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転生者の孫  作者: タカ
3/14

旅立ち

タスクはカーナと最後の夜過ごした。

小さい頃の話、村人の話、一緒に過ごした時間の事を沢山話した。帰る時、カーナはさよなら何て言わなかった。泣き虫のカーナは笑顔で「またね」と言った。

カーナなりの優しさだったんだと思う。


「はぁ」


時計は夜中の2時だ。

寂しさを振り払うように荷物を詰めたリュックをベッドの横に置き眠りにつく。

旅立ちの日に備えて。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


鳥のさえずりとカーテンの隙間から漏れる太陽の光に朝を感じる。

ベッドから体を起し、顔を洗い、大きなリュックを背負うとテーブルの上にある両親の絵に小さな声で「行ってきます。」と呟いた。


真っ直ぐな眼差しでドアを開けると気合いを入れて叫ぶ。


「行ってきますっ!!!!!」


朝日を浴びながら歩き慣れた道を通り、ロネット村の出口まで着くと、振り返りロネット村に一礼する

。頭を上げ、微笑みながら新しい一歩を踏み出すタスクの後ろから大勢の声が聞こえた。


「頑張れよ!!!!」「また帰ってきなさいよ!」

「身体にきをつけて!!!!」


タスクは気が付く。カーナが皆に伝えたんだと。。

タスクは振り返ると、笑顔で「行ってきます!!!!!」と大きく手を振ると、振り返って歩き出す。

リュックの肩掛けを両手で握りしめ。歯を食い縛り。いっぱいの涙をながしながら。



タスクは涙を拭き決意も新たに歩きだす。

しばらく歩くと大きな木に差し掛かった。5年前にカーナと行った林道の入口の木。

そこにはリュックを背負い、笑顔で待っていたカーナの姿があった。


「お母さんには分かってもらえたよ、タスク。、連れていって!!」


タスクは思い返す。何で自分は強くなった。大切な人を守るためだ。カーナ1人笑顔に出来ない男に、世界なんて変えられるわけがない。

そしてタスクは答える。


「飯は作ってもらうからな!!!」


「・・・・・うん!!!!!!」


涙をいっぱい貯めてカーナは頷く。


こうしてタスクの世界を変える冒険が幕を開ける。



・・・・・・・・・・・・・・・・


カーナと二人で林道をひたすらあるく。途中で襲ってくる熊や猪のモンスターをデコピンで瞬殺しながら食べれる量の肉だけ確保する。

カーナは野草や茸をキャッキャ言いながら収集中。


「遠足じゃねぇんだよw」


「隊長!了解しました!」


こんなやりとりが三回ほど続いて、やっと大きな湖に出る。気が付けば朝から何にも食べてない。カーナに至っては疲労で目が死んでいる。


「カーナ、休憩しよ!」


湖のほとりの岩に腰を下ろし、持ってきたコップに水を汲んでカーナに差し出す。

一気に飲み干すと少し元気になるカーナ。

タスクはリュックをゴソゴソと漁り地図を取りだしテント開いた。


「すごい!タスク地図なんて持ってたの!?」


「じいちゃんが冒険に必要な道具を全部残してくれてたからな。」


タスクは答えながら考える、水分の事も考えると今から次の水源まで普通に歩けば1日は掛かる。鹿神の力でダッシュしてもいいが、カーナとリュックの耐えられる速度で走っても夜には間に合わないかもしれない。タスクはカーナを考慮して、今日はここで野宿することにした。


「カーナ、今日はここに泊まろう!湖もあるし!」


「でも、外で寝るのは、、、熊さんとかさ。、」


確かにカーナの言うとおりだった。


タスクは何かを思いついたように少し離れた場所の3メートルほどの岩に手をかけると、それを片手で掴んで湖の真ん中に投げまくる。周辺に岩がなくなるころには、湖の真ん中に小さな岸が出来ていた。


「おーすごいwでもさ、どうやってあそこまで行くの?」


タスクはそう尋ねるカーナの腰をに手を回すと、照れるカーナを他所に30メートルほど先にある湖の真ん中までジャンプした。


「きゃあああああぁぁぁぁ!!!!!!!!」


ドンッ!


見事に着地するタスクに抱えられた放心状態のカーナは「つぎやったら殺すから」とだけ言った。


タスクは怒っているカーナを横目にリュックからテントを出して組み立てる。

少し目をキラキラした表情のカーナを横目に対岸にジャンプして大木を瞬間で薪にして持ってくる。

頬をピンクにしてタスクを見ているカーナを横目に湖に飛び込み魚を捕まえてもどってくる。そのころにはカーナはタスクの腕にしがみつき


「タスクのお嫁さんになってあげるw」


とか都合のいいことを言っていた。

タスクが頭をぽりぽりかきながら薪を両手に持ち、二本の薪を音速で擦るとあっという間に火がおきる。カーナは尊敬の眼差しで拍手していた。


タスクとカーナは焚き火を囲んで夕日を見ながら、枝にさした魚と昼間の猪の肉を雑談しながら食べる。ここなら熊に教われる事もないだろう。

さすがに布団は無いが、カバンに入っていた一枚のコートをカーナにかける。火が消えないようにタスクは数時間に一回薪を足すために外に出る、狭いテントの中でスヤスヤ眠るカーナに気を使い。タスクは火の前でうたた寝していた。。


ザバァァァァン


突然の水の音!

タスクは火に照らされた巨大な陰を見て驚愕する。


体長は5メートルくらいだろうか、それは艶やかな肌に大型魚類の下半身をしている上半身裸の、。

そうハゲたオッサンだった。


「変態だ!!!!!!」


叫ぶタスクに人魚のオッサンは答える。


「誰が変態じゃワレェ!!おぅ?兄ちゃん。わしはここのヌシじゃけぇのう。勝手に岩投げて島なんか作られたら困るんじゃ!落とし前つけてもらうけぇのう!」


「ごめんなさい。悪気はなかったんです。もとに戻しますのでどうか怒りをお沈めくーー」


タスクの話も聞かずに右手を天に掲げた変態は、あっという間に直径50メートルほど水球を造り出す。

変態はニヤリと笑うとタスクに水球を投げ飛ばす。


「シネェ!!!ワレェ!!!!!!」


ジュュュュュュュウウウウウウ。。


変態が投げた水球は、タスクの目の前でまるで水が蒸発するような音と共に消えた。


あまりの自体に目を擦り二度見する変態にタスクは答える。


「俺の後ろのテントで寝てる連れが起きちまうから消させて頂きました。」


「・・・・・え?消した?・・・・kesita?」


「・・・・・・はい。」


「!!!!!!!!!!」


焦る変態は必死に攻撃を、いや口撃を始める。


「消しただと、ワレェ!兄ちゃんが何したか知らんがワシの水球が消されるわけー」


ちょっとうるさいので全力で薪を投げるタスク。

タスクが投げた薪は衝撃波で湖を割り森を円形にえぐりながら真っ直ぐな道を作る。


「・・・・・・・・・・・。」


目が点になる変態。


タスクは変態にもう一度言う。


「湖はもとに戻すから今日だけ見逃してください。」


薪を構えながら言うタスクの姿を見ながら頼む態度じゃないだろ。と変態は思ったがむしろ断る術がない。


そのとき、騒ぎに目を覚ましたらカーナが起きてくる。肌着のワンピースしか着てないカーナは着崩れてひどい姿だ。寝ぼけた目を擦りながらカーナはタスクと変態を発見する。。


「・・・・・なに?それ?・・・・。」


「あ、起こした??」


唖然とするカーナにタスクは呑気に笑う。

しかし、変態はその隙を見逃さなかった。水面を操りカーナを無数の水の手で捕らえるとニヤリとイヤらしく笑って言った。


「兄ちゃんが強いのは分かった。ただこの姉ちゃんに攻撃出来ねぇよな??こいつは上玉だ、ワシが連れて帰るけぇのう!!」


イヤらしくニタニタしながら無数の水の手でカーナの身体を触る変態は、油ぎった人間の姿の上半身をカーナに近づけると頬を舐めようと舌をだす。


「いやぁぁぁぁああああ!!!!!」


叫ぶカーナの頬に舌を這わせる直前だった。


「ふあ!!!!ふぁふぁふぁぁぁぁぁぁ!!!」


変態の舌が吹き飛ぶ。喋ることの出来ない変態にタスクは掌を合わせる。

次の瞬間だった。


タスクが攻撃を仕掛ける直前にカーナの姿が煙のように消える。。


「騙された??へへへへw」


後ろから聞こえるカーナの声にタスクは驚く。


「あんまりうるさかったから目が覚めたんだけど、テントの隙間から変な人がみえたからさ、これ使ってみたんだ!」


カーナの腕で鼠神の腕輪が光る。


「カーナ、やるじゃん!」


その腕輪を確認した変態はグッと力を込め舌を再生させるとびっくりした表情で話だす。


「まてまて、こりゃあスマンことをした、、ワシは変態じゃのうて一応聖霊の端くれなんじゃ。見るからにそりゃあ鼠神様のものじゃろうて。神様の後継者に神より格下の聖霊が手出すわけにいかん。神様に黙って貰う変わりと言っちゃあなんじゃが、朝まで湖は見張っておくから、ここは好きに使ってくれ。」


まさか後継者から奪ったとは思わなかった聖霊は静かに湖の底に消えるのだった。


「なんか、とにかく安全になったみたいだな。」


ホッと肩を撫で下ろすタスクにカーナはニコリと笑って、「寝かせてくれてありがとう、これでタスクも眠れるね!」と、呑気に言った。


・・・・・・・


夜中まで火の番をしていたせいか、タスクはかなりの時間眠っていたようだ。


「起きて?タスクぅ!」


耳元でイタズラに囁くカーナの声にタスクは目を覚ます。


!!!!!!!!!!!!!


「ふ、二人いる?!」


びっくりするタスクをテントの外から笑いながら眺めるカーナ、どうやら鼠神の腕輪を使いこなしてるようだ。

すっかり目を覚ましたタスクは湖で顔を洗いながらカーナに尋ねる。


「その腕輪、カーナの魔力じゃそんなに使えないはずだろ??」


リュックから木の実を取り出し、カーナはドヤ顔で答える。


「昨日沢山拾ったんだ♪魔力を回復出来る木の実♪どう?えらい??」


イタズラのために魔力を回復する木の実を無駄遣いするやつが偉いわけないがとりあえず無表情でタスクは頷く。


それからすぐに軽めの朝食をとり、聖霊に約束したように湖の岩を元にもどすと二人はまた歩きはじめる。


後ろから「頑張れよー!」と変態聖霊の声がきこえた。


・・・・・・・・・・・


それからの二人の旅はかなりスピードアップした。

タスクがカーナを背負い物凄い速さで森を駆け抜け、山を飛び越え、川の上を走り。日が落ちる前に大きな街にたどり着いたのだった。


「スッゴい壁!!!!」


カーナが大興奮しているのは大三国の一つレッドクラウンの外壁だ。

モンスターの多い地域であるため30メートルほど外壁で囲まれている。


タスクがカーナを他所に門番に歩み寄ると、背筋をピンと張った体格の良い二人の男が尋ねてくる。


「入国許可のプレートもしくは1人につき2000ゴールド支払えない者に入国の許可は出来ない規則となっている。」


勿論入国プレートなどない。あまりの金額に驚くカーナだったが、タスクの顔をチラリと見る。


「そんな金ねーよwwww」


あるわけがない。4000ゴールドもあれば牛が4頭買える。残念そうなカーナがジャンプして入る?的な動きで合図を送っているが、そんな目立つことしても捕まるのが落ちだ。

思い着いたタスクは門番に提案する。


「すみませんが手元のお金はありません、4000ゴールド相当の素材を持つモンスターをこちらまで持って来るのでそれでは入国させて頂けませんか?」


タスクの提案に門番達は大笑いして答える。


「あのな、。確かにモンスターの素材は武器や食料として取引きされるし大金になるモンスターもいる。でもモンスターにはランクがあってな?一番弱いやつでスチールランク それから順にブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナランクだ。4000ゴールドクラスになる素材をもつのは少なくとも一匹ならシルバーランクのモンスターだぞ??」


その言葉にタスクはもう一度尋ねる。


「ちなみにこの付近にシルバーランクのモンスターはいますか?」


タスクの質問に門番達は呆れた顔だ。


「・・・・まぁ、いることはいるが、そこにみえるサラク山の頂上のビッグバードくらいだな。ただ、夜王討伐隊でも避けるほどの強さだぞ?悪いことは言わんやめたほうがー」


そこまで聞いたタスクはもくもくと全身から煙を上げながら屈伸をはじめると雲で山頂が隠れているサラク山を見る。


「よしっ!」 ドンッ!!!!!!!


次の瞬間爆風がまき起こりタスクの姿が消える。

・・・・・・・二分後

衝撃音と爆風と共に、二人の門番の目の前に大型の鳥を抱えたタスクが突然姿を表す。


「ああああああ、、まさか。。」

「!!!!!!!!!!!」


言葉を詰まらせる二人の門番の前に置かれる真っ黒の体長40メートルクラスの羽が6つに分かれた鳥。


「あのースミマセンがこれで入国でますかね?」


呑気に尋ねるタスクを他所に慌ただしく動く二人の門番。


「素材の鑑定師を呼べぇ!!!!!」

「ロドス討伐隊長に連絡しろぉ!!!!!!!」


「何か、すごい騒ぎになってますが、」


カーナは苦笑している。

ちょっとやり過ぎたようなのだが、あまりに騒ぐのでタスクは確認してみる。


「あの、ビッグバードってそんなに珍しいのですか??」


「・・・・・・は?」


二人の門番は動きを止める。そしてタスクをまじまじとみる。


「あのですね。サラク山の山頂に沢山の鳥がいましたよね?5メートルくらいの白いやつですが。」


「あぁ、沢山いましたよ?」


「それがビッグバードです。」


恐る恐るタスクは尋ねる。


「なら、、これは?」


「あなた様が先ほど持って帰ってこられたこちらの鳥はブラックバード。ゴールドランクのモンスターでございまする。」


門番はなぜか不自然な丁寧語になっている。

どうやらちょっとじゃなくかなりやってしまったようだ。


ギィィィ。


突然開く門から30代くらいのメガネの女の人と細身で色白の男が出てくる。


「ご苦労様です!ロドス隊長殿!」

「鑑定師ラーニャ様もご苦労様であります!」


姿勢を正す門番の姿を見るにただ者ではないらしい。


「うっわぁ!本物のブラックバードじゃん!?すっご!これはかなりの金に化けるよぉ!!」


先に口を開いたのは鑑定師ラーニャだ。どうやらタスク達にはまるで興味が無いらしい。


紙に何かを書き込みながら部位にペタペタと金額を張り付けていくラーニャの笑顔は狂気に満ちている。


カーナもドン引きしているようだ。


そして、もう1人の男はタスク達に歩み寄ると握手を求めた。


「私がこの国の討伐隊長を務めているロドスだ。このブラックバードだが、君達二人で討伐したのかい?通常では非常に考えにくいのだよ。ゴールドランクのましてブラックバードとなると討伐隊のAランクが300人以上いても苦戦するだろうと言われるモンスターだからね。」


「・・・・・・・・・」


押し黙るタスクの横に門番達が走ってくる。


「報告が遅れましたが、こここここのブラックバードはこの青年1人で討伐したのであります!!!!」


余計なことをする門番。

ロドスは驚愕の表情を浮かべるのだが、ロドスはカーナの腕輪が目に止まった。


「なるほど、、これを討伐したのは君じゃないようだね。彼女は12神の誰かの後継者みたいだ。何の力か知らないが君はただの付き人くんだね?」


12神の力を知っている事にタスクは驚愕する。まさかと思いロドスの腕を確認するのだが長袖を着ているために確認できない。タスクは不味いと考える。12神の後継者同士は敵対している、万が一ロドスが後継者ならカーナが危険だからだ。一方カーナはと言うと。


「はい!私が倒しました!!」


とドヤ顔を決めている。

頭をぽりぽりかきながらタスクは諦める。

何かあったら守ればいいか、と。


そのあと、カーナはロドスに歓迎され入国プレートを渡された。ラーニャも鑑定が終わったようでかなりの数の金貨を渡される。

ラーニャは「またすごいの待ってるから!」と笑顔で去っていき、ロドスもカーナに敬意を払い去っていく。門番達だけは震えながらタスクを見ている。


入国手続きを済ませたタスクとカーナもやっとレッドクラウンの門を潜るのだった。

















ボチボチの更新ですがスミマセン!

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