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パンデミック~美味しいパンでお腹いっぱい~  作者: 礼生 治暁
第一章 マーブル、それは世界の主食
4/39

見栄えは大事です。

間に合いました。サブタイトルはいずれ変更するかもしれません。

 「味見だって言ったでしょう!。」


味見だと言ったのに、『二人』で残らず全部食べてしまったのです。


全然反省してないよ。

満足そうな顔してるし。

美味しかったんだろうなぁ~、私も食べたかった。


幼児無念。


 

 私が味見をしたのは固まる前の液体だった時のものだ。偶然出来たものに比べ量も増やしたのできっとサクサクとした食感が楽しめただろう。

 

 二人は口の中の水分が取られ飲み込みづらそうにしているので、やれやれと思いながらお茶を用意してあげた。


 お茶を飲んで一息入れたら…、

 「先ほど食べた物に比べ食感がとても良くなっている。そして何と言ってもあの香りっ、確かに果実酒の香りだ。だが果実酒だった時よりも豊かに感じられた、あれこそ芳醇と云うのだろう。」

 「大旦那様、食感・香り確かに素晴らしいものでし。ですが、あの色をお忘れになってはなりませぬ。『高貴』この言葉が相応しい色とは正にあの色……、」


…始まってしまった。


 ……、見なかったことにしよう。


一応、説明・解説すると、一号よりも量を増やしたので食感に変化。

 お酒に火を入れて、揮発した分香りがよく。

混ぜたお酒の琥珀色が着いた。

 

 私としては冷めた所から固まっていく際、中がどの様に形成されるかが知りたかった。下に積もるように固まるのか、全体的にまんべんなく固まって網目の様になるか、はたまた中空になるのかをだ。

切り分けた際に確認したが、まんべんなく網目状に固まっていた。サクサクと軽い食感だっただろう。

 

色についてだが果実酒の色は元々、濃い黄土色だった。

これは元に使った果物、大きさ・形は、かぼちゃ、名前はモーント。

果肉はメロン・表面は産毛が生えていて手で剥けるほど柔らかい。

勿論この世界の常識として、樹木に生っている。


それがマーブルの白と混ざり若干薄くなり焼き上げた時には透明感が出て、琥珀色に近くなった。


香りは果実酒自体の香りだ、作ってすぐに蓋で、空間を閉じたのも強く感じた要因かも知れない。


説明・解説するとそのような感じになるが…。


何しろ全部が全部、今日初めて試みた事なので予測などしようがない。

何しろスープに入れると爆発するらしいのだ。

マーブル、恐るべし。


 いい加減ビエンには外回りには行って貰いたい。

 「おじじ、ビエン。気に入ってくれたのはよぉ~くわかったから、現実に戻ってきてっ。」

ふたりの服をグイグイ引っ張り、注意をこちらに向けてもらう。

 「おぉ、すまんなレイ。食べ物でこんなに興奮するとは我ながら恥ずかしいことだった。」

 「すみませんでした、お腹を空かせた子供でも無いのに歯止めが効きませんでした。あと、お茶有難うございます。」

うん、お腹を空かせた子供みたいでした。


お茶はすぐ飲めるように温めに入れたから味と香りは保証できない。それは勘弁してもらおう。


 「おじじ、ビエンに型枠頼んでいいんだよね?」

 最悪、試作品第2号と同じ形でもいいけど。(円を八分の一にカット)

 「あぁ、そうだった。頼んだぞ、ビエン。」

よかった、普段のおじじだ。

 「かしこまりました。それでは早速行ってまいります。」


 出かけていくビエンを見送り、ほっと一息。


 試作品第一号の残りはどうしよう。

おじじが居るから、今は蓋だけして後でどうにかしよう。

 

 「それでは儂は部屋に戻るが、商人・職人が集まったら呼びに行かせるので、出来るだけ大人しく部屋で待っていなさい。」

 「はい、僕も少し疲れたのでお昼寝しようと思います。」

そうか、と頷いておじじが自室へと向かう。



 チャンス到来っ

とりあえず、第一号をそのまま食べてみる。

味のバランスは悪くない。が、マーブルが薄くても、もちもちしていて口の中に残る。

有りか無しかで言えば、有り。

奉納品には出来ないけど。

 やはり、熱を加えるか。

そうと決まれば早速実行。


 「今回は果物が焦げない様に、ゆっくり温めて…。」

溶けた処でスプーンでぐるぐるゆっくり混ぜる。

ある程度混ざったら、

 「『放熱』っと、問題は香りが散るとおじじやビエンに気付かれ、また食べられてしまうかもしれない事だなぁ。ビニール袋とかラップみたいのはないし…。」

 全部食べてしまえば何も心配はなくなる。

しかし、幼児が食べるにはちょっと多すぎる。


 「何かで包むって、これしかないか。」


 試作品第一号改をピザでなくチジミのように切り分け端の部分を食べてみる。

 「美味しいな、でも果実の食感が微妙。」

 やはり二号食べたかった。

果物を入れるなら、干した果物にするか、一回熱を入れ水分を飛ばした方が良いだろう。


 「でわでわ、これにマーブルを塗って…、」

熱を調節し、半溶け状態のマーブルをナイフを使って塗りたくる。

 作業完了後、再度『放熱』。


 あとは、こっそり自室に隠しておけばいいや。

 「さて、本当に疲れを感じるから昼寝しようかなぁ。」


片付けをさくっと済まして、てくてくと自室に向かい、ベットに入ると眠りに身を委ねる。




 「ぼっちゃま、起きて下さい。商人・職人が集まっております。」

 随分と深く眠っていたらしい。ビエンに体を揺すられ目を覚ました。

水差しの所まで歩いていくとビエンが身だしなみを整えてくれる。

コップに半分程の水を飲んで、

「ありがとう、早速向かおう。」

「…ぼっちゃま、何かいい匂いがしますな。」

ドキッとしながら、スルーして

「それで、どこに向かえばいいの?」

と、促す。バレてないよね?ちゃんと蓋付きの箱に仕舞ったもの、大丈夫よね?


 あ、よく考えたら奉納の際、見栄えの良い箱にでも入れないと香りが飛んじゃうかも。


今回来ている人たちに頼めると楽なんだが。

 何はともあれまずは、型枠だ。

色々ともっと早く動いていたら楽だったのに、思いつきで行動するものじゃないね。

 幼児反省。



商人・職人たちとの会合では無事、鉄の型枠を手に入れることが出来、奉納に用いる箱は贈答用の文箱で代用しこれも手に入れる事が出来た。

幼児満足。


会合後、おじじと夕食を摂り、奉納品の打ち合わせをする事に。

「材料は何が必要じゃ?明日の朝にでも揃えるように手配しておこう。」


材料か~、道具さえあれば特別必要な物ってないんだよね。

「材料としては、マーブル・果実酒・砂糖・ジャムですね。あっ、果実酒を変えれば違う香り違う色の物が出来ます。試してないけど花茶でも作れるかも。味もジャムを変えるだけで変わります。」

「なんとっ、他にも作れるのかっ。いやいやよく考えればそうじゃ果実酒自体種類があるのじゃから当然じゃしかも花茶でも作れるとなればかなりの種類になるそこにジャムを加えると組み合わせだけでも何通りにもなる。」

ん?試作品を食べた時の様になってるけど目が鋭く、口は端が上を向いてるけど、笑顔とは言えない。怖っ

慄いているとビエンがそっと近づいてきて。

「あれは大旦那様の癖で、良い商売の種を見つけた時に独り言を述べながら、考えを巡らせているのです。」

あぁ、没頭しちゃうのね。

息継ぎ大丈夫かしら?


関係ない心配をしつつ眺めていると、落ち着いたらしいおじじが話を続ける、何事もなかった様に。

「流石に明日の朝に揃えるにしても限りがある。果実酒はモーントだったな…。他にも香りの強いものを揃えよう。」


あれ?第二号を本採用するだけじゃないの?

「えっと、何種類か作ったほうがいいですか?」

「そうじゃったな、作るのはレイじゃった。

何種類か揃え、奉納したほうが見栄え良いじゃろう。」

宣伝にもなるしの…、


 小さい声でも聞こえていますよ?

華麗にスルー。

 「同じ箱に入れるなら、香りが喧嘩しないものが良いと思いますが…。」

 「それは心配ない。箱の中に種類毎に分け、小さい箱に入れる予定じゃ。三種類入るぞ。」

 知らない内に決まっていたらしい。

よくよく考えてみれば文箱って結構大きいよね。

気づくの遅いって。

 「でしたら、果実酒で2種・花茶で一種、奉納したいと思います。うちの商会に縁のあるものを優先して作りたいと思いますが如何でしょう?」

どうせなら品質に自信がある物がいい。

奉納品に使うのだし、縁あるものが良い。エクリックス様がお気に召したら、供給しなきゃいけない約束だし。



 「レイ、お前は商売のなんたるかを知っておるな。」

機嫌良さそうにおじじは呵呵と笑っていた。


なんか勘違いというか、違う解釈をしたようだ。



勿論、幼児はにっこり笑って華麗にスルーする。


お読み頂き有難うございます。

自分で気がついた所は改善しています。折を見て最初から編集必要ですね゜(´;ω;`)

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