穏やかな日々
庭園には花が咲き乱れ、リオは走り回って元気に笑っている。
「おねえちゃん!セピア様!」
「リオ、そんなに走ったら疲れるわよ」
レビリアが笑いながら手を伸ばすと、リオは駆け寄り、両手を広げて抱きつく。
セピアもそっと手を添え、「よしよし、リオも元気でなによりだ」と笑った。
庭園の片隅で、セピアはレビリアの手をそっと握る。
「君とリオが無事で、本当に良かった。もう二度と危険な目には遭わせない」
レビリアは微笑みながらも、少し照れくさそうに頷いた。
「ええ、でも…セピア様がそばにいてくださるなら、私はもう何も怖くないわ」
その日の午後、三人は王宮の中庭でゆったりと過ごすことにした。
リオは花を摘み、レビリアとセピアに小さな花冠を作ってくれる。
「はい、セピア様、かぶって!」リオの純粋な笑顔に、セピアは思わず頬を緩める。
「ありがとう、リオ。君の作った花冠、宝物にするよ」
レビリアはセピアに視線を落としながら、リオの肩越しに囁いた。
「セピア様…こうして平和に過ごせる日が来るなんて…」
「君とリオがいるからだ。僕にとっての宝物は、君たち二人だ」セピアはそっとレビリアを抱き寄せる。
夜になると、王宮の窓から月光が差し込み、三人は小さな居間で温かな紅茶を囲む。
リオは眠そうな瞳をこすりながらも、セピアとレビリアの間に座り込む。
「ぼく、ずっと一緒にいたい」リオの小さな手が、二人の手と自然に絡む。
セピアとレビリアは顔を見合わせ、同時に微笑んだ。
「もちろんだ、リオ。僕たちはずっと一緒だ」
「ええ、ずっとね」
その夜、三人は穏やかな夢の中で眠りについた。
それぞれの心に安堵と幸福が満ち、外の世界の騒がしさなどまるで存在しないかのように、静かな家族の時間が流れていった。
そしてセピアは心の中でそっと誓った。
——レビリアも、リオも、そしてこの平和を絶対に守る。どんな困難があろうと、僕たちの幸せを奪わせはしない、と。




