新たな興味
バエル目線のお話です。
短めです。
久々に誰かが来たようだ。
いつもはすぐに現れるのに何故か姿が見えない。
おかしいな、浅いのか?
いや、そんな事は無いはずだ。
あぁ、そういう事かなのか。
浅いんじゃなく、深すぎてこちらが認識できないのか。
面白いな。悪魔の這い寄る深淵より深い心なぞ初めてだ。
一体どんな奴なんだろう?
とりあえず、こちらに引っ張りだしてみようか。
楽しみだなぁ、早く会ってみたい。
どれほど深い感情を持っているのかな?
どれほど熱い憎しみを抱えているのかな?
復讐心かな?それとも愛情?
虚栄心?全てを欲しがる強欲かな?
あぁ、楽しみだ。実に楽しみだ。
早く会ってみたいなぁ
その心を暴いて貪り尽くしたいなぁ。
クフフッ
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凄い!人間なのにこの世界に来れるなんて!
そもそも人の心では僕の魂を許容できないで
壊れてしまうのに!
何故だろう?
あぁ、簡単だった!僕を許容できる時点で、それはもう
人の心を捨てているんだ!
一体どんな感情を持って僕に触れたんだろう?
面白い理由だったら、食べないで付いて行っても
良いかもなぁ。
一人は寂しいし、暇つぶしにはなるだろう。
それにしても何も知らないんだなぁ、この子。
まぁ、召喚された子みたいだし、仕方ないかぁ。
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彼は面白いなぁ、だってあんなに歪んでいるのに
自分が人だと思っている。
彼の唇に触れた時に彼の深淵が見えた。
悪魔である僕ですら、あんな感情は見たことがない。
あれほど迄に、歪み、捻れ、ひび割れた、哀れな心は。
そもそも定命の種は生きる時が短く、すぐに目移りする
だから、感情が続くことは、あまりないんだ。
だけど、彼はそこが壊れている。
しばらくの間、観察してみようか。
彼の心が死ぬまで、彼の感情が果てるまで。
お茶がうまい。