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転生者の孫  作者: タカ
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地界の試練

遅くなりました、

「着いたぞ!!!おーい!」


どれくらい落ちただろう。

じいさんの声でタスクとカーナは目を覚ます。そこには巨大な洞窟のような空間が広がっており、目の前に装飾された頑丈そうな門が一つだけあった。


「すごい、ここが地界。。」


カーナは辺りを見回す


「いや、それよりも。、じいさん?」


タスクが目を見開いて凝視する先に普通にじいさんが立っている。


「がははははは、ここは魂が形になる世界だからな!当たり前だ!」


当たり前の意味も分からんがとりあえずそうらしい、タスクはじいさんに尋ねる。


「それで、ここで修行すんのか?」


「あぁ、そうだ!ここからは二人に別れて修行してもらう。タスクはワシと試練の門を進む!カーナたんはケルベロス、キモラと魔力の塔を進んでもらう!」


じいさんの言葉にタスクは反応する。


「待てよ!俺はいい!ただ、カーナは修行しなくていいだろ!!」


「まぁ、それもそうだな。ワシもちと酷な事を言い過ぎたな!」


じいさんは納得するがカーナがそれを止める。


「タスク。私も修行するよ♪ずっと守られてるだけなんて嫌だからね♪」


「でも!」


必死なタスクの肩にキモラがそっと手を置く。


「大丈夫よ☆あたいとケルベロスのケロちゃんが護衛でつくわ☆あたい達もそちらのお方に殺されたくないからね、死ぬ気でサポートするわ☆」


「ワンっ!!!!!」


悩んでいたタスクだったが、カーナの真剣な表情を見て黙って頷く。

そして、じいさんがこの世界において只者では無いことをひしひしと感じていた。


「さーて!いくぞい!!!!!」


そう言うとじいさんは重々しい門を開ける。

門の向こうには広大な草原と大空が広がっており、その中央に3つの木製の扉だけが広大な草原にぽつんとある。


「なんだよ、この世界は。。」


「なにここ!!!外みたいだね!」


じいさんは二人を見つめて話始める。


「この世界は外と時間の流れが違ってな、ここの一年は向こうの1日だ。今日から二人には2日間みっちり修行してもらう!」


「つーことは、、2年か。。」


「2年かぁ。。」


「がははははは、心配ない!この世界で歳はとらんからな!ただ、今から2年間二人はお別れだ。話したいことがあるなら済ませとけよ!」


じいさんの言葉にカーナは寂しそうな表情を浮かべタスクを見つめる。


タスクも何を言えばいいのか分からず少し寂しそうな表情でカーナにリュックを差し出す。


「カーナ、これ持ってろよ。これがあればベッドで眠れるから!」


カーナは黙ってリュックを受けとると、下を向いたままタスクに近づきギュッとしがみついた。


「ごほん。別れは済んだかの!カーナは左の扉に、タスクは右の扉に進むことになる!またあうのは2年後だ!じゃあいくぞ!」


じいさんの言葉にタスクとカーナはそれぞれの扉の前に立つ。


「カーナに何かあったらぶっ殺すからな!!!!」


タスクはキモラとケルベロスを威嚇する、護衛の二人が黙って頷くのを確認するとカーナの方を向き笑顔を見せて扉を開く。


カーナもタスクの方を向き、涙をいっぱい溜めて笑顔を見せると扉を開いた。


二人は同時に叫ぶ


「じゃあ!2年後にまた!!!!!!!」


・・・・・・・・・・・・・・


「これさ、、無理じゃないの???」


魔の塔一階

コップの部屋


タスク達と別れてから3日目、カーナ達は苦戦していた。

最初の試練は巨大なコップを魔力で満たすと次の階へと進める試練だったのだがカーナの少ない魔力では全くコップに魔力を溜めることが出来なかった。

試行錯誤し、魔力を回復する木の実を食べながら少しずつ3日かけてやっとコップの1割ほどの魔力を溜めることが出来た程度だった。


「そうよねぇ。タスクちゃんと違ってカーナは一般人でしょう?よりによって魔の塔なんてねぇ。。」


キモラもすでに諦めモードだった。

それもそうだろう。地界の住人達のなかでも魔力の塔を攻略できるのは数える程しか存在しないからだ


「3日でこれだけなら厳しいなぁ。」


カーナはすでに3日起きたままだった。コップに注いだ魔力は時間で減少するため、こうするしかなかったからだ。

しかし3日寝ずに溜めた魔力で1割、コップを充たすまで体力が持つはずがない。

そこでカーナは反則だと思って試さなかった方法をとることにする。


「キモラさん?このコップに注ぐ魔力は一人じゃないといけないのかな??」


キモラは呆れた顔で答える。


「そんなこと言ってもあたいたちは手伝えないわよ☆一人の魔力にしか反応しないのよ☆ただ、あなたが増えたり出来れば魔力の質は同じだからそりゃいいんだけどね☆」


カーナはニコリと笑う


「出来るよ♪」



「ふんっ☆そんなこと出来るわけー」


キモラは驚愕する。


右腕の銀の腕輪が白く光ったかと思うと、目の前のカーナがリュックから出した木の実をムシャムシャ食べながらどんどん増えている。


「ヨーーーシ!」


ドン!


「あたい びっくりしたわ。。カーナ、あなたも普通じゃないみたいね、、、」


キモラの前に立っているのは1000人のカーナ達の姿だった。


カーナ達は全員で木の実をムシャムシャ食べ始めると静かに目を閉じ魔力を練り始める。


「こんな攻略の仕方みたことないわよ、、、、」


顔を引き吊らせるキモラの目の前でコップの底から湧き水のようにどんどん魔力が湧く。

あっという間にコップはカーナの魔力で満たされるとカーナ達は歓喜の声を上げた。


「やったぁ♪♪♪」


魔力で満たされたコップはゆっくりと姿を消し、その後ろに階段が出現する。


「じゃあ、二階に進むよ♪」


お互いの顔をみて苦笑いするキモラとケルベロスだったが、笑顔で進むカーナに付いていくしかなかった。


二階の部屋の扉までの長い階段。


カーナは次の試練に胸をドキドキさせながら進む。1000人のカーナもぞろぞろと一緒にだ。


「カーナ、めちゃくちゃ邪魔なんですけど。。」


ぎゅうぎゅうで階段を上がるカーナ達にキモラが愚痴を溢していると、目の前に分かれ道が現れる。

階段は半分の広さになり枝分かれしており、左右のどちらに進むか選ばれなければならない。


「どうしよぅ。。。」


階段を前にカーナは悩む。

もしかするとどちらかが罠かもしれない、分身を進ませたとしても仮に罠にかかり分身が死ねば意識や5感を共有している本体も只では済まないだろう。


「カーナ、慎重に選びなさい☆」


キモラの言葉に頷きながらカーナは悩む。


「あ!そうだ!」


カーナは何かを思い付いたような声を上げるとまず20人のカーナの意識を独立させる。そのカーナ達で各10人の部隊を2つ作り、左右の階段を進んでもらう作戦だ。


「なにかあったら報告よろしくね♪」


カーナ部隊は恐怖に満ちた顔で返事をするとそれぞれ左右の階段を進んでいった。

分身とは言えカーナはカーナだ。泣き虫で臆病なのには変わりない。


カーナは耳を澄ませ報告を待つ。


15分程経ったときだった。


「イヤァ!!!!!!!!!」


右の階段からカーナ部隊の悲鳴が響きわたる!


辛そうな表情で待つ本体のもとに傷だらけになった一人のカーナが泣きながら走ってくる。


「急に天井から岩が落ちてきて、、みんなが。。」


そう伝えるとカーナは力尽きる。


いくら自分の分身とはいえ目の前で絶命する人間を見て平気な人間などいない。

カーナは涙を流し「ごめんね、ごめんね、」と謝った。


そのすぐ直後、左のカーナ部隊が帰ってくる。


「こっちは二階の入り口まで何もなかったよ♪」


その言葉にカーナは気持ちを切り替え、心を落ち着かせる。


「みんな、ありがとう。よし♪左だ♪」


ドン引きするキモラとケルベロス。


一方カーナは、被害にあった部隊を消すと笑顔で左の階段を進んでいく。


タスクだって頑張ってる。カーナは気合いを入れて階段をかけ上がると勢いよく扉を開けた。


扉の向こうに一切の明かりは存在せず、ただ階段からの光の届く範囲に無機質な石の床だけが見えているだけだった。


「えーと、、真っ暗なんですけど。」


悩んでいると一階の時のようにアナウンスが入る。


「二階は暗闇の試練。知恵を使い暗闇の迷宮を突破せよ・・・・・。」


「なるほど、、、」


カーナ達は一斉に詠唱を始めると小さな火球を掌に生み出す。

大勢のカーナが生み出した火球によって辺りが照らされ巨大な壁と小さな入り口が見えた。


しかし、どのくらい広いのか検討もつかない。


カーナは現状をよく考える。一階の試練を突破して勢いで二階まで来れたが冷静になるとこの3日間まともに休息も食事すらも取っていなかった。


「キモラさん!ケロちゃん!今日はここで野宿しましょう♪」


カーナはニコリと笑うと、キモラとケルベロスを先にリュックに誘導する。


「すごいわね☆あたい、こんなリュック初めてみたわよ☆」

「ワンっ!!!!!」


ここならゆっくり休める、焦って死ぬような馬鹿なまねはしたくない。


リュックに入ったとたんに急に疲労が押し寄せる。


まだ全貌の見えない試練に備え、カーナ達は休息をとるのだった。



地界の話は都合上カーナメインで書く予定です!

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