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転生者の孫  作者: タカ
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カーナの飛躍

今回はカーナ回です。

「んーっ!!!!良く寝た!」


二度寝したカーナが目を覚ます。


「タスク?いないの??」


部屋を回りタスクがいない事を確認する。

置いていかれたことに怒っていたカーナだったがとりあえず風呂場へ向かう。


「1人で買い物いったのかなぁ?」


湯船な浸かりながらカーナは考えていた。

昔は頼りなかったタスクだったが今は守ってもらうばかりだ。本当に一緒にいたいだけで付いてきてしまったが足手まといにはなりたくない。ほんの少しでも力になりたいと。


カーナは風呂から上がるとすぐに修行を始める。


「まずはこれを最大限に使わないとね♪」


カーナの腕の鼠神の腕輪が白く光る

3人に増えるカーナだがすでに息は上がっている。

カーナは今の魔力量じゃ3人が限界だと判断する、1人のカーナはリュックから魔力を回復する木の実を取り出し食べるとまたカーナを生み出す。


「これじゃ木の実で太るなw」


そこでカーナは気がつく。


「そっか!!!!!!!」


手持ちの木の実12個、カーナ達は木の実を一つだけ残し増えれられるだけ増える。

1人のカーナが残っている木の実に魔力を込めると木の実は10個に増える。


「増やす物の大きさが使う魔力に関係あるみたいだね、、よし!」


あとはまさにネズミ講だ。カーナは木の実と自分を量産しまくる。20分後には部屋から溢れるほどのカーナがいた。

そこでカーナは気がつく、大勢の自分がいるのに全員が自分の意識であること。バラバラの自分がそれぞれ違う事を同時にできる不思議な感覚。全ての個体の五覚が共有され任意で遮断もでき、それでいて本体を喰うこともない。

この人数で上級魔法を撃てば凄まじい戦力だろう。


カーナは意識を集中し本体以外を消し去ると部屋に無数に散らばる木の実を集めリュックに押し込む。


この街には図書館があるはず、今の私には上級魔法どころか中級魔法も使えない。


カーナは立ち上がり図書館へ向かおうとドアを開ける。


「あ、お客様昼食をお持ちしましたがお出かけでしょうか?」


「いや、食べていきます//」


しっかり昼食を食べて図書館へ向かうのだった。


・・・・・・・・


「凄い数の本だなぁ」


レッドクラウンのメインストリート沿いにある巨大な図書館でカーナは本を読み漁っている。


魔導書 モンスター図鑑 世界地図など時間をかけて吸収していく。


「それにしても時間が、足りないなぁ。。」


タスクの話では明日には出発になる、今ここで何冊かの本を読んでもあまり役には立たないかもしれない。


「あ!!!!!そうだ!!」


カーナは図書館から飛び出すと一軒の防具店に飛び込む。ガロの店だ。

カーナは防具店に入り辺りを見回すのだが誰もいないようだった。

そのときカーナの目に純白のローブが目に入る、ローブは全身が隠れるほど長く深いフードも付いている。まさにカーナが探していたものだった。

ただ、気になるのがローブだけ透明なケースの中に飾られており高額なのが見てとれる。


カーナは考える。でも可愛いから絶対に欲しいと。


「すいませーーーん!!!!!」


カーナの声に店の奥から出てくるガロ。

今取り込んでると断るつもりだったガロだったが、あまりにも綺麗な少女の姿に笑顔になる。


「あの、これください♪」


ガロは笑顔で言うカーナに困った顔を浮かべて話す


「あの、ごめんな嬢ちゃん。これだけは売りもんじゃねぇんだよ、、これは先代が冒険者から友好の証に貰ったもんらしいんだがな?かなりのものらしい。、ごめんな嬢ちゃん。」


ガロにそう言われるカーナだったが、どうしても諦める事が出来ない。

ローブが可愛いからだ。


「なら、このローブを増やすのはだめですか?」


「へ、、増やす?」


目を真ん丸にして驚くガロにカーナはケースから出して欲しいと訴える。

小柄で華奢な少女だ。泥棒ではないだろうとガロはケースからローブを取り出す。


カーナは笑顔でお礼をいうと、目を閉じ静かに右手をローブへと翳す。


ガロもの真剣な表情で少女の姿を見つめる。


徐々に白く光り出す少女の腕輪とローブにガロは驚愕の表情を浮かべる。


次の瞬間

目映い光りが腕輪から放たれ咄嗟にガロは目を閉じる、ゆっくりと目を開いたとき目の前の2つになったローブに驚愕した。


「じょ、嬢ちゃん。、あんた、何者だ?こんな魔法聞いたことねぇ。、」


カーナは息を切らせながら言う


「はぁ、はぁ、さすがにタダは無理ですよね?いくらなら大丈夫ですか??」


ガロは黙ったが、すぐに笑顔で答える。


「いや、このローブは嬢ちゃんが自分で作ったんだ。凄い魔法も見れたしな!可愛いあんたならローブも使ってくれて喜ぶだろうよ?タダだ!持っていけ!」


ガロの男前な言葉にカーナは感動する。

しかしさすがに気が引けるので店の中を見回すと高額な盾が目に入る。


「あの、、申し訳ないのでせめて少し役に立てれば、。」


そう言うとカーナは木の実を取り出し、食べながら盾に右手を翳す。


ガシャン。ガシャン。


目映い光りを放ちながら次々に盾は増える。

可愛いは左手で木の実をパクパク食べる。

異様な光景に戸惑うガロの目の前に高級な盾の山が出現したのだった。


「いや、十分だ、、はははははは、ありがとうな嬢ちゃん。、」


笑顔で店を後にするカーナをみながらガロは思う。

今日はとんでもない日だ、と。


「よし!作戦決行だ!」


カーナはローブを片手に宿戻り急いでローブを纏うと3人に増える


「身につけてる物もやっぱり増えるんだ。、うーん、ローブ可愛い。。」


自分のローブ姿に満足するカーナだったがふと我に返る。


「さーて、タスクに協力出来るくらい強くなるからね!」


そういい放つと朝の要領で大量に増えるカーナ。

部屋の床も見えないほどの人数のカーナ達はニヤリと笑うと深々とフードを被る。これなら誰も顔を認識出来ないだろう。


カーナの作戦、それは知識の吸収。

次々に増えるカーナ達はまるで蟻のように図書館に訪れ本を読み漁る。

街の住民はその姿に絶句したが恐らく討伐隊だと思いこんでいるようだ。

意識を共有出来るカーナ達は次々と知識を吸収していく。

それと同時に街の外で魔法の訓練に励む。


夜も更け、図書館が閉館の時間にさしかかるころ。

カーナ達は、カーナ軍と呼べる戦力まで成長を遂げていたのだった。

ただ、カーナはミスを犯した。目立ちすぎたのだ。


「おい、君たちはなにものだ?」


外側で訓練をしていたカーナ達に声がかかる。

カーナがふりかえるとそこにはロドス討伐隊長率いる討伐隊の姿があった。

ロドスは歩みよりカーナの深々と被ったフードを剥がす。


「きみか。。」


ニヤリと笑うロドスは訪ねる。


「街にいる討伐隊から白いローブの集団がいると聞いてね。なにをしているのか伺いたいんだが?」


黙りこむカーナ。

ロドスは黙り込むカーナの右腕を突然掴む。


「いや、、、何するの?」


右腕に付いている鼠神の腕輪を見つめるロドスにカーナは恐怖を感じる。


「なるほど、鼠か。、おい!他のやつらのフードを剥がせ!!!!!」


ロドスに命じられた討伐隊たちは近くにいるカーナ達を掴むと次々にローブを剥がし驚愕する。

すべてがカーナだったからだ。


「やはり後継者か、、素晴らしい力だな。私は王から直々に後継者を処刑するように命じられている。他の国の後継者が夜王を倒されては困るからな。。しかし、お前を殺すのは実に惜しい。それだけの数がいるんだ。見逃してほしいなら、、3人ほど私の性奴隷になれ。」



カーナは絶句した。足は恐怖で震え、目にいっぱい涙を貯めた。


負けちゃだめだ。

カーナは考える、恐怖に押し潰されそうな心を落ち着ける。

現在カーナの数は200人。カーナの本体は今宿屋から20メートルほど離れた場所、外には50人。残りは街に散らばっている。リュックは本体が所持しているため魔力の回復も不可能。。。

1人の力は弱くても多数ならどうにかなるかもしれない。カーナは目に力を取り戻してロドスに言う。


「・・・・・死んでもあんたみたいなやつの奴隷になんかならない!!」


「ほう。。なら死ね」


睨みつけるカーナにロドスは長剣を振り上げる


本体はロドスの前のカーナと討伐隊に捕られているカーナを即座に消すと同時に残りのカーナが距離を取り詠唱を始める。


「ほう。なかなかやるな。しかし、そんな中級魔法で私が殺せるとでも?」


ロドスは笑う。

確かに今の魔力不足のカーナには知識があっても上級魔法は放つことができない。

ただ、一つ一つは弱くとも数の力がある。


身構えるロドスと討伐隊に追い打ちをかけるように門から更にカーナ達が姿を現す。


200人のカーナによって作られた1000近い火球が宙を漂う。


畏怖する討伐隊員。ロドスも息を飲む。


ピタリと止まる火球。

カーナは標的を定めると小さく呟く


「・・・・・・舞え」


討伐隊に向かって無数の火球が襲いかかる。

盾で防ぐ者 華麗に避ける者 叩き落とす者も次第に防げなくなり被弾しはじめる。


白煙のなかロドスのみが肩で息をしながら耐え抜く


しかしカーナも攻撃の手を緩めない。

再び宙を舞う火球。

その火球がまるで生き物のように一つに重なる。

膨れ上がった火球はまるで小さな太陽のように目映い光りを放つ。

中級魔法も集めれば上級魔法をも越える。

数の暴力。

純白のローブを纏った軍勢の目がロドス1人に力強く向けられる。


ロドスはカーナに恐怖を感じる。


「舞え」


小さな太陽は大気を燃やすような音と共に真っ直ぐにロドスに飛んでいく。


「く、くそがぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


ロドスの最後の叫びが辺りに響いたその時だった。


「キィーーーーーーーーーン」


耳を塞ぎたくなるような高音が鳴り響くと共にカーナの放った火球は弾き飛ばされる。


ロドスはまだ生きている。


呆然とするカーナ達の後ろから甲高い笑い声が響く


「キャハハハハハハハ、何やってんの?ロドスぅ♪おかしな音が聞こえるから来てみたら死にかけじゃん♪こんな屑に殺されるほど弱いから私にバカにされんだょ♪」


「あ、あなたは。。」


そこに立っていたのは、鑑定師ラーニャの姿だった


「ラーニャ、すまない。この小娘がこれ程の力を使うとは思わなかった」


言い訳すりロドスにラーニャは目を見開く


「言い訳なんか聞きたくないよぉ♪あんたみたいな1ゴールドにもならないやつはさぁ♪利益があるならすぐにでも殺したいんだけどねぇ♪あとさぁ、、ラーニャ?、、ラーニャ、、様じゃん♪」


そういい放つとラーニャのアクセサリーだらけの右腕のその中の一つが白く光り始める。


「ぐぁあがががががが。ああああ頭がわれぇ」


気絶するロドス。ラーニャはこちらに視線を向ける


「私はねぇ、モンスターだけ鑑定してるんじゃないよ♪あんたみたいな男に甘ったる声出して股開くしか出来ないようなカスみてるとイライラするんだよぉ♪本当はすぐに殺しちゃいたいんだよぉ♪でも、あんたみたいに数増やせるやつ売りとばしたら金になりそぉだからさぁ♪手足切って死ぬほど拷問してさぁ♪

性奴隷生産機にしてあげる☆」


近くにいないのに耳元から聞こえる声にカーナの背筋が凍る。


次の瞬間、凄まじい轟音と共に100人近いカーナが吹き飛ばされる。


こいつ、。ヤバい。。

100人のカーナの傷みが本体に伝わる。

本体が傷みに耐えながら心を落ち着かせ100人のカーナを消すと傷みは収まる。

カーナは焦る、冷静になれない今残り100人を消せない。。

鼠神の腕輪は精神が安定していないと使用出来ないからだ。

本体のカーナは宿へ走る。


一方、ラーニャの攻撃をかろうじて避けた残りのカーナ達は考える。もう魔力はない。木の実も。私達は消えても本体が死ぬことはない。ただ、意識も遮断出来ない状態で私達が殺されれば傷みの共有で本体の精神は崩壊、もしくはショック死するだろう。


考えたカーナ達はラーニャに質問する。


「あのー、、、」


カーナ達は祈る。本体!早く!


次からタスクに戻ります。

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