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Blood for  作者: 椎井 慧
第2章
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修学旅行

 目の前の黒板に「修学旅行委員会」と大きく書かれた理科室で、瑠美は相澤と一緒に座っていた。修学旅行の文集制作の説明を聞きながら、なぜ私が……と瑠美はため息を吐く。




 事の発端はクラス替えの翌日。瑠美のクラスは委員会決めを行っていた。黒板にはずらりと委員会の名前が書かれ、順番にやりたい人が立候補していく形式だ。

 兄は「楽だから」という理由で一年の時と同じ美化委員に立候補。行事の好きな恵衣は体育祭実行委員に決まった。

「(うーん……。去年と同じ図書委員でいいかなぁ……。どうしよう)」

 瑠美が黒板に書かれた委員会を眺めながら悩んでいると、去年は見掛けなかった委員会が目に入った。

「修学旅行委員会……?」

 独り言のつもりだったが、楽しいこと好きの恵衣がそれを聞き付けて後ろから話し掛けてくる。

「あ、いいじゃん。楽しそうだし、瑠美行ったことあるからいいんじゃない?」

「行ったことある……ってどこに?」

「あれ、去年の夏休みに行ったのってドイツだったよね?」

「うん、そうだけど……?」

「修学旅行、ドイツだよ」






「えッ!?!?!?」





 教室中に瑠美の大きな声が響き渡った。クラス中の視線が一点に集まる。あ、あぁ、変な目で見られている……。後悔先に立たず。瑠美は小さく縮こまる。突然叫んだ瑠美に担任が不思議そうに首を傾げる。

「どうした、橘?」

「あっ、あのぅ……。しゅ、修学旅行ってドイツ……なんですか?」

「あぁ、そうだよ。なんだ、橘は修学旅行委員に興味あるのか?」

「や、えっと、そういうわけじゃ」

 話が自分の意図しない、おかしな方向へいっている。どうやってこの場を切り抜けようかと瑠美がどぎまぎしているところへ、相澤がすっと静かに手を挙げた。

「橘さんがやるなら、オレもやりまーす」

「おっ、じゃあ橘と相澤の二人でお願いしていいかな」

「えっ、えぇ!?」

 何故そうなる、と思いながらも断る術がわからず、瑠美は相澤と二人で修学旅行委員をやることになったのだった。





 修学旅行委員をやること自体は構わなかったが、修学旅行先に問題がある。まさかドイツだなんて、大問題だ。もしまた赤フードの吸血鬼や、それ以外の吸血鬼たちに襲われでもしたら……? 自分が襲われるだけならまだしも、兄や恵衣を含め、自分と一緒にいる人たちにも被害が及ぶ可能性が高い。それだけは絶対にあってはならないことだ。修学旅行なんて行っている場合ではないのでは……。

 ぐるぐると悩んでいると、隣の相澤が心配そうに声を掛けてきた。

「瑠美ちゃん、大丈夫? もしかして修学旅行委員会、やりたくなかった……かな。ごめん、無理矢理やらせちゃって……」

 しゅんと落ち込む相澤の表情はどことなく兄に似ているようにも思えた。仲が良いと雰囲気も似てくるのだろうか。

「う、ううん。全然。今日の夕飯どうしよっかなぁって考えてただけ」

「そっか、ならいいんだけど」

 ふっと安心したように笑う相澤。やはり兄に似ている、ような気がする。



 しかし、今はそんなことを考えている場合ではない。修学旅行のこと、どうするべきか帰宅したら兄に相談してみよう――。

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