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『初めて迎えるバレンタインを前に』

ト書き方式です

 交際を始めてから2ヶ月前後のとある休日。

 並んでソファに座りながら、まったりくつろぎ中の宮本と木崎。スマホを見ていた木崎が顔を上げた。画面にはこの季節ならではの広告が表示されている。


木崎「もうそろそろバレンタインだな。俺へのチョコ、用意したか?」

宮本「まだ」

木崎、ニヤリとする「手作りがいい」

宮本「え?」

木崎「手作り! 」

宮本、不思議そうな顔「何で?」

木崎「宮本って、中高で手作り友チョコを大量に交換してそうだよな」

宮本「まあね。確かにしていたよ」

木崎「なら作れるよな。イヤならいいけど。俺も作る」

宮本「作ったことがあるの?」

木崎、ドヤ顔で「ない」

宮本「なら、どうして?」

木崎「友チョコ交換、しようぜ」

宮本「???」

木崎「去年のバレンタイン。藤野と友チョコを交換しただろ」

宮本「うん、した」

木崎「あれに勝つには、やっぱ手作りだよな」

宮本「勝つって。……あれ?」


 藤野からもらったのは本当に友チョコだったのか、と一年超しでようやく疑問に思う宮本。


木崎、ニヤニヤ「バレンタインにチョコをもらって友チョコだと勘違いするヤツは宮本くらいだ」

宮本「だって! 女性がチョコをあげる日じゃない。まさか……」


 宮本はむにゃむにゃと言葉を濁す。


木崎「俺的には面白かったけど、藤野は可哀想だった」

宮本「……ごめん」

木崎「それはそれとして、宮本に手作りをもらって藤野に自慢する」

宮本「意味が分からない」

木崎「俺は去年、もらっていないからな」

宮本「義理チョコ全員配布の指示が出ていたとしても、木崎にだけはあげなかっただろうね」

木崎「ひでえ。きっと俺はもらってやったぞ」

宮本「で、誰かに毒味をさせるんでしょ」


 木崎、考える。

 ――恐らく気になって、宮本のチョコを最初に開けただろうし、毒味を他のヤツに任せるなんて絶対にしなかっただろう。

 そう結論づいた木崎は、宮本にちゅっとキスをして誤魔化す。


木崎「手作り、ダメか?」

宮本「いいよ。甥っ子くんたちにあげるのは手作りするから」

木崎「は? 聞いてねえ。あいつらにやるのか?」

宮本「うん。――お姉さんとは話してたんだけど。木崎には言ってなかったっけ?」


 宮本は、木崎の姉に『子供たちが莉音ちゃんを大好きなの。お礼はたくさんするから』と、頼まれている。お礼はホワイトデーにクッキーをもらえれば十分と答えてある。


 なんで自分より姉と話しているんだと、こっそり拗ねる木崎。

 宮本は気づいていて、木崎の案外子供っぽい嫉妬を可愛く思っている。だけど、今の言い方だと木崎の分がついでみたいだったなと、反省。


宮本「対決しない?」

木崎「何の?」

宮本「木崎も作るんでしょ。手作りチョコ、どちらのを甥っ子くんたちがより喜ぶか」

木崎「負けたほうは、バレンタイン一日勝ったほうの言うことを何でもきく、な。オーケー、乗ってやろう」


 にわかに機嫌が良くなった木崎。甥っ子との付き合いが長いのは自分。ヤツラの好みは熟知している、と自信満々。宮本に何を言ってやろうかと、すでに楽しみ。


 宮本は友チョコ作成歴は自分が上だから負ける気はしない。でも本当の目的はチョコ対決に木崎の気を引いておいて、その裏で彼用の豪華チョコを作ること。


 私も大概だなあと思う宮本。それから。

 ――というかこれだと、どっちが勝っても絶対にイチャイチャに突入されるな。

 そう考えて、まあいいや、と微笑むのだった。




◇場所は木崎の自宅。だけどすでに一緒に住んでいると思われる


◇木崎姉的には宮本はもう義妹。弟がいつも通りを装いながらも、実はベタ惚れなことに気づいている。というか弟が甥(と姉)に恋人を会わせたのは宮本が初めてなので、バレバレ。





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