試写会とパーティー
最終発表から1年が経った。
私はアニメ制作課から保健衛生局へ異動となった。
そんなある春の気持ちがいい日和、アニメが完成したという話を聞き、同時に試写会もあると聞いた。
ちょうど休みの日になっていたから、わたしはすぐに行くと返事をした。
日曜日に、その試写会は、制作会社のところで行われるということになっているらしいので、そこへと電車とバスを乗り継いで向かう。
このあたりは、業務外の行動になるから、自腹で行かなければならないが、その価値があると私は確信していた。
「こっちですよ」
最寄駅にたどり着くと、見慣れた顔が私を出迎えてくれる。
池下さんだ。
「お久しぶりです」
「お久しぶりですね。今日の試写会へ?」
「ええ、呼ばれたので。池下さんもですか」
「その通り。どんな感じに仕上がっているのかというのを、自分の目で見て判断したくてね」
そういう池下さんと私は一緒に試写会場へと向かった。
会社の建物の中に入り、受付を済ませると、20人ぐらいが入れるだろう会議室だった。
すでにスクリーンは下ろされているため、プロジェクターの設定は終わっているのだろう。
何人かはすでに会場へ入っている。
まだ、班長の姿は見えない。
10分ほどすると、一斉に部屋の電気が落とされ、プロジェクター脇にある演台がスポットされる。
そこには課長の姿があった。
「えー、本日は、アニメが完成したということで、試写会兼打ち上げ会ということですので、みなさんは、試写が終わっても帰らないようにしていただきたい」
それを言うと、演台のライトも消され、アニメ本編が上演された。
途中休憩をはさみながら、12話分、じっくりと見させてもらった。
オープニングやエンディングも出来上がっていて、放送日時も決まっていると、試写会終了後に教えてくれた。
その時、やっと班長がいるのが見えた。
試写会終了後、すぐに机が部屋の中に運び入れられて、打ち上げパーティーが始まった。
「それで、どんな感じだった」
班長が私の横に座って、りんごジュースのコップを持ちながら私に聞いた。
「ええ、素晴らしい出来だと思いますよ」
クラッカーをつまみながら、私は班長へ答えた。
「それで、どうだろう。これがはやったら第2弾を考えてるそうだ。もう一度、やってみないか?」
「それは、その時にお答えしますよ」
上司からの命令であれば、きっと断れないだろうが、そうでない限り、私は断るつもりだった。
なんといっても、あれほど大変なことはなかったからだ。
でも、同時に楽しかった。
きっと、これ以上の楽しくて大変なことはないだろう。
そう思いながら、私はクラッカーを口へと運んだ。




