない事だから」

俺には関係ないこと…ね。

いや、仮にも俺も正真正銘学校委員長なわけで…心が抉られないといえば嘘になる。

「いや、俺もやるよ」

「別にいいわよ。」

「いや、2人でやれば…

「いえ、私1人の方が早く終わるわ」

「それでも!」

「分からないのかしら?」

スーっと息を飲んでそれは吐かれた。

「こうして貴方と言い合いしている時間も無駄なの…私、…急いでるのがわからないのかしら。」

顔をひとつ動かさずそう告げた。

クッ…、な、泣きそうなんですが。

委員長になって2日目。

無能な俺は邪魔扱いされた。

京華高校の2年B組雛賀谷伽耶を知らぬ者は居ない。

八方美心で正確無比で性格無理とまで呼ばれる彼女。


…ダメだ押し負けた。

「仕方ない…それじゃあ譲歩策で俺が見てるだけってのでいいか?つか頼む。」

雛賀谷伽耶は少し俯くとため息を混じり「分かったわ」と了承してくれた。


カチコチと時計が秒針を刻む音が鳴る。

部活を行っている部員がコンピュータ室の窓からチラホラと見えた。

夕日の茜色と教室の暗さが上手い具合のコントラストされる。



雛賀谷も良く見れば綺麗なんだな。

パソコンに体を向けてキーボードをカタカタと細い指で靱やかに打ち込んでいてパソコン慣れしているなーとその洗練さが見える。

ストレートな黒髪も夕日が指していて一層輝きを増していて…華奢で綺麗だと思った。


俺は雛賀谷の隣で頬づいていた。


今一瞬だが雛賀谷が教室に飾られてた時計を見て顔を顰めたような気がした。

…ん?…気の所為か?


「今日なんか用事でもあんのか?」

「…なんで?」

「いや、時間気にしてるような気…したから。」

「別に…何も無いわ」


俺は昔から人の顔色を見て会話をする癖があったのでわかった。

雛賀谷が嘘をついていることに。

「終わりそうなのか?」

「まだ…ね」

悔しそうな顔をした。

雛賀谷は1度この時間にスマホを制服ポケットから出して確認していた事があった。

その事から察するに…

「家族…か」

一瞬目を大きく見開くと俺を見た。

またなんか言われちゃう。


「関係ないでしょ!」

がたっと音を立てて椅子から立ち上がる。

教室内に彼女の怒号が響く。

「なんでそこまでするんだよ。そんなに仕事が好きなのか?」

ちょっと嫌味ったらしく言っちまった。

許してくれ。

「それに…それはお前がやるべき仕事なのかよ」

「当たり前でしょ!

これは学校委員の仕ごt…」

「これは俺らのクラスの仕事じゃないよ」

「な、何を言って…」

「さっき見てたんだよ。お前がファイルを開く時に…」

そう。これは俺らのやるべき仕事ではない。

「違うクラスのファイルを開いてたろ?」

「……っ!」

「これはお前の仕事じゃないぞ。

…これは…雑用だよ。」

違う。

俺は真剣な目で雛賀谷を見た。


やりたくない仕事だからそこから逃れる為に

台詞を並べたんだろ?

と思われても仕方がないだろうけど。…これは俺の嘘の紛れもない(しんじつ)だよ。

雛賀谷は目を閉じる。

何を待ってるのだろうか。

俺の次の言葉だろうか?


「確かに、仕事は大事だよ。…でもさ…やりたくない仕事はしなくていいんだと思う。

…もしそれが必要なら1人で抱え込まず誰かに手伝ってもらえ!

某アニメ的に言えば

皆に友達に相談すりゃいいんじゃないか?」

雛賀谷は笑みを浮かべる。

「フフっ、そうね。貴方のおかげで気が楽になったわ。

……なんのアニメかは分からないけど用もまぁそんな台詞を恥ずかしくもなく言えるわね。」

わかってくれたようだ。

ふー、やっと帰れる。

あ!速く帰りたくて言った訳ではないからね。

…ほんとだよ!?

「貴方…名前は?」

そうだったな。

まだ名乗っていなかったみたいだ。

では自己紹介としゃれこむか。…。

「俺は佐藤太良(さとうたろう)だ。」

「物凄く平凡な名前ね」

「よく言われるよ」

「あら…ごめんなさい(笑)」

ニコッと笑うとパソコンの電源を落として

そのまま彼女はコンピュータ室を後にした。


「…なんの用事だったんだろうな」

作業中チラホラとスマホを、見ていたがなんの用事だったのだろうか?

まぁいいか。



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