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パンデミック~美味しいパンでお腹いっぱい~  作者: 礼生 治暁
第一章 マーブル、それは世界の主食
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大神殿に行こう

 「お早うございますレイルズ様、今日はお忙しいので起しに来ましたよ。」

まだ眠いです、幼児期の睡眠はとても大事です。スヤスヤ



ふぉ、剥ぎ取られた。生まれてこの方このように起こされたことはない、何奴じゃっ


   ユリでした。


「・・・おはよう、随分手馴れているね。」

ちょっと皮肉ってもいいと思うんだ。

体温の急激な変化は心臓に悪いから、目は覚めるけどね。

「弟が二人いますから、毎日やっていますよ。」

朗らかに笑うユリ、弟さん達に黙祷。

「用事がない時は剥ぎ取らないでね、心臓に悪いから。」

本音は・・・起しに来なくて良いです、弟さんを可愛がって下さい。


身だしなみを整え朝食に向かう。

「アンは見かけた?まだ今日の事お願い出来ていないんだ。」

「伯母さまは、まだ食堂に居りました。会えると思います。」


 「おはよう、アン。今日は色々大変だと思うけど、宜しくお願いします。」

どうやら私を待っていてくれたようだ、流石だね。

私もちゃんと立ち止まり対面する。

「お早うございますレイルズ様、家事はともかく宴はオルファリル様が、陣頭指揮をとって下さる事に為りました。私も気が楽になりましたので、心配ございません。」

あ~叔母上か、父ダーナンの妹オルファリル叔母上。レコエ支店長の奥さんでもある。

本家の人間がいない時は、叔母上が仕切っているのだろうから大丈夫でしょう。

「それを聞いて安心しました。あとはユリが頑張ってくれるから心配いらないね。」

ユリに向かってにっこり笑う。

「はい、大丈夫です。お任せ下さい。」


幼児スマイルが効かないだとっ ユリなかなかやりおるわ


冗談はさておき、食事を済ませる間に贈答用の箱を厨に運んでもらう。

ささっと済ませて向かう、今日は忙しいのです。


文箱を開ける小さい箱が三つ、木彫りの彫刻だけで華美でなく落ち着いており品がある。

白木が一つ、漆を塗ったようなものが2つ。

共にあまり木の香りはしない

「黒い箱に果実酒の2種を7枚づつ入れて下さい。中敷忘れないでね。」

ユリにお願いする、そして白木の箱には


「アンも手伝って下さい。」


忘れてたー。

えぇぃ、「パーン」と柏手を一つ


「意識をしっかり持って仕事に集中っ」

感謝は沢山していますが、これだけは恨みます。ってか、安売りしすぎです祝福。


ノセウマーブルを並べ、テュールジャムを塗っていくここまでは昨日といっしょ

そして、昨日の夜スキル・魔法を使って作った砂糖しか混ぜていないシンプルクラッカー


を、真ん中に挟み完成。

これ何個入れよう・・・うぅ~ん、5個にしとこう。


残りはユリに任せ、白木の箱を真ん中に入れしまい込む。

布で包んで準備OK。


今度は私の準備だ、アンを引き連れ自室に向かい礼拝用の服に着替える。

おじじと合流し・・・武装してる人が居る・・・。

護衛の人かな?

ビエンに文箱を渡し、アンは厨に戻ってユリの手伝いに戻るようだ。


「お待たせしました。そちらは護衛の方ですか?」

そっと伺いみる

頭髪は赤く グレーの瞳は鋭い 肌は日に焼けているが多分コーカソイド。

顔つきから異国の人っぽい。

装備はそれほど長くない棒状のもの(1.2ロンメ=144cm)多分短槍だと思う。 

腰にはナイフ、部分的な革鎧に鎖帷子を下に着込んでいる。

少し気になるのは左の小手、少しだけ大きいなにか仕込んでるのかな。

そして、女性。まだ若く美人 女子大生くらいかな 

生命力が溢れている様な、明るそうな女性だ。


ニコニコしながら自己紹介を始めてくる。

「おはよう、私はマリッタ 友人にはマリーと呼ばれているわ。今日から行動を一緒にするので頼りにしてくれると嬉しいな。」

「お早うございますマリッタさん、窮屈な思いをさせる事になるかもしれませんが宜しくお願いします。」

マリーでいいのに・・・ 何か言ってるけど スルー

私はまだ友人ではないと思うので


おじじに目を向けるとひとつ深く頷いてくる。

守秘契約も済ませているのか、仕事早いですね。

信用出来る所からの紹介らしいし、本人も善良そうだ。

踵も浮いているし、油断もしていない。

この世界の武闘派の人を初めて近くで見たが、マリッタは確かな腕を持っていそうだ。


 馬車に乗り、大神殿に向かう・・・なんで横に座ったマリッタは私をニコニコ見つめ続けているのだろう・・・。

護衛対象だから・・・だろうか

気まずいまま馬車は進む。ちょっと怖い


 「お祖父様、儀式は時間がかかるものなのですか?」

こんなに早くから向かってすぐ終わるんなら、早起きして損したような気がするけどそれはそれでいい。やる事もやりたい事も沢山あるしね。

「ナーセルの時は、そんなに掛からなかったのじゃがのう。今回はなるべく早く来るようにと、神官に言われてのう。今日は何も無かったはずなんじゃが・・・」

ふ~ん、神殿側の都合で早いのか 気にしても仕方がないかな

「儀式的には祝福頂くだけなんですよね。あとは奉納品を捧げるくらいで・・・。」

七五三みたいなものを想像してるのだが、異世界は油断できないからな。

そう言えば

「すり潰す道具って手に入りそうですか?」

おじじはビエンを見やる

「残念ながら薬草一つを潰せる大きさしかないとのことです。ただし、王都なら10個まとめてすり潰せる大きさの物が手に入るとの事です。」

おぉ、理想的な大きさかもしれない。

「枠はどうでしょう。出来るならですね、底板の四隅に爪を立ててズレない様に出来ないかなと思いまして。」

 やりたい事はいっぱい有るので話が尽きる事はないのだが・・・。


 なんかマリッタさん怒ってらっしゃる・・・よ?

「ご隠居、自分は隠居してこんな子供を働かせているんですか?」

おぅ至極真っ当な意見。

ただ正確には神殿で祝福を受けて初めて、幼児から子供にランクアップですね。

「マリッタさん、僕を心配してくれての発言だと思います。有難うございます。」

ちょっと感情的になりそうだったので、私から切り込んで意識を私に向けさせる。

「ただ僕がこうやって仕事をしているのは僕の我儘なのです。僕自身やりたい事があり、お祖父様を巻き込み付き合って貰っているのです。」

それに、とつづける

「父や祖父を見て同じ仕事をしたいと思うのは不思議じゃないでしょ?」

と、にっこり笑う

子供なら親の仕事に憧れ、親は子供が憧れるような仕事をするものだ。

おじじも何故かビエンも照れくさそうに笑っている。


 マリッタさんも納得して貰えたようで、無言ながらおじじに頭を下げる。

と、私の方を前よりも1割程増したニコニコ顔で微笑ましそうに見つめる。

やっぱなんか怖い


 マリッタのニコニコ攻撃にさらされつつ、馬車は順調に進み大神殿に到着する。

やっと・・・着いた。体感時間パなかった。


馬車を降りると・・・なんか神官に囲まれちょる。

おじじが用向きを伝えると神官の集団から一人の巫女が・・・似てる。

思わずじぃぃっと見上げてしまう

「はじめましてレイルズくん、そしてようこそ大地の大神殿へ。」



 「エクリックス様・・・ですよね?」

「まぁ、流石に女神様に間違えられるなんて初めてだわ。」

ぅん、女神?

「・・・別人?いや人じゃない。ただ似てるだけ?」


周囲の神官からどよめきが起こる・・・なんだ?どうなってるんだ?なにがおこるんだ?

混乱しそうになる頭を深呼吸して落ち着かせる。



 よくよく考えるとおっぱいあるね。巫女さん女性じゃないか。

仮にも神様が現世に降りる事はないだろう。

お読み頂き有難うございます。

9/10 短槍の長さを修正 180cm⇒144cm

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