山へ行こう
☆13
・次の日の練習の最後に、
竹崎先生は、プールから上がり、
解散の合図を待つ、
部員とユミに突然切り出した。
「皆いっぺん、
小さい山に登ってみない?
私的に、
ユミちゃんと過ごす夏を、
もうちょっと盛り上げたいんだ☆
山登りって楽しいんだよ♪
汗はかくけど、
気分はすごく高揚して、
楽しいんだ☆☆☆
参加希望者は、
先生に直接言ってね☆!
すっごく盛り上がるから☆♪」
先生の話が終わり、
無意識にユミの方を見ると、
ユミも恵三を見ていた。
ユミのキラキラした明るい目が、
優しく恵三を見つめ、
目を細めて微笑む。
恵三もユミを見て目を細めた。
二人の間には、
特別な優しい時間が、
流れるようになっていた。
部活終了後の談笑の時間に、
部員と一緒に会話に混じった、
竹崎先生に恵三は、
「自分、山登り行きたいです。
ユミちゃんに思い出、
作ってあげたいし、
先生がそんなに、
楽しいって言うなら、
自分も参加したいです★」
ユミも言った。
「私も体強くないけど、
先生とケイちゃんが、
行くなら参加したいです☆
思い出を作りたいです♪」
お祭り大好き人間の、
竹崎先生はそれを聞いて、
大いに喜んだが、
今回は部長を含め、
さなも誠二も、
「疲れるのは嫌です……」
と言って、
都合よく不参加となった。
顔には出さなかったが、
恵三とユミは、
二人でいられる時間が、
出来たことを、
嬉しく思うのだった。
竹崎先生は今回も、
登山予定日を、
部活が休みの日曜日にする、
と指定してきた。
談笑終了後、
ユミと別れる時、
いつも通り「バイバイ」、
と手を振ったが、
お互いの目は、
微かに柔らかく笑い、
共に(楽しい一日にしようね☆)、
と言外に伝えあった♪
この日の恵三は、
いつにも増して優しい気持ちに、
なり、夏の日の暑い帰り道で、
心をウキウキと高揚させた。
部員を含めない二人の時間──
恵三はその日が来るのを、
優しく幸せな、
気持ちで待つことにした。
(夏が、心地いいなぁ……)
恵三は、
最初の夏休みの、
淡い恋の思い出を、
純粋に優しく思い幸せに、
感じられるようになっていた。
──ユミちゃんの思い出は、
ずっと大事にするよ。
幸せな夏を過ごすことを、
恵三は受け入れ、
ユミの素敵な夏を、
彼女とともに楽しむことに、
今の彼には、
何の迷いもないのだった。
…………『続く』