27、鬼畜王
王を失った迷宮を、俺はただ一人進む。
スキル【第六感】を極限状態で使いすぎてしまったため、頭はぼーっとしている。
だが、歩みを止めることはしない。
一刻も早く、俺はただりつきたかった限界の先――ダンジョンの最深部へと向かう。
俺に対する信頼を利用して切り捨てた仲間。
……俺は少し、ビビってるのかもしれねぇ。
もしも辿り着いたその先に待ち受けるのがしょうもないものだったら、俺は何のためにあいつらを切り捨てたのかと、苦悩することになるだろう。
いや、俺はロクでなしだから、そんなことはないか。
ただ、目標を達成して、ナーバスになっているだけに違いない。
だから俺は、確認をしたかった。
ダンジョン攻略達成、そうして得られるものが、何か。
命を張って、仲間を利用して辿り着いたその先に待っているものが何か。
階段を見つけた。唾をのんで、ごくりと喉を鳴らす。
最後の階層。
――俺が1,000回以上死んでも辿りつけなかった場所に、とうとう到達した。
そこには――
青白く輝く、四方を鉱石に囲まれた、何もない空間が広がっていた。
その光は美しく幻想的で、俺は息をのむ。
「これが……迷宮の深層」
俺は自然と呟いていた。
そして、青白い光の発生源である鉱石へと近寄る。
これは……魔石の一種か。
素人目に見ても、秘めた魔力の量が桁違いなのは明らかだった。
これをバックパック一杯に詰めて帰るだけで、どれだけの金が手に入れられるだろうか?
少なくとも、この先数年は食うに困ることはないだろう。
そう考えるが――意外と俺の胸は躍らない。
神秘的な光景と、目が眩むほどの金と。
俺が欲しかったのは、もしかしたらこんなものではなかったのかもしれない――。
☆
それから鉱石を削り、バックパク一杯に詰め込んでから最深部を探索する。
不自然に「門」のようなものがあり、何だろうと思って俺はそれをくぐった。
すると一瞬、浮遊感が身体に訪れて――。
「あ?」
いつの間にか、見慣れた場所にいた。
そこは、ギルドの内部らしい。
普段は入ることができない職員用の部屋か何かだろうが、近くに顔見知りのギルドのお姉さんがいたため、そう認識した。
彼女が、俺に気が付いた。
そして、
「あ、アレンさん!? その部屋にいるということは……とうとう迷宮を攻略できたんですね!!!??」
笑顔を浮かべながら部屋に入ってきて、俺に向かってそう言った。
「お、おう。そうだな。だがしかし、一瞬でここまで戻ったっていうのは……どういうことだ?」
「あの【門】をくぐったんですよね? あれは一種の転移装置になっているようで。転移先の指定ポイントにギルドの一室を設けているんです。つまり、この部屋に来られる人は、【迷宮攻略者】に違いないんです!」
「なるほど」
迷宮攻略者がどういう風に戻ってくるのか俺は知らなかったのだが、納得した。
「それでは改めて、おめでとうございますアレンさん!!」
その言葉の後に、ギルドの職員が次々と部屋に訪れてくる。
そして、その騒ぎを聞きつけて顔見知りの冒険者なんかも部屋に入ってきた。
ヴラドが「へ、お前ならいつかやると思ってたぜ、兄弟……っ!」と、白々しく鼻頭を指先でこすりながら呟いていたのが無性に癇に障った。
しかし、その冒険者たちの中にイリヤとマギカがいなかったことに、俺は意外にも寂寥感を覚えていた――。
☆
ギルド内では、バカ騒ぎが行われていた。
ダンジョンを攻略した祝いとして、宴が催されているのだ。
俺は主役として最初だけチヤホヤされたが、割と早めにほったらかしにされた。
やつら、普通に酒を楽しんでやがる……!
バカ騒ぎをする理由に俺を使っただけじゃねぇか!!?
と、少しだけイラついた後、俺は風に当たるために一度外に出る。
ぼんやりと夜空を見上げて星を眺める。
鈍く輝くその光は、ダンジョン最深部で見た神秘的な光のように、俺の心を動かすことはなかった。
「何を一人で黄昏ているんですか?」
不意に、声が耳に届いた。
俺は振り返る。
そこにいたのは――。
「ダンジョン攻略おめでとうございます! 流石は、私のご主人様です!」
「というか、主役である私たちを放っておいて、盛り上がりすぎじゃないですかあの人たちは? おかげで目が覚めちゃいましたよ」
うっとりとした表情で口を開くイリヤと、不満顔をするマギカの二人が、そこにはいた。
このバカ騒ぎのせいで、否応なく目が覚めたというわけか。
俺は彼女らの顔を見て、一瞬安堵をするものの、すぐに皮肉に表情を歪めた。
「……下らねぇもんだ」
「ご主人様?」
「アレン?」
俺の言葉に、二人は訝しげにつぶやいた。
「俺はお前たちを利用し、捨て駒にして迷宮を攻略した。それで手に入れたのは、ちょっとばかし神秘的な光景を見れた経験と、三等分しても一年は働かずに済む程度の金。……こんなもんが俺が1,000回以上死んで手に入れたものだ。ホント、下らねぇぜ」
俺がそう吐き捨てると、二人はどこか困惑したような表情を浮かべてから言った。
「捨て駒? ご主人様にこの身を捧げるのは当然のことです! いいえ、むしろこれ以上の名誉はないとさえ、私は確信しております!」
「私の支援魔法がなければアレンは迷宮攻略ができない。だからアレンは私と、最高にクールな支援魔法を必要としてくれる。……私にとって、アレンについて行く理由は、それだけあれば十分です」
俺は、二人の言葉にハッとした。正気か、こいつら? ……マジでチョロすぎじゃね?
二人は、それからも言葉を続ける。
「私にとって何よりも得難きものは……ご主人様との絆です。それは名誉や金銭よりも、はるかに価値のあるものです」
「私にとっても、ですよ。村の連中を見返したいと思っていましたが、それ以上に私を認めてくれる仲間と出会えたことが……私にとっては、嬉しいんです」
それから、二人は口を揃えていった。
「「これからも、頼りにしていますよ。ご主人様」
二人が、俺に向かって手を差し出した。
……何だかおセンチな気分に浸っていたのが、バカバカしくて仕方がなくなっていた。
2人から差し出されたその手を、俺は掴んだ。
俺の欲しかったものは、気が付かない内に手に入っていたようだ。
こいつらは迷宮のモンスターをぶっ殺す強力な【武器】であり。
凶悪な攻撃から身を守る【盾】であり。
いざという時のための【回復薬】で……。
共に名声を求める、かけがえのない【仲間】だ。
俺は、嗜虐的な笑みを浮かべる。
それから、二人を見てから告げる。
「良いぜ、そういうことなら二人とも俺についてこい! 酷い目はこれでもかってくらい見るだろうが……俺がお前らの目的を達成させてやる!」
俺の言葉に、二人は互いに目を合わせてから頷いた。
「どこまでもお供いたします、ご主人様……!」
「もちろんです、来るなって言われても、ついて行きますからねっ!」
二人の返事に、俺は内心で笑う。
こいつらがいれば、怖いものはねぇ。
ここ以外にも、ダンジョンはいくつもある。
そのすべてを攻略して、俺は……金も酒も、女も。
全て、この手にしてやる!
先ほどまで鈍く輝いいて見えるだけだった星空の光。
今はそれが、ダンジョン最深部で見たあの青白い輝きを超えるほど、美しく見えた――。
☆
これは、美少女冒険者をアイテム感覚で使い潰し、各地の迷宮を次々に攻略し、金と酒と変な女と悪名を手に入れ、やがて「鬼畜王」と呼ばれることとなる――底辺冒険者の愉快で不愉快な冒険譚である。
やっほー、【世界一】とにかく可愛い超巨乳美少女JK郷矢愛花24歳【可愛い】だよん♡
ここまで読んでくれた読者の皆さん!
応援してくれて、ありがとっ(≧◇≦)
これにて、アレン君たちのお話はおしまいです!
更新をお待たせしちゃって、ホントにごめんね(´;ω;`)?
だけど、ここまで書ききることができたのは、楽しんで読んでくれたみんなのおかげなのです!!
本当に、ありがとうございました♡
今日は、愛花の別作品「友人キャラの俺がモテまくるわけないだろ?」の更新も行います(`・ω・´)ゞ
ランキングタグからタイトルクリックで飛んでいけるので、ぜひぜひ読んで欲しいなっ♡
それでは、最後に!
ここまで読んでくれた読者の皆さん、「面白かった!」「もっと読みたかった!」「とりあえず完結お疲れ様」等々、最後まで読んだ評価を下のボタンからぽちっとしてしてくれると、愛花はと~っても嬉しいのです(/・ω・)/




