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プロローグ 「契約成立!」

プロローグ 「奴隷契約成立!」


俺には両親がいない。


生まれた時には

この、「奴隷育成施設」で育てられていた。


「奴隷育成施設」とは、この世界では上級階級と奴隷階級でわかれているのだが

上級階級には専門で奴隷を一人付ける事ができる。


その為一部の上級階級の人間達が金を出し合い

質の良い奴隷を作り、自分の専属にする為に「奴隷育成施設」というシステムを作った。


一見、反人道的なシステムに見えるが

奴隷側にもメリットがある。


例えば、食料の供給

今迄は政府自体が食料を奴隷側には配給してこなかったが

奴隷が死んでいくと、奴隷が少なくなり

必然的に上級階級側の最下位から奴隷を生み出し続けるという状況になったので

奴隷に食事を供給し奴隷が働き上級階級が至福を肥やすという縮図が出来上がったのである。


この物語は最下位の能天気奴隷が、上級階級に成り上がろうとする物語である。


「ん...もう、朝か、よっこらせっと、とりあえず、今日も一日元気に頑張るでっと。」


(はぁ...。金でも降って来やんかな~)


そんな事を考えながら、奴隷街を歩いていると

上から何かが落ちてきた。


「チャリンッ」


落ちてきたコインは見事に頭に命中した。


「痛った! めっちゃ痛い! 」


ズキズキと痛む頭を抑えながら、コインを拾い上げて上を見上げると

二階建ての小屋の屋根に美少女がいた。


美少女は、おそらく17歳くらいで小綺麗な服を身に纏っている。

髪は赤みがかった茶髪で、清楚というよりは綺麗な顔をしていた。

彼女は俺を見下げながら、こう言った。


「あんた、奴隷でしょ? お金欲しいでしょ?」 


俺はとりあえず、スカートを履いているのに

上から俺を見下げている彼女のパンツを見ながら、欲しいと言った。

パンツが欲しいとマジ顔で!


「え ? え? きゃあぁぁぁああ!!」


彼女はスカートを抑えながら、慌てふためく。

俺は未だにパンツが欲しくてマジ顔。


俺の顔を見て更に焦る彼女。


マジ顔を辞めない俺。


小屋の隣の畑を何食わぬ顔で耕す、おっさん。


その場は異様な空気に支配されていた。


「あんた、いい加減にしなさいよ!! 祖チン!! 祖チン!!」


彼女は泣きながら、俺を罵倒し始めた。

ただ、その言葉しか出て来なかったんだろうか。


彼女の罵倒が止んだ瞬間、盛大に彼女は屋根の上でコケた。


「きゃぁぁああ!!」 っと叫ぶ彼女。


助けに駆け寄る俺。


畑を耕すおっさん。


畑の隣の公園で太極拳をしているおばちゃん。


間一髪、彼女を受け止め事なきを得たはずだった...。


この世界では、上級階級の人間に奴隷は触れてはいけないという法律がある。

彼女は「ニヤリ」と笑いながら、俺にこう言った。


「あんた、私に触れたわね? 助けてあげる、但し私の専属奴隷になりなさい。」


俺は、受けるしかなかった。

受けなければ、上級階級の人間に触れた罪で死刑もありえる。

見逃してくれる上に奴隷になるだけで良いのなら、感謝しかない。


「ええで! 受けるわ! そんな条件でいいなら、死にたくないしなぁ!」


彼女は微笑みながら、契約の儀式の用意を始めた。

契約の儀式とは、奴隷の腕に「奴隷印」と呼ばれる物で烙印する事で

契約した主人に逆らえなくする為のものである。

もし、主人の命令に逆う度に腕の奴隷印が伸びていき

首まで達した時点で奴隷の死が確定する。


「それじゃあいくわよ!」


彼女が奴隷印を俺の腕に押し付けた。


「ジュッ ジュッウウウ」


俺はだらしなく、声を出した。


「うぁぁ、んぁあああ!!」


彼女は、汚物を見る様な目をしながら俺に言った。


「気持悪い声出さないで!吐き気がするわ!」


そんな事を言われても、出る物は仕方ない。

確かに熱すぎて頭がおかしくなりそうで、ある意味イってたのは否定しないが。


痛みに耐えながら、苦悶の表情を浮かべていると、彼女は微笑みながら言った。


「契約成立! これから、よろしくね! 私の奴隷さん。」


「契約も済んだ後なのだけれど、あなたの名前は?」


彼女は、仰向きで寝ている、俺の顔を見下しながら言う。


俺は、笑いながら答えた。


「俺の名前か? 葵、「市ヶ谷 葵」や! で、主人様の名前は? 」


彼女は、こう答えた。


「そう、わかったわ! 犬ね! 祖チン犬ね! 」


「私の名前は「桜院 咲良」あなたの、ご主人様よ!」


無事に? 自己紹介も終わり、これから波乱万丈な奴隷生活が待っていそうだ。


初めて書いた投稿作品です。

稚拙な文章もございますが、温かい目で見てくだされば

嬉しいです。

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