表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
パンデミック~美味しいパンでお腹いっぱい~  作者: 礼生 治暁
第一章 マーブル、それは世界の主食
12/39

腐ったミカンは・・・、

戦闘・流血シーンがあります、ご注意ください。

「ただいま~、流石に疲れた。」

風景が切り替わり現世に戻って来た様でおじじが目の前に居た。

「エクリックス様にあってきたのか・・・?消えたと思ったが直ぐに戻って来たのじゃが・・・」

一瞬なのか?時間は過ぎず疲労感はたっぷり、遣る瀬無いな

「お会いしてきました。奉納品はお気に召して頂けました。褒美も頂いていますがあとでお話します。形式的な祝福の儀はしなくても良いのでしょうか?」

大神官に尋ねる

「した方が良ければ致しますが、必要ではありません。書類にサインなどは必要ですが・・・。」


ちょっと気になっているのだけど・・・私、敬われてる?

「私は今後どのような扱いに?今までと同じように過ごせるのですか?」

「レイルズ様は『祝福持ち』と為りますので、国の王より上位の存在になります。使命の妨げになるのでしたら、一般的には広めない事になると思います。」

一般的には広めない・・・知らせるべき所には知らせる、と

「広めない事にして下さい。それで、どこまでは知らせるのですか?」

国の上位には知らせるだろうけど・・・。

「王家の人間と各大臣迄です、後は希望があればになります。各神殿には通達しますが・・・」

王家はわかるけど、この国の大臣何人いるか知らないし、国以外の集団・そしくなんて更に知らない。


「お祖父様、どこか知らせるべき所はありますか。出来ればあまり広めない方向で」

いずれ寿命関連でバレるだろうけど、最初から神の威光ありきで商売はしたくない

『お墨付き』位でいい。流石に子供が開発しました、では売れないしね


「商業ギルドの総ギルド長と、この街と王都のギルド長は必要かもしれん。あとはお主の父ダナじゃな。」

「父上だけなのですか。母上や兄上は知らせないのですか?」

談話室の様な所に案内されながら話は続く。

「寿命のこともあるし、お主はまだわからないじゃろうけれど、『祝福持ち』というのは特別なのじゃ。母や兄たちに傅かれたいか?」

それは・・・嫌だな、他人ならまだしも家族にはねぇ。

「ぞっとしますね、必要でない限り内緒ということで。」

儂も普通に接するのに大変なのだ・・・と、おじじがつぶやく 苦労かけます




祝福の儀終了証書など幾つかの書類にサインした後、エクリックス様お墨付きの証としてマーブルの葉が4枚、ペケ十字に広がりマーブルの実2個が中央付近に背中合わせで並んでいる紋標の額縁を頂いた。・・・下の方に『マッグル』と書いてある。

聞けばマーブルを意匠化した紋標というものは、特別であり勝手に作ったり使用すると罰則があるらしい。現在、使用資格を持っているのは神殿(神殿に紋標にマーブルが使われている)以外皆無。

 ちょっと恐れ多いんじゃない。

「お祖父様これ・・・大丈夫ですかね、店頭に飾っても。」

「・・・様子見したほうがいいな、難癖つけたら『神罰』だからな、危険物の象徴になりかねん。」

 祖父と孫は視線を交わすと、頷き合った




マッグルを売り出す際は一報を、と見送られ場車に乗り込む。

「帰ったらユリ達の様子を確認した後、少し休みなさい。疲れた顔はお祝いに相応しくないからの。」

2もなく頷く。精神的疲労がパないっす

「そういえばお祖父様、『新商品が出来たらその都度5の倍数で奉納せよ。』との事です。」

「それはレイが毎回大神殿まで行くのか?」

「私でなくともいいそうです。王都にいるなら、王都の神殿でいいそうです。ただ『マッグルの新商品』であると、必ず伝えなければなりません。」

「必ずか?」 「『必ず』です。」 「わかった、覚えておく。」

何か言いたそうにしているけれど、何も言わない。察してくれてありがとう、おじじ


 ぼ~っとしている内に馬車は到着し、気を取り直して厨に向かう。

「今戻ったよ。調子はどうかな?」

奥からユリが出てくると、いきなりマリッタが棒を構える。

手で合図しながら「僕専属の従業員です、あの格好は食べ物に余計なものが入らない様にしているだけです。」慌てて説明する。

この世界の常識だとおかしいのかな?頭巾と口当て。


いきなり武器を向けられたユリはなぜかしゃがんでいた。

「そういえば昨日、護衛の人が付くって言っていましたね。初めまして私はユーリ・アンデと申します、先ほどレイルズさまが仰られた様に専属です。短い間と聞きましたが、宜しくお願いします。」

なかったことにしたいらしい


「こちらはマリッタ・ハーパネンさん、王都に帰るまでの間、護衛として一緒に行動することになる。」

気にすることかな~、と思いつつ合わせてマリッタを紹介する。

「驚かせて済まなかった、マリッタだ。今回は個人的に仕事を受けたが、冒険者ギルドに登録する冒険者でもある。こちらこそ宜しく頼む。」

・・・仏頂面というか無表情、ニコニコマリッタ、略してニコリッタはどこへ?


 まずは神殿で好意的に受け入れられ、その場で『マッグル』という正式名称になった事を簡潔に話した。(余計なことは言わない)

ユリはアンに手伝って貰い、プルト・ハビワのマッグルは無事完成。試食も済ませたとの事。

出来栄えを確認し、ふと思い出したのでおじじに確認を・・・

うわぁ、これはこれで・・・OFF機能付けてくれないかなエクリックス様より上位存在。

滝が無くなってるのはイイのです、(小)になったらヨダレ感がすごい。

擬音語で言うと「だらだらだらだらだら(以降エンドレス)」って、感じで本物混じってないのか心配してしまう様だった。


「お祖父様、予定では40人でしたが、増減なしですか?」

ふむ、とひとつ頷きビエンを見る。ビエンはアンをみる。目線を追っていた私、真ん中にいたのでクルクル回ってしまった。そしてマリッタ、ニコニコ 


「1名欠員ですがマリッタ様は、どうなさるので?」

アンがおじじを見るが私、動かない。それでもマリッタニコニコ、なんで?見透かされた?

「マリッタ殿は参加してもらう、武器を持たずとも護衛は可能と聞いておる。」

計算する必要のない算数(40-1=39)を浮かべて、意識を逸らせ・視線を動かさない・体も動かさない・・・。マリッタ無表情で頷く よし、勝った!(何にだ?

ふっ、一人でノリツッコミしちまったぜ


「では、今日作ったマッグルは多少余りますね。」

一つずつ味見したので残り47つ、5つ奉納するとして、余り2 

私が味見するのは必須 疲れてるから考えるのが面倒になった。

「とりあえず3等分にしよう、残り半分はおじじとマリッタさんで処分してね。」

まずはプルトマッグル、色は透明感ある赤紫。香り味共に甘酸っぱく歯触りも問題なし。

続いてハビワマッグル、色は薄いクリームで真ん中のシンプルマッグルと合わせ、ズバイリンジャムの紅色が引き立てている。香り味共に甘酸っぱいが甘みが強い。これも美味しい、合格。

このタイプの名前はそのままジャムサンドにしよう。

「ユリお疲れ様。2つとも合格だよ、頑張ったね。」

ユリを労う、そしてアン。

「アンも今日、急に手伝うことになって大変だったと思うけど、お陰で無事希望通りの物が出来ました。ありがとう。」

アンは僕の部下じゃないので、きちんと頭を下げる。

「出来れば今日のうちに、この二つは5個ずつ奉納したいけど、誰かに頼めますか?」

「わかった、後はやっておくから、お前は少し休みなさい。あまり無理はいけない。」

挨拶をして自室に向かう、今日のお昼寝は長くなりそうだ。


 「そろそろ時間ですよ、起きて下さい。」

脇の下に手を差し込まれ、勢いよくベッドから引っこ抜かれる。

いきなり感じる浮遊感に動悸は乱れ、脂汗が出る。

「・・・・・・アンに今朝と今の起こし方を説明して、その上で正しい起床の促し方というものを教えてもらいなさい。もしくは今後一切起こしに来ないと約束しなさい。これは命令だ。」

目をぱちくりさせる、ユリ。

「もしかして、おかしいですか?私の起し方。」

「あれが普通だと思っているなら、君の将来の旦那さんと子供達がとても心配だ。慣れるのが先か心臓が止まるのが先か、どちらだろうね。」


もしかしたらと不安を感じる、ユリの家ではこれが普通なのかもしれない。

聞きに行けと命じたアンは血の継った伯母である。

そう・・・お気づきだろうか、アンもまた「姉」なのだ「弟(ユリの父)」を起こしていたかもしれない「姉」なのだ。ダイジョウブダヨネ・・・


 身嗜みを整え、祝福の儀修了証書を持ち会場である大広間に向かう。

この終了証書は「本人以外が持つと書いてある文字が消える」という不可思議物体である。

書いてあるのは『この者、ルインズ・シックフィクト 緑星刻209年春 儀を終えたる者なり。 大地大神殿』のみ。

これでも本人証明の最高書類の一つで本人以外が持つと分かる書類です。手軽にDNA証明出来る様なものですよ?偽造出来ないしね。 異世界パないっす


そんな訳でこれを持ち、祝いの場にておじじ(本来は父親)から白紙状態のものを受け取り、来場者にババーンと提示するのが基本的な流れです。

あとはもう飲み食いですね。お酒、普段は飲めないですから。単純に高いのですよ。

例として挙げると


私がマッグルに使ったモーントの酒瓶(800ml)の仕入れ値が300マブル。

店頭小売価格は1.000マブルです。日本円で一万二千円です。一応産地価格

例えば王都、サワヘから馬車で12~15日損益率考えたら売値は倍の2.000マブルは堅いです。うちは原料の果物を作っているので、これでも安いお値段です。

最後に『店頭小売価格』での話です。断っておきます

ちなみにユリの月の給与は専属前が7.000マブル。配属なしの新成人の初任給ですね

専属後が10.000マブル、これは配属が決まった時、実績無しの給与と同額ですのであしからず。

閑話休題


ある程度、飲んで食べた所で『マッグル』登場。

全員水で嗽をするように指示されある程度まとまってもらう。

そして、おじじが昨日、キリマ少年を発端とした話をして、レコエ支店長への管理不行届の責任を取らせ、従業員の意識改革が完了するまで減給との処分。

そして今後気が緩む事の無い様、定期的に試験・不定期に抜き打ち調査を実行する旨通達された。

成績が一定以下の人間は首だ、例え親戚筋であるレコエであっても、水準に満たなければ首だ。


 本来なら祝いの席で言う内容ではない、あえて言った。それはすぐわかる


「新商品の『マッグル』じゃ、蓋を取らずに各々ひと皿ずつ持って行くように。」

おじじが場を仕切っているが何人か目つきが怪しい人がいるんだよね・・・、やたらギラギラしてる。マリッタを伴いおじじの側に・・・

「昨日、奉納品として名前のない甘みを納め、『マッグル』という名前を頂いた。」

マリッタからナイフを一本無理やり借り、見えない様に手と腕で隠す。万が一の備えですよ、『憂い無し』って、やつです。

「そして開発者であるレイルズに「馬鹿な!」・・・何を指しているのかな。」

まぁ、腐った蜜柑が一つだけって事はないよね。ひとつ腐れば周りも腐る伝染病のようにね


「そんなガキに何が出来る、何も出来やしないだろう。どうせ金を積んで「・・・黙れ、ビリッス・ナコツ」なんだと」

「そもそもお前はなぜこの場にいる。お前の所属はガリング商会だろう?今すぐ白状するなら一般的な法で収まる。しないなら・・・僕は傍観するとしよう。」


「この気狂いのガキめ、この俺様が成敗して神殿に投げ入れてやる。」

襲いかかってくる男・・・「マリッタ、仕事だ」

私の後ろから飛び出しす『赤色』 襲いかかってくる男の手首を掴み、胸元にフックじみた当身。服をつかみ、ねじり上げると掴んでいた手首を外側に引っ張り、体勢を崩し泳がせちからの向きを上に換え持ち上げ、床に叩きつけた。

柔道とか合気道とかってこんな感じなのかな~と見ているふりをしていると・・・


もうひとり所属がガリング商会の男、コイツは逃げるのかな?男が音もなく出口に向かう。

(『点火』)

顔の直ぐ前に、一瞬だけ火を出してやる。

「うわあぁ」尻餅をつく男


「どこに行くのかな「ブビー・ベットリヒ」君。ガリング商会に帰るの?無事に帰れるなんて思ってないよね。」

素早く体勢を整えると、逃げるのを止めたのか僕に向かってくるブビー。

立ったまま膝を曲げ、ブビーの方へ転ぶようにして前転しすれ違う。

起き上りざま膝の裏にナイフの刃を当て、背中と腰からブースターのように圧縮した空気を噴出し(『微風』)、体ごと押し上げ切り裂く。

返り血はこっそり『洗浄』 ふぅ、やれやれだぜ


二人を縛り上げ、空気になっていた従業人に「内偵で裏(『鑑定』)が取れたので」と嘘のようで嘘でない事を話しその場を取り繕う。


後をアン・ユリに任せ、縛った二人を別室に運び、事情を聴くことにした。


お読み頂き有難うございます。

レイルズ君は敵には慈悲がないです。キリマ相手の時から片鱗は出ているかと、

9/12 マーク⇒紋標 に変更

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ