表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Blood for  作者: 椎井 慧
第1章
24/38

あげる













 恋ってなんだったかな。辞書。辞書どこ?わからないことは辞書を引けば大体載ってる。辞書、辞書。あ、か、き、く…………こ、い……。

『特定の異性(稀に同性)を強く慕うこと。切なくなるほど好きになること。また、その気持ち』

 なる、ほど……。切なくなるほど好きに、なること。



 瑠美は肺に空気が入りきらなくなるまで深く息を吸い込むと、再び肺がぺたんこになるまで息を吐ききった。

 動揺に次ぐ動揺。

 自分が兄に恋をしている……?いくら血が繋がっていないとはいえ、兄に?でも、そうなんだとしたら今までの感情全てに説明がつく。



 兄に『食物』と認識されていることをマシューに思い知らされて悲しかったこと。血を吸うまいと距離を置く兄の態度が寂しかったこと。赤フードの吸血鬼から守ろうとしてくれて嬉しかったこと。久しぶりに兄に触れた時、すごく安心したこと。他の誰かの血を吸う兄が許せなかったこと。




 あぁ、間違いない。好きなんだ。兄のことが。



 ……今、きっと兄はいつものあそこにいるだろう。兄妹喧嘩をすると必ず兄はあそこへ行く。――いつもの川原。だから私もいつものように迎えに行こう。兄を連れて帰ってきたら、すぐに夕飯が食べられるように準備もしておこう。何がいいかな。そうだ、兄の大好きな……。




「エビフライ、作ろう」




 好きだなんて言えるはずもないけれど、これが私の精一杯の兄への、気持ち。自責の念に駆られているであろう兄を早く迎えに行ってあげなきゃ。早く安心させてあげなきゃ。




 兄が欲しいのなら、この血もあげよう。兄が苦しむよりずっとマシだ――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ