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Blood for  作者: 椎井 慧
第2章
29/38

2年1組

 季節は巡って、春。橘兄妹は高校二年生になった。




「瑠美っ! また一年よろしくね!!」



 恵衣がはしゃぎながら瑠美に抱きつく。たった今、二年生のクラス割り発表があり、瑠美と恵衣は今年も同じクラスになったのだ。

 抱きつく恵衣をよしよしと落ち着けながら、瑠美もまた恵衣と同じクラスで心の底から安心していた。人見知りの激しい瑠美にとっては毎年この季節は憂鬱な時期であったが、今年はその憂鬱も感じずに過ごせそうだ。ほっとしすぎてちょっと涙ぐんだことは、恵衣には内緒にしておこう。



「まっさかあたしも瑠美も優等生クラスの1組とはねぇ……。人生何があるかわからんもんだ!」

「ほんと……。授業についてけるかなぁ」




 そう、二人は学年の成績上位者が集まる1組になったのだ。理系科目が苦手な瑠美であったが、「二年生こそは絶対に同じクラスになりたい」と息巻く兄の特別授業の賜物で何とか成績上位に食い込むことが出来たようだった 。



「あたしなんて五科目は全然だめだめだよ? 体育とか美術とかで成績稼いでただけだから、絶ッ対ついてけないよ」

「恵衣さん体育も美術も天才的だもんねぇ」

「クラス編成の仕方に疑問を覚えるね」



 他愛もない話をしつつ、2年1組の教室に入ると既に大半のクラスメイトが着席していた。兄の姿は……ない。

「(あれ? もしかしてまたクラス別々なのかな?)」

 まさか兄が自分よりも成績が悪いはずもないが……。不思議に思いながら自分の席に着席する。

 恵衣は去年と同じく自分の後ろの席。前の席は……まだ空席だ。クラスメイトはどんな人がいるのかな、とどきどきしながら教室を見渡すと廊下側の一番前の席に相澤の姿を発見した。



「相澤くん」



 相澤の席に駆け寄りながら声を掛ける。恵衣以外にも知り合いがいるのは心強い。

「お? 瑠美ちゃんじゃん。おお? 豊島も?」

 突然声を掛けられ驚く相澤。どうやら恵衣とも顔見知りのようだ。

「よっ、相澤」

「二人知り合いなの?」

「オレら同じ中学だったんだよな」

「そう、三年間一緒のクラスだったの」

 意外に世間は狭いものだ、と感心しながら相澤と恵衣の話をふむふむと聞いていると、教室のドアが勢いよくガラっと開いた。ドアを開けた主を見上げると、それはとても良く見慣れた姿。



「!」

 瑠美が目を見開く。

「あ」

 兄が嬉しそうに顔を綻ばせる。

「げ」

 恵衣があからさまに眉をひそめる。

「お」

 相澤がやっと来た、と言いたげに声をあげる。




「瑠美、一年間よろしくね」

 兄がいつもの眉の下がった人懐こい笑顔を向ける。兄と――好きな人と初めての同じクラス。嬉しさと気恥ずかしさで顔が紅潮するのを感じる。



「よろしくね、お兄ちゃん」



 嬉しさを隠しきれない満面の笑みで、瑠美の高校二年生がスタートした。

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