遠ざかった、夏。
教室では友達と何気ないことで楽しく会話をして、時々、会長の姿を見に行く。
友達と笑い合って。
会長を遠くから見てドキドキして、うきうきして。
それが私の高校生活になっていました。
特に部活に入っているわけでもなく。バイトをしているわけでもなく。小さい頃に私が憧れていた高校生活とは違っていましたが、これはこれで満足です。
そんな生活が続いて、気付けば一学期の期末試験が終わっていました。頑張って勉強したおかげで、どの教科も平均点くらい取れました。
期末試験が終わったということは、ついに夏休みです。
それを知った瞬間、心にぽっかりと穴が空いた感覚に陥りました。
夏休みということは学校に行かないということです。部活に入れば良かったと初めて後悔しました。部活に入っていれば夏休みでも学校に行って、あわよくば会長のことが見られるかもしれないと思ったからです。
だからといって、この時期からどこか部活に入る勇気もなくて。
結局、会長の姿を一度も見ることのできない夏休みを過ごしたのでした。
私が出会う会長は、私の頭の中にいる会長だけ。
その会長は私のことばかり見てくれていて。好きだ、って言ってくれて。時々、抱きしめてくれて。口づけもしてくれて。
そんな厭らしい妄想をしながら、自分を慰めたりして。寂しさをどうにか快感に変えて夏を乗り切ったのです。夏休みがこんなにも嫌だと思ったのは初めてでした。やはり、会長のことが好きだからでしょうか。
絶対にそうです。そうだと思わせてください。