結婚指輪
?翌朝――。
柔らかな朝日がカーテン越しに差し込み、レビリアは目を覚ました。まだ眠たげな瞳を開けると、自分の薬指に指輪がはめられていることに気がつく。
「これは…!!」
驚きと喜びが入り混じる声に、寝ぼけ眼のセピアがゆっくりと起き上がった。
「気づいてくれた?」
「セピア様、これはその…えっと……」
言葉に詰まるレビリアに、セピアは真剣な瞳を向ける。
「君と結婚したい。生涯を共にしたい。この先、僕はまた阿呆に戻ることもあるかもしれないし、まだまだ王子として未熟だけど、君とリオを幸せにするという気持ちだけは揺るがない。
君のそばにいる許可を、僕にくれない?」
そう言って、セピアは小さな箱を差し出した。中には、レビリアの指輪と同じ、エメラルドとトパーズのダイヤがあしらわれた金の指輪が光を反射していた。
レビリアは迷うことなく、微笑みながらセピアの左手を取り、丁寧に薬指にはめる。
「ありがとう、レビリア。僕のお嫁さん!」
「ふふ、セピア様、気が早いですわ」
セピアはくしゃりと笑い、肩をすくめる。
「父上に頼んで、結婚式もするからね!」
「そんな!大々的にしなくてもいいですよ?私はセピア様とリオがいてくれたらそれでいいんです」
「だーめ!僕がレビリアの花嫁姿を見たいの!」
「ふふ、分かりました」
二人はお互いの指を重ね合わせ、静かに見つめ合う。朝日が差し込む中、指輪の輝きが二人の絆を祝福するように煌めいていた。
柔らかな光と穏やかな空気の中、セピアとレビリアの新たな日々が、今まさに始まろうとしていた。
朝日が柔らかく差し込む客間。セピアとレビリアは指を重ねたまま、しばらくの間、その温もりを感じ合っていた。
「ん…ふふ、セピア様…こうしているだけで幸せですわ…」
レビリアの頬がほんのり赤く染まる。セピアはその頬にそっと唇を寄せ、軽く触れた。
「僕もだよ、レビリア。君が隣にいるだけで、僕の心は満たされる」
セピアはレビリアの肩に腕を回し、後ろから優しく抱き寄せる。二人の呼吸が重なり、胸の鼓動が互いに伝わる。
レビリアはそっとセピアの胸に頭を預け、安心したように目を閉じる。
「リオが帰ってくるまではまだ時間がありますし…。だから、少し甘えてもいいですか?」
「もちろん。君が望むなら、何時間でもこうしていよう」
セピアはレビリアの手を握り、指先まで温めるように絡める。その手を引き寄せ、頬や額に軽くキスを落とす。レビリアは恥ずかしさと幸福で小さく息を漏らす。
「セピア様…朝からこんなに優しくされたら…もう…」
「ふふ、君のためなら、朝も昼も夜も、ずっと優しくしていたい」
セピアは耳元で囁くように言い、そっとレビリアの髪を撫でる。
しばらく二人で穏やかな時間を過ごしていると、扉の向こうから元気な声が聞こえてきた。




