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ムカつく女とアップリケの推論

作者: 中林宙昊

ムカつく女がいる!!!!!!



何でムカつくのか、それを語らなければ私は文字書きカスからただのカスになってしまうのでここに記そうと思った。

考えられるムカつく理由


・声がムカつく!

正直これはムカつく故からのバイアスがかかっていると思う。

なんかどこかキモ点がある気がする。


・顏もムカつく!

これも嫌悪バイアスがあると思う。

嫌いな奴は「嫌なほど美人」か「俺視点では超ブス」なんだよなー


・不器用なとこがムカつく!

嫌バイあると思う。

性格悪いけどやることなすこと全部「違うけどな」と思ってる


このように『キショ過ぎドライフラワー』になってしまったし、俺は優里でもなければ全部全部(優里も)嫌いなのでつが。


これ、見てくれたら分かると思うんだけど、なんだかどれも『明確な嫌いの理由』がないんですよね。

せっかくムカつくやつのことを縦横無尽に書き扱きおろしまくってやろうとおもったのに、メモ帳に書き下せたのはこんなカス替え歌くらいで大した内容にならなかったんです。なんで?


嫌いになったときから、今だってずっと嫌いっていう気持ちと、その大きさは変わらないのに、なぜか嫌いな理由が、その人を嫌ってもいいほどには出てこないんです。


じゃあもしかしておれは嫌いじゃないのか?

なんで嫌いだったんだ?


そう思えてきました。

いやでも嫌いなんだよ!!!!!!!!!!!!!!!!

もう理由を飛び越えた感情がそこにあるんです。


しかしながらまわりを見てもそいつを嫌いなのは俺くらいなんです。

しかもそいつは俺よりも友達が多い!!!

やっぱり悪い奴なんかじゃないのかな。


いや、そういうふうにみえているだけなのかもしれない。

例えば人の印象というのは面白いもので、高級ブランドの背広を着た男と、似たようなデザインの格安ブランドの背広の、胸ポケットにアップリケを貼った男の写真を見せて、「どちらの方が印象が良いですか?」と聞いたとき、70%ほどの人間が後者を選んだというのだ。


たしか。


とにかく、嫌な部分や弱点というのは印象やレッテル一つで隠すことができるということなのだ。


映画監督が名前を貸すように、広告代理店が超儲かっているように、東京の有名人と一般人との比率は地方とそこまで変わらないように。


例えが下手すぎる。


と、とにかく、嫌な部分や弱点というのは印象やレッテル一つで隠すことができるということなのだ!!!!!


だからきっとあいつも自分の暗黒面的レガシーをひた隠しにしてみんなをだましているに違いない!!!!!!!!!!



あースッキリした!!!!!!!!!!!!



なんてことを殴り書き、いや恨み書き?に書いた日から経って、とっくに冷めた目でそれを見ている。


いつも物を書くときはこうして、一度気持ちのままに全部書いたあとに一度全部忘れてから冷静な気持ちで各所を手直し、こねくり回している。

それをしないと、そのまま載せられないようなこと、やれ殴るだとか蹴るだとかの魑魅魍魎の百鬼夜行が東海道中を膝栗毛してしまうので、必ずやっている。あと単純に恥ずかしいし


しかし、今日に限ってはそれをしないつもりだ。


なに、別に大した理由はないのだけれど、ただまだ書かなければいけないことがあったからだ。


今日、帰路、家路にて、仲の良さそうな小学生二人がピンクのゴムのボールを追いかけているのにすれ違った。

時にふと思った。

彼らは、もし何かが違えば仲良くもなく、あのボールの影すらそこになかったのだろうか。俺は彼らとすれ違うことがなかったのだろうか。

なんだかそれが体のどこか妙なところに引っかかって、またふと、この文章を読み直した。


あの途中で、黒歴史をひた隠しにして騙しながら生きているに違いない、というような部分があった。

それについては今も同感だ。


しかし、自分はそうではないのだろうか?


すこし立ち止まって後ろを見たときに、そこには立派な姿など一度だってあったのだろうか?


それどころか先ほどのように、自己完結解決という一時的な処置のもと、実際に解決したような気になっている自分が、これを読み直すときまでそこにいたじゃないか。


俺は傲慢だった。驕り高ぶっていたのだとはっきり気が付いた。

自分がムカついているヤツは、自分と何も変わらない、一人の人間なのだ。


なぜヤツをムカついていたのか、そんなことは今の俺にだって分かりはしないが、今は少しだけ、許さなくてはいけないような気がしている。


これに、この文章にはほんとうに意味なんてない。

今さら何を思い直し、どこまで走ろうと向こう岸には誰の影もなく、ただ内省的な自己完結解決に過ぎられないのだから。


これからどうなる、どうするかというのが重要なんだ。





ましてや、どこにもない昨日や明日では、ヤツと同じボールをおっかけていたのかもしれないのだから。

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