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転生者の孫  作者: タカ
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レッドクラウン

今回は少し短いです!

「すっご!私、こんな大きな街初めて来た!!!」


「すごいな!俺もだよ!」


門の奥に広がるレッドクラウンの城下町は大勢の人で賑わっている。赤い屋根で統一された町並み、そしてメインストリートの一番奥に大きな城が見える


「とりあえず宿だ!」

「お風呂はいりたーい!」


悩んだ結果、メインストリートから少し外れた場所にある宿に決めことになった。3食付き1人200ゴールドはかなり高いがカーナがここにすると言うので仕方なく承諾した。


「いらっしゃいませっ!」


ドアを開けるとフロントにいる可愛い女の子が礼儀正しくお辞儀をしている。

タスクは手早く受け付けを済ませると前払いで400ゴールド支払い、受け付けの女の子に部屋に案内される。


たどり着いた二階の突き当たりの部屋は景色が良く二人にしてはかなり広い作りだった。

高級宿だけあり部屋に風呂もついている。

タスクは案内してくれた女の子にチップを渡し笑顔でお礼を言う。女の子も嬉しそうに「いつでもご用があれば呼んでくださいねっ♪」と言って去っていった。


「可愛い女の子にはすごく優しいんだね」


カーナから殺気を感じる。


「とにかく風呂でも入ってこいよ!!」


慌てるタスクに「覗いたら殺すからね♪」と笑顔で言うとカーナは浴室に入っていくのだった。


カーナが風呂に入っている間にタスクは地図を広げて考える。

夜王を討伐する最短ルートを辿るならこの先の渓谷と火山を超えるしかない。

タスクには問題ないがカーナの事を考えると遠回りにはなるが大三国のもう一つ、イエロークラウンを抜けたほうが良さそうだ。

食料や物資の補給も兼ねるとそちらのほうが懸命だろう。

明日は物資の補給をしたら明後日には出発だな。


カーナが風呂から出てきて、これからの進路の説明をしているとノックの音がなる。


「夕食お持ちしました!」


美味しそうな夕食を食べながら、とりあえず二人は次の目的地までの話をする。


しばらく会議したあと、タスクも風呂に入り。ゆっくりとベットで休んだ。


・・・・・・・・・・・


騒がしいラッパの音で目を覚ます。。

朝のようだ、時計の針は6時を指している。


「うるさいから止めてきてぇ!」


めちゃくちゃな事を言いながら布団に潜り込むカーナ。

タスクは部屋から出て、受け付けの女の子にラッパのことを聞きに行く。


「おはようございます!このラッパは討伐隊の本部の起床時間になるラッパです、ちなみにお昼にも鳴りますよ♪」


迷惑な話だと感じながらタスクは部屋に戻るとカーナから布団を剥ぎ取る。


「街にいくぞ!」


しかしカーナは起きる気配がない。しかも肌着のワンピースしか着てないようで目のやり場に困る、タスクはゆっくり布団をかけ直すと1人で街に行くことにした。





「色んな店があるな、、」


さすがは大三国の一つだ、武器 食料 防具など色々な店が並んでいる。受け付けの女の子にはメインストリートにいることを伝えてあるのでカーナが起きても大丈夫だろう。

タスクはしばらくうろうろして防具店に入る。


「らっしゃい」


見るからに頑固そうな職人のオッサンだ。タスクが防具店に入ったのはリュックのサイズを大きくしたかったからだ。今のサイズではどう考えても一泊が限界だろう、とは言え馬車で行動するのもしんどい。そこで思い着いたのがリュック拡張だった。タスクはとりあえずオッサンに尋ねる。


「あの、とにかくデカイリュックはありますか?」


オッサンは表にあるタスクが今持っているサイズのリュックを差し出す。


「これの中覗いてみろ。」


タスクが不思議は思いながらリュックを覗き込む。


「中が広い!!?」


覗いたリュックのなかは2メートル四方くらいの空間が広がっていて、オッサンの説明によれば手を突っ込むと任意の物を取り出せるらしい。

ただ問題なのが、リュックの口が小さすぎる。

タスクはもっと口が大きいやつか、このリュックの口を大きくできないとオッサンに尋ねた。


オッサンは笑いながら答える。


「ボウズ、まず口を広げるのは不可能だ。このリュックの素材は大食いカエルの胃袋でな?その口の部分を切ってしまうとその不思議な空間は消えちまう。もう一つの質問だがな?それより口がデカイリュックは確かに作ることは出来る。作ったやつは居ないだろうがな!」


「なぜですか??」


タスクは不思議そうに尋ねる。


「ボウズは知らんのか?それよりデカイやつを作るならな?暴食ガマってモンスターの胃袋がいるんだ。暴食ガマは見えない速さで長い舌を出し、人さえも丸呑みするゴールドランクのモンスターだ。コイツの胃袋を使ってるのは討伐隊の上層部のテントくらいだろうよ?」


中が広いテントも悪くないと考えるタスクだったがやはりリュックが欲しい。そこでタスクは思い付く。


「その暴食ガマはどこにいますか?」


「・・・・・・・・・・え?」



・・・・・・・・・・・・・・・・・


そんなこんなでタスクは今レッドクラウンから200キロほど離れたゴート沼にいた。

オッサンには胃袋以外の素材を渡す条件でリュックの製作は予約済みだ。

とりあえず一番丈夫な漁業用の網だけ購入してぶっ飛ばしてきたがオッサンは目が点になっていた。

何分も経ってないのでカーナもまだ寝ているだろう。


「・・・・・さてと」


ニヤリと笑うと身体から白煙をあげるタスク。


ドンッっ!!!!!!!!!!!!!


爆風と共に沼地を爆走するタスクの視界に入るカエルの群れ、そのなかで一際デカイ毒々しい真っ赤な個体を発見する。


「邪魔だ!」


タスクは体から白煙を上げ、走りながら沼の水を掌にすくいとり渾身の力でカエルの群れに投げる


バチバチバチっ!!!!!!!!


ただの水がまるでショットガンのようにカエルの群れを貫く。


「お前、すげぇな。、」


真っ赤なカエルだけどうやら生きているようだ。

タスクはもう一度沼の水を投げる。


シュッッ!!!!!


物凄いスピードで動かす舌ですべての水滴を防ぐカエルにタスクは驚愕する。


油断するタスクに舌が高速で伸びる。


タスクは笑っている。

そしてカエルに言う。


「お前に罪はないがリュックになってもらう。悪いな!」


飛びかかるカエルをサラリとかわすと後ろから手刀を振り下ろすタスク。

カエルは野生の本能か瞬時に身をひねり避ける。

タスクの手刀で発生したかまいたちに足を切断されるカエル。

それでも舌を出しタスクを捕らえようとする。

しかし、カエルは気付いていなかった。

タスクはカエルの素材を破壊しないように本気をだしていない。


突然姿を消すタスクにカエルは混乱する。


次の瞬間カエルの頭上にタスクは姿を表す。


カエルが最後に見たのは頭上で踵を振り下ろすタスクの姿だった。


グシャ!!!!


強烈な一撃にカエルは崩れ落ちる。


「ありがとう。大事に使わせてもらうよ」


タスクは目を閉じ掌を合わせると、網を取り出しカエル達を詰め込む。


「さて、帰るか!」


そう言うとまた、爆風と共にレッドクラウンに戻るのだった。


・・・・・・・・・・・・


その頃、防具店の店主は青年の言葉を鵜呑みに出来ずにいた。

普通に考えれば暴食ガマを1人で討伐出来るわけがない。ただ、青年の嘘をついているようには見えない真っ直ぐな瞳と言動を思い返す。


「まぁ、普通に無理だろうがな。。」


バン!!!!!!


勢い良く開いたドアの前に、笑顔で立つ青年の姿があった。


店主はクスリと笑うと青年に諭すように語る


「ボウズ。恥じることはない、普通に考えると無理な話だ。命を無駄にすることはない。ただ、諦めるのが早かったな?まだあれから一時間しか経ってないぞ。」


タスクは不思議そうな顔で答える。


「いや、スミマセン遅くなって!門番に止められたり人だかりが出来たり大変だったもんで!あ、あとドアから入れないんで出て来て確認してもらえます?」


信じていない店主は半笑いで店の前にでる。

そこには網に入っている大量のカエル。顔をひきつらせながら店主は裏の素材庫に移動するようにタスクに言う。



店の裏の素材庫はかなりの広さがあり、ここならカエルを全部出せそうだ。

タスクが網を強引にひっくり返すと辺りにカエルの死体が転がる。


「お、、お前。。これ。。。。」


大量の大口カエルに埋もれて見えなかった一際デカイ真っ赤なカエルに店主は目を奪われる。。


「暴食ガマです。こいつ、強かったですよ?まぁ、見つかって良かっーー」


「違う!!ボウズ。、違うぞ!強かった?お前、魔王か何かなのか?これは暴食ガマじゃない。。。これは、、、食王ガマだ。プラチナランクだろうな。俺も初めて見た。。」


どうやらまた間違えたらしい。


「・・・・・リュック。。出来ないんですか?!」


「出来ないも何もこんなのでリュックつくるやついないだろ。。見ろ。」


そう言うと店主は王食ガマの口を開く。

タスクは唖然とする。

その口の中は今宿泊している宿よりも確実に広い。店主は初めて使う素材にワクワクしているようだ。

タスクは店主に約束どおり胃袋以外の素材とおまけに他のカエルもすべて渡す。


「ボウズは立派な冒険者みたいだ。こちらも誇りを持って仕事をする。俺は防具職人のガロだ!名前を教えて欲しい!」


「タスクと言います。宜しくお願いします。」


ガロの話によれば夜には仕上げてくれるようだ。

お昼のラッパが鳴るまでタスクは大量の食料や食器などを買い漁り大荷物を抱えて宿に帰るのだった。


「ただいま!」


宿にカーナの姿は無かった、テーブルの上に置き手紙を見つける。どうやら図書館に行ったようだ。

タスクはテーブルに置いてある残された1人分の昼食を食べ終えると何か閃いた顔をして受け付けに向かう。


「あのー、相談があるのですが。」


受け付けの女の子はタスクの相談をあっさり了承する、タスクはまた思い付いたように街に出ると日が落ちるまで色々な物を買い漁るのだった。


すっかり日も落ちた頃、タスクは大量の荷物をもってガロの防具店へと向かう。少し早かったがちょうど完成したとガロは言うとタスクにシンプルで真っ黒なリュックを渡す。


ガロは満足そうな顔で説明する。


「こんなの初めて作ったんだが、こいつはすげぇな。まずこのリュックは壊れそうにない。

溶岩を注ごうが爆弾を入れようが壊れることはないだろうな。もう一つビックリしたのが伸縮性だ。

食王ガマの胃袋の入り口はそんなに大きくなかったが、引っ張ればどこまでも伸びそうだ。これなら大きな物も入るだろう。

あと、もっっとすげぇのはこのリュックはいくら振り回しても中の空間は全く動いてねぇみたいだ!

このリュックを作れた事を誇りに思うよ!

ありがとう!タスク!」


食王ガマのリュックは今のリュックより一回り大きいくらいのサイズだ。背負うとかなりしっくりくる。

タスクはガロにお礼を言うと足早に宿に戻る。

それだけじゃ申し訳ないからとガロが作った大口カエルの水筒を貰えたのは嬉しい誤算だった。

夕方になったレッドクラウンのメインストリートには白いローブを着た魔導師の姿が複数見られた。


急いで戻ったタスクはゆっくり部屋の扉を開く。


「よし!カーナはまだだ!」


実は夕方に受け付けに話していたのは使っていないベッドや棚を売ってもらう話だった。

タスクはカーナが戻ってくる前に購入した物を全てリュックに詰め込む。


「本当に全部はいった。。」


タスクは子供のような笑顔でリュックをベッドの上におくと頭から自分も入っていくのだった。
















次回はカーナ視点でお送りします!

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