「始まりのチャイム」
人は誰でも主人公にはなれない。なれないから人は、主人公のような凄い人になりたいのだ。たが、大抵の人はただの脇役でしかない、よくて主人公のライバル、親友だろうか。
冴えない顔した少年が黒の制服を着て、道を歩いていた。学校へ登校途中だ。歩いていくと校門が見えてきた。
校門に入ろうと足を踏み入れようとした瞬間バックが少年の顔に当たった、運が悪く鼻に当たってしまい鼻血がタラタラと出てきた。
「いったぁー。」
泣き目でそう言うと、当てた人物を見てみると金髪の青い目をしていて、白い肌をしていた。どう見ても、日本人ではなかった。
「ごめん、大丈夫?」
「あっ、うん。」
少年は、久しぶりに誰かと話したことによって、緊張で言葉が出て来なかった。しかも、物語で言えばヒロイン的な人物だ、少年には無理だった。
「そう、ならよかった。」
少女は、笑顔でそう言った。少年は、なんか返そうとしたが、少女は少女の友達らしき人に呼ばれ、どこかへいってしまった。
今日は高校の入学式だった、少年は今日から高校生になる。だが、友達は誰一人いない、同じ中学の人はもちろんいるが友達はいない。
少年は自分のクラスと番号を確認すると、さっさと歩いて行った。
教室の前までやって来ると、少年はため息を吐いた。
教室に入ると、大体の人達が席についている。少年の隣の席の人はまだ、席についていなかった。
回りからは、こんな声が聞こえて来た。
「同じクラスになれたね。」「先生だれかなぁ。」「学校、めんどくさい。」など、回りからは様々な声が聞こえてきた。少年以外はみんなしゃべっているように思えた。
ガラリっと、音が聞こえてドアを見るとあの金髪の少女がいた。少女は自分の席を調べると、少年の隣に座ってきた。いきなり、声をかけてきた。
「また、会ったね。しかも、同じクラスって、凄い偶然だね。」
「うん、そうだね。」
どこかよそよそしそうな返事を少女に返した。
みんながこちらを見ているそれもそのはずだ。あんな、少女がいきなり、教室に入ってきたら、誰でも目でおってしまう。
「私の名前は、道端 華。君の名前は?」
「えっ、日本人なの?」
少年は思わず聞いてしまった。どう見ても日本人には見えなかったから。
「私、日本人とアメリカ人のハーフなの。」
「なるほど。」
少年は納得した。
「で、君の名前は?」
「あっ、ごめん。俺の名前は、上野 空。」
「これからよろしくね、クウ。」
いきなり、馴れ馴れしく呼び捨てで呼ばれて、ビックリしたがハナの笑顔がかわいすぎてすぐにどうでもよくなった。
チャイムがなり、先生が入ってきた、気の弱そうな女の先生が入ってきた。なんか頼りなさそうな人だった。
「皆さん、おはようございます。これから一年よろしくお願いします。私は、宮崎 緑と言います。」
簡単な挨拶と自己紹介が終わると、クラスを体育館まで、誘導し入学式が始まった。クウは、早く終わらないかと思っていた、それはクラスの全員思っていたはずだ。
やっとで入学式が終わり教室に帰って来た、先生がこれからのことをについて説明を始めたが、少年は聞かずに居眠りをしていた、寝ていたら肩をトントンされ、見るとあのかわいい金髪の少女が起こしてくれた。
クウはなぜ、ハナが起こしてくれたのか、分からなかった。が、すぐにわかった、辺りを見ると先生の話は終わりみんな帰る準備を始めていて、ハナはクウにもう帰る時間だと言うことを伝えるためにおこしてくれたのだった。
「もう、帰る時間だよ。」
「あっ、うん……。」
クウは、寝ぼけながら言った。
「あとそれから、ラインの交換しない?」
「あっ、いいけど。俺と交換なんかしても、つまんないよ。」
そんなのおこまいなしに、言ってきた。
「それじゃ、しよー。」
と、あのかわいい笑顔で言ってきて、クウは頬を赤くしていた。
簡単な操作でラインを交換した、クウは初めて親以外とラインの交換をした。なんだか、少し嬉しかった。
ハナは「バイバイ」とクウに、言うと教室に迎えに来た、ハナの友達と帰っていった。教室には、クウだけになった。窓から外を見ると、まだ空は青かった。それもそのはずだ、今日は午前授業で帰るから、当たり前のことだった。
クウは家に帰るために、教室を出て行くためにドアを開けると、独り言を呟いた。
「これからどうなるのかな。」