追放されたその先に……
私はゴミスキルと判断され、国から追い出される時、国民居住権利を剥奪され、僅か15歳の私は浮浪者にされた。
お情けで、ボロッボロのマジックバックに、金貨1枚と固い黒パン1斤、刃こぼれしたナイフと、臭い毛布を渡されただけ。
両親も出来の良い姉兄を贔屓し、ゴミスキルな私は嘲笑い馬鹿にし、フランソワーズ家を破門にした。祖父母もだ。
『構わないけどさ、15歳の女の子を秋が始まる季節に追い出すとか…死ねと?』
コートは家から出る時、執事長がコッソリ渡してくれたし、冬を過ごすためのブーツもくれたんだよね。
執事長が1番私を心配してくれていた…ありがとうございます。
最果ての教会は、煉瓦と鋼の板で作られているためか、頑丈に作られていた。
訪ねてみたら、一人の若い牧師と数人の子供がいて、子供はガリガリに痩せ、牧師様も痩せていた。
『私は…スキル持ちですが、役に立たないゴミスキルと言われ、国からも家族からも捨てられました…。今夜だけでも泊らせてください』
「どうぞ、中へ」
中は意外と暖かく、暖炉には火が焚べてあり、ガリガリな子供達は暖炉に固まるようにいた。
『牧師様、お礼に夕飯を用意します。私のスキルで』
「私のスキルは…治癒で…。怪我や病は治せても、この子達の腹は満たせなくて」
『鍋はこれですか?』
「はい」
『人数は私を入れて7人ですね。では…鍋に波々と卵粥!』
鍋が光ると、鍋の中には温かい卵粥が姿を表した。
『焦らないで…まだまだ沢山あるからね』
「た…まご?」
「高価だよね…」
「卵!好き!」
「僕も!」
「ワタシも!」
『ほら、お椀を貸して…。はい、どうぞ』
お椀に波々と卵粥を入れて、テーブルに並べると、子供達はガツガツ食べ、お代わりをし、追加の粥を出した。
お腹が膨れ、眠たくなったのか子供達は直ぐに寝てしまった。
それから、インスタントココアを出し、飲みながら牧師様と話をする。
私が貴族の生まれで、帝国の人間だったこと、スキルが全てで私の良く分からないスキルは、レアスキルでもゴミ同然とも話した。
『もし良ければここに住まわせて欲しいです…』
「こちらこそ、貴女みたいな方がいると助かります。
部屋は女児男児と別れています…これは失礼しました。私は元王族…今は無き国のカラデナ国の元第一王子のクリスと言います」
『あの…永世中立国の…。私はグーラル家長女アリス・デ・サイフォンです。
今は廃嫡され勘当され…その入墨が左肩に、国すら追い出され市民権剥奪の証の入墨は右肩に』
入墨を見せれば泣きそうな私を、牧師様が抱き締めてくれた。
その日から私も仲間入りをし、1年中雪が降る最果ての教会で幸せに暮らしている。
皆に読み書きを教えたり、料理を教えたり、絵本や服を作ったり楽しい毎日だった。
小さかった子達が成長し、教会から卒業しても、何故か教会には来れない。
私は気が付いた。
この教会は…幼くして死んだ子が安らぎながら天国に行くための、憩いの場所なのだと。
『牧師様、私も死んだのですね』
「……」
『私は、牧師様と共に教会に残りたい。輪廻転生などより…貴方といたい』
「僕もです」
『ありがとうございます、クリス牧師』
「アリス、貴女が僕を選んでくれて…嬉しいよ」
『私もです』
涙を流しながら微笑みあえば、次の幼い魂が鐘を鳴らす。
『行きましょう』
「あぁ」
とある森で女の子が魔物に食い荒らされてる死体が見つかった。
駄目スキルではないと分かり、国や家族は様々な手を使い探した。
しかし、戦うすべすら知らない女の子は追い出されて3日目で幼い命を散らした。
その魂は様々な旅をし、最果ての教会に辿り着き、安らぐ日々を過ごした。
そして、魂のみになろうとも共に歩みたい伴侶を見つける。
そう、
魂とて恋をする。
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